東方艦隊夢想   作:佐武 駿人
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いやはや、入試が近づいて参りました。
これが中学生最後の投稿になります…

さて、今回はやっと出番がきた方が何人かいます。
あの神様も何かしでかすつもりか?

東方少なくね?と思ってらっしゃる方すみません、もうすぐで東方要素が強くなるんで…


第九話:光ある場所に影はある

 ヲ級の流した涙や早苗さんと会った日の夜、食堂はヲ級の歓迎会も兼ねていつもの三倍増しでにぎやかだった。

 例えば、またもやブン屋が乱入してきたり、酒に酔った勢いで長門が手当たり次第に男の純粋を奪いにかかったり、同じく隼鷹に酒を飲まされた龍驤がC以上ある空母を襲いにかかったり、酒乱の足柄が誰構わず絡んだりと数えればキリがないほどだった。

 一方、宴の主役であるはずのヲ級は一人、鎮守府の騒ぎが少し聞こえるくらいのところで岸壁に腰かけていた。

 

「・・・・・」

 

 ずっと何か考えているようだが、その眼には涙が溢れていた。

 

「みんな…ごめんなさい。私が不甲斐ないばかりに…あのとき私にあと少しの勇気と力があったら……グスッ本当に…ほ…んとう…に……ごめんなさい…

う、うう、うわぁぁ~~~~~~~ん」

 

 今思い返せばとてつもなく長い時間彼女は独りで海をさまよっていた。その事と仲間を失ったことを考えると涙が止まらなかった。いくら深海棲艦といえど、彼女もか弱い女の子であることに変わりはなかった。

 しばらくの間、港では彼女の泣き叫ぶ声とさざ波の音しか聞こえなかった。

 最初の頃こそ、一緒に出奔した北方達15人でおしゃべりをしたりして楽しかったが、追手に見つかり、攻撃を受け、散り散りになってからは独りであった。

 寂しかった。

 孤独だった。

 辛かった。

 怖かった。

 幾度となく心が折れそうになった。

 そして、どれくらいたったのか忘れるほどさまよい、昨日ここに釣られた。

 しばらく泣き叫んだあと、これまでのことを思い出していたが、悲しみは膨れるばかりだった。

 

「隣、いいか?」

 

 ふと、声をかけられたので振り向くと何やら花束と酒瓶、徳利を持った駿がいた。

 

「何の用だ?」

 

「ちょっとな、この海で沈んでいったやつらにも挨拶をと思ったんだが…」

 

「・・・! その花束はもしかして!」

 

「まずは一杯。お前も向こうも飲んでからだ。」

 

 言われた通りに白龍ーーヲ級から改名ーーは一杯飲む。

 その横で駿は海に酒を注いでいた。

 

「ほら、お前が投げろ。お前の仲間達なんだろ? じゃあお前が投げたらんとな。」

 

 白龍はコクッと頷き、花束を海に投げた。

 花束は少しの間空中に浮かんだあと、海面に落ち漂いはじめた。

 

「・・・・・(皆…どうやら私は新しい居場所を見つけられたみたいだ…)」

 

 もうヲ級こと白龍の眼には涙はなかった。

 

「さて、中に入ろうぜ。みんなお前を待ってくれてんだからよ。」

 

「ああ、あいつらの分も楽しむことにするよ。」

 

 そして二人は食堂に戻っていった。

 食堂内は主役が帰ってきたこともあり、さらにヒートアップしてきた。

 そして何人か暴走した龍驤の被害にあっていた。

 

「ただいま~って、おいおい、龍驤。ま~だ空母連中に絡んでたんか~?」

 

「ハァハァた、助かった……」

 

「「「・・・・・・・ビクンッビクンッ」」」

 

「(うわぁ~、目がイってる)」

 

 翔鶴、加賀、飛龍はすでに再起不能でそれ以外は解放されたことに安堵していた。もちろん、大鳳は龍驤の味方であったが。

 

「せやかて…なんでこいつらにはこんなに胸があるんや! なんでウチはBもないんや! なんかウチ、悪いことでもしたんか!」

 

「まずはそのエセ関西弁をやめるんだな。本場はそんなに訛らへん。

それにこれはどうにもならんな!

PADでもつけるか?」

 

「ひ、酷い! 乙女に何てことを言うんや!」

 

 さすがにまだそこまでは乙女のプライドを捨ててないようである。

 

「はは、大和を見習え。そうだな、脱衣所でも覗いてみろ。いいものが見れるぞ?」

 

 駿のセリフの二秒後、通常の三倍の速度で顔を真っ赤にした大和がどこから持ってきたのやら10tハンマー片手に突っ込んできた。

 

「龍驤さんに何てこと吹き込んでるんですか! というか、なんで知ってるんですか!?」

 

「おっと、危ねぇ。」

 

 PAD疑惑の大和の攻撃をかわした駿はすぐに人混みの中に消えていった。

 ちなみに着弾点にはクレーターができたのは言うまでもない。

 

「大和さん! PAD疑惑についてこの青葉に何かコメントを!」

 

「文文。新聞の一面を飾るかも知れないんですよ!? 何かコメントを!」

 

「ノーコメントでお願いします!!! うう、覚えていなさーーーーーーーーーーい!!」

 

 あとには虚しく大和の声が残った。

 

 

 

 

 余談だが、この宴で密かな注目の二人はというと……

 

「へぇ~、やっぱりわかりますか?」

 

「ええ、わかりますよ、早苗さん。やはりこれはいいものです。」

 

「「やっぱりSFメカこそが最高だ!!」」

 

「なんだあれ?」

 

「明石さんの趣味は電には理解できないのです…」

 

「な、なぜだ…? なぜ俺の話で俺はのけ者にされるんだ……?orz」

 

 すっかり意気投合していた。

 

 宴会は深夜を越えてなお続けられ、次の朝宴会を早めに抜けて就寝した組が食堂に入るとそこには地獄絵図が広がっていたと言う。

 ちなみに早苗とその他ほぼ全員の要望で携帯電話の基地局が鎮守府に開かれた。

 これにより、幻想郷では携帯電話の通話が可能になり、ケータイを持つ一部の者(幻想入りした人達)には大変重宝された。(携帯会社ではなく鎮守府で繋ぐので基本通信料金ゼロ円。)

 ちなみに建設したのは我らが妖精さんだ。ちなみに僅か一日のうちに妖怪の山や人里にまで設置してしまうという偉業も成し遂げた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

一方、神界。

 

「ふふ、今のところはこの世界を満喫してくれているみたいですね…ですが、転生した者には試練を与える…これが神界のしきたりでしてね。

恨まないでくださいね?」

 

 その目線の先にある2つの窓の向こう・・・片方には駿達ともうひとつの方には魚類の様な見た目の異形・・・いわゆる深海棲艦。がいる世界が映し出されていた。

 

「今はまだおいておきますが…この試練にあなた方は耐えられるのでしょうかね…?」

 

 そう言って彼女は世界を覗き見するための窓を消した。




今回はどうでしたか?
暗い話を入れてみたのですが…
時々試作品を作ってみるんですが…どうでしょう?


明後日はいよいよ私の卒業式です。
あとは入試だ……

誤字や脱字などがありましたら感想などへ。



※3月12日追加:アンケート

海外艦を出そうかと思っています。
ゲームに出ていない艦はオリジナル艦娘になりますが、誰かリクエストはありますか?
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