/冥界/
白玉楼………………そこは閻魔から冥界の管理を任された亡霊の姫、西行寺幽々子の屋敷である。
そこにはたくさんの幽霊と辻斬りと言われるほどなんでもかんでもとりあえず斬る半人半霊の庭師、妖夢が彼女の世話をするため住んでいる。
その白玉楼へは現世にある門を通り、果てしなく続く石段を登らなければならない。
その、石段を登る……なんて面倒なことはせずに霊夢と魔理沙は上を飛んでいた。
「はぁ~…それにしてもここはいつでも長いわね~」
「まったくだぜ。そういや霊夢。お前、まず紫に聞くとか思わなかったのか?」
魔理沙の言う通り、幻想郷の創設者にして妖怪の賢者の八雲紫に聞けば大抵のことはわかる。
しかし、霊夢はそれを否定する。
「駄目ね。あのババア、相変わらず神出鬼没で全然見つからないわ。
それに、幽々子なら居場所はだいたい白玉楼だし、もしかしたら紫の居場所を知っているかもしれないからまずは幽々子の所へ行くのが最善よ。」
「なるほど、なんだぜ。」
何気なく会話をしながら白玉楼を目指す二人。
しかし、その近くに謎の裂け目があったことを彼女達は知らない。
/白玉楼:正門前/
白玉楼の正門前にはこの白玉楼で働く、半人半霊の庭師、魂魄妖夢が立っていたその頭に猫耳を生やして。
「あら、妖夢。久しぶりね。………その頭のモノもよく似合ってるわよ?」
「斬り殺しますよ?」
「冗談よ………」
「どうだか……こっちは幽々子様が触りまくるせいでひどい目にあったのに……
さ、幽々子様がお待ちです。中へどうぞ。」
「ん? 幽々子のやつ私らが来るの知ってたのか?」
「みたいですよ。(あと、霊夢。帰る時は背中に気を付けなさい。辻斬りがこの屋敷に居ますからね?)」
妖夢は最後に霊夢にだけ聞こえる声量でかなりドスの聞いた声をかけて二人を中へ招き入れた。
白玉楼は純日本式家屋であり、部屋は当然全て畳敷きである。
その中の一際大きい大広間に屋敷の主、西行寺幽々子がいた。
「幽々子様、霊夢と魔理沙の二名を連れて参りました。」
妖夢は旧家のように(実際かなりの旧家だが)廊下と部屋を仕切る障子の前でしゃがみ、少しだけ障子を開けてから入室許可を取る。
「ええ、ありがとう。二人とも、入ってちょうだい。」
「失礼します。」
妖夢は幽々子から入室許可を貰うと、敷居と畳の縁を踏まないようにして入室する。日本の家屋で畳の縁を踏んだりすることはこの場合礼儀作法においてかなり失礼なことだからだ。
続いて霊夢も入室するが神社で巫女をやっているだけあって礼儀作法をわきまえている。
しかし、魔理沙はというと、礼儀作法の欠片もなく、ドカドカと音をたてて入室するわ、敷居は踏むわ、縁も踏むわで入った瞬間にはドスっと音をたたてあぐらをかいて座るわでおまけに全員から冷たい視線を浴びても気づかない、俗に言う無神経の塊だ。
そのおかげで妖夢は刀を半分ほど抜いて額に青筋を浮かべている。
が、それは主の目線でやめさせられる。
「(妖夢、止めなさい……それは後で)久しぶりね二人とも。」
「ええ。けど、幽々子あなたは私達が来ることを知ってたみたいだけど?」
その返事は幽々子から発せられることはなく、奥の襖が開くとともに現れた金髪の女性から発せられた。
「それは私が教えたからよ。霊夢。」
紫である。
「ゆ、紫……? なんでここに?」
「あなたが異変を解決しに行くって聞いたからよ。
ずっとあなた達の近くにいたわ。」
「へ、へぇ~そうなんだ…………(汗)」
「あら、霊夢そんなに挙動不審になってどうかしたのかしら?
私に用があるんじゃなくて?」
「いや、この異変について何か知らないかな~と」
紫は座布団に座るとおもむろに扇子で顔を隠し、霊夢をじわじわと追い詰めにかかる。一見、普通に話しているように見えるがその全身からはかなりのプレッシャーが発せられている。
「そう、なら教えてあげるわ。」
「え? ホント?」
「ええ………………私と弾幕勝負してO☆HA☆NA☆SHIしてからね?」
「え、ちょ、まっ………」シュン
「さて、殺りますか。」
しばらくするとなぜかリボンがほどけてヨダレを垂らしながら失神した霊夢を担いで紫が戻って来た。
「ねえ、何してたの?」
「ちょっとお仕置きをさてただけよ。
………ホントよ! 猫耳触ってたけど、百合プレイなんかしてないわ!」
「紫。自爆乙。」
「しまったああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「「霊夢ぅぅーーーーーーーー!」」
このあと藍が紫を引き取りにきた。
どうやら幽々子が呼んだらしい。
「この度はウチの紫様がご迷惑をおかけしました……」
「もういいんだぜ。」
「いいえ、主の面倒を見きれなかった私の責任「藍~それはちょ……」何か?ギロ」
「イエ、ナンデモ」
「では失礼します。」ヒュン
そう言い残すと藍は紫とともにスキマの中へ帰っていった。
「幽々子、ちょっと頼みがあるんだが……」
「あら、何かしら?」
「ちょっと体洗えるところを貸してほしいんだぜ。
霊夢が今いろいろとヤバイからな。」
そう、霊夢は今結構いろんなところからいろんな液体を垂れ流しているのだ。
「ああ、それなら向かって右側の廊下を出て右側へずっと奥まで進んで行けばお風呂があるわ。
妖夢、案内してあげて。」
「とか言って幽々子様、お菓子とかを食べるつもりじゃありませんよね?」
「・・・・・・」
「無言は肯定と受け取らせてもらいますが?」
「あははは……」
そして幽々子は相変わらずの大食いクオリティーであった。
霊夢の入浴のあと、やっと本題に入れた霊夢達は今回の異変の手がかりをつかもうとここに来たことを話した。
「そうねぇ…あ、妖夢。確か最近三人くらい変な幽霊来てたわよね? 呼んできてくれない?」
「かしこまりました。」
「なぁ幽々子、変な幽霊って一体何なんだぜ?」
「確かに。気になるわね。」
二人ともその幽霊が何であるか興味津々なようである。
しかし、幽々子はもったいぶるように「まあ見れば分かるわ」とだけ言い、あとは妖夢がくるまでずっとみたらし団子を食べていた。
「幽々子様、連れて来ました。」
妖夢が連れてきたのは……
「長門型戦艦二番艦、陸奥よ。嫌いなことは火遊びよ。」
「天城型戦艦一番艦、もとい天城型空母じゃなくて…あ~もう!めんどくさい!とりあえず天城よ。よろしく。」
「若竹型二等駆逐艦、若竹。」
艦娘だった(オリ艦がいても気にすんな)。
「幽々子、こいつらは?」
「私達は艦娘という存在で船の魂です。いわゆる九十九神ですね。そんじょそこいらの妖怪よりは強いですよ?」
「で、こいつらと異変に何の関係が?」
「ちょっと心当たりがありまして……恐らくウチの妖精が……こういうの好きだから。」
「へ~。じゃその居場所は?」
「そう言えば最近、この幻想郷に海ができたらしいわね。「それが……」彼女達は船の九十九神よね~なら住むのは海の近くじゃなくて?」
「「あ!」よし、今すぐ行ってくるぜ!」
「待ちなさい。もう夕方よ?向こうに着く頃は夜の8時くらいかしら?」
「あ。」
「今日はもう、泊まっていきなさい? 明日彼女達と行けばいいわ。妖夢の料理は美味しいわよ~?」
「その提案乗った!」
「じゃ、早速ご飯の用意をしましょうか。明日行くんだったら早寝早起きよ?」
霊夢はご飯と聞くなり、嬉々として料理を手伝い始めた。よほど空腹だったようだ。
それを見た妖夢は仕事が減ると喜び
、魔理沙と幽々子は苦笑いだった。
~少女料理中~
「「「「いっただっきまーす」」」」
霊夢も手伝ったが、幽々子のことを考えると量がとてつもなく多くなり、五時から料理を作り始めたはずが、今や七時である。
ちなみに唐揚げと白ご飯、味噌汁にキャベツといったごく普通の料理である。・・・量以外は(成人男性七人分)。
「ガツガツモグモグゴクッ パクパク ズズーゴクゴクモグモグ」
「「・・・・・相変わらずね」なんだぜ」
霊夢達がおどろいていること。そう、幽々子の食べっぷりだ。
一人で用意された料理の3/4はたいらげている。
「これ、食費どうなってるの?」
「全額ここを任せている映姫様持ちです。それでも向こうは黒字だとか……」
「すごいわね……」
~割愛~
「「「「ごちそうさまでした」」」」
なお、霊魔理妖で二人前、幽々子が五人前を完食した。まるでピンクの悪(ry
「食べるものもたべたし、妖夢、霊夢、魔理沙、お風呂に入ってきたら? 温泉だからすぐに入れるわよ。」
この際、冥界になぜ温泉があるのかはどうでもいい。幻想郷に常識は通用しない。
「じゃ、入ってくるぜ」
~少女入浴中~
ちなみに入浴の際頭を洗うときに、魔理沙の猫耳を、二人でいじり、昇天させたのは秘密だ(これ以上はR-18)。
そして、夜10時。そろそろ幽霊が出てくる時間(ここには何時でもいるが)なので全員寝ることにした。
「「おやすみー」」
「zzz……」
「早ッ!」
妖夢が寝ようと布団を出す間に全員がすでに寝てしまっていた。
半人半霊のくせに幽霊が怖い妖夢はかなり心細かった(ちなみに灯りは蝋燭数本のみ)。
「は、早くねよう。」
~少女就寝中~
続きは次回で。
はい。十二話でした。
後半がgdgd……はあ、誰か文才分けてくれませんかね……