東方艦隊夢想   作:佐武 駿人
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そう言えば大和型は大日本帝国が所有していた“戦艦”の中では一番速かったそうです。
公式には約27ノットですが調子がいいときは30ノット近く出たとか言う噂。
今回はそんな大和型と水雷戦隊のお話です。


第七話:今日の鎮守府はとてもハプニングが多いです。

「さて、赤城、加賀、隼鷹、大和、長門。

お前達に集まってもらったのは他でもない。この中の四人が夜な夜な厨房に忍び込んでいるとの情報があったからだ。

消えていたのは主に食材、酒、そして徳利だ。

目撃者の島風と間宮によると、食材を盗んだ奴の特徴は背が高くて巨乳で長い黒髪が見えたそうだ。

この時点で大和と長門が容疑者だ。あとの奴は普段の行動からだ。

素直に白状しない場合、全員の衣類や日用品以外の私物と間宮券と酒と個室を没収する。」

 

 現在は朝の六時だ。なぜこの早い時間から執務室に五人が呼ばれたかというと最近食材などの減りが早いため秘密裏に島風、間宮、山城、ヤマト、駿でローテーションを組み、張っていたところ、ついに昨夜、犯人を目撃することができたからだ。

 すると加賀が手を挙げた。

 

「提督…私、隼鷹さんが空母寮から出ていくのを見ています…」

 

「ちょつ!? 加賀!? い、いや。こ、これは違うんだ…」

 

 隼鷹が苦しい言い訳を試みるがあっさりと却下された。

 

「よし、……他の奴を教えれば私物と間宮券は撤回してやってもいいんだが?」

 

「赤城と長門だ…小腹が空いたとか言ってた………クソ、酒がブツブツ…」

 

「赤城、長門、何か言うことは?」

 

「「誠に申し訳ございませんでした!! そして大和もグルです! 隼鷹と一諸にグラスとか晩酌セットと日本酒とワインを持っていってました!」」

 

 この場にいた全員が裏切ったことで大和に反論の余地は無かった。

 

「うぅ、出来心だったんです…」

 

「じゃあ、お前達に罰を与える。

長門はしばらく駆逐艦と会うことを禁止の自室謹慎の上、隼鷹、大和、赤城とともに個室から共同部屋に移れ。

大和は明日と第六駆逐隊と隼鷹、雪風、扶桑と買い出しに行ってこい。

赤城は当分おかわり禁止。」

 

 執務室から出てきた彼女らを見た翔鶴は「長門さんと赤城さんからどす黒いオーラを感じました。」と、語ったという

 そして時は少し流れ、二時間後。

 

「ごーや、まるゆ、島風、電、雷、鈴谷。

今、俺達には収入が無い。

だが、幸い海がある。

そこで、お前達には沖に出て、釣りをしてきてもらいたい」

 

「わかったわ! でももーっと私達に頼ってもいいのよ?」

 

「ふふ、ありがとう。頼むよ」

 

 最後に雷が任せなさい、と言って七人はドックに向かった。

 彼女達が出ていくと駿はある書類に目を通し始めた。航空機による偵察の報告書だ。それにはこの世界=幻想郷には範囲があり、それを越えるといつの間にか元の場所へ戻ってしまうこと。

文明レベルは明治初期にあたること。

情報通り妖怪、妖精、神様がいること。

チルノという妖精には気を付けた方がいいということ。

 等々ということが書かれていた。

 一通り目を通し終わったころ、夕張が真田を伴い執務室に入ってきた。何やらかなりウキウキしている。

 

「やったよ! できたよ! すごいよ! びっくりするよ!」

 

「い、一体どうした? 何がどうしたのか言ってくれ…」

 

「取りあえずきて!」

 

「うぉ! ちょ、ま…」

 

 駿が連れていかれた先にはヤマトが艦体を展開させて待っていた。

 どうやら夕張はヤマトの艦内に見せたい物があるらしい。

 

「さぁ、早く!!!! この中…に?

あれ? どうしたの?」

 

「殺す気か!? このドアホ! 首絞まって死ぬかと思ったわ!!」

 

 しかし、そんな駿の抗議も虚しく、夕張はさっさとヤマトの中に入っていった。駿も渋々といった顔で真田とともに入っていった。

 夕張が案内したのはやはりというか、艦内工場だった。

 そしてそこには夕張の艤装が置かれていた。

 

「で、一体どうしたんだ夕張?」

 

「ふっふっふ… なんと! この夕張サマの艤装に真田さんが改造を施して、速力が85ノットに上がった上、この状態なら空を飛べるようになったのさ!」

 

「なんか…キャラ変わってない?」

 

「昔から艤装に実験兵器が乗ったりするとコイツはこうなるんです」

 

「もうこれで足が遅いとか言わせないわ! 航続距離も飛鷹並みよ! というか元から30ノット出るから遅くはないのにぃぃぃ島風のせいでぇぇぇぇ!!」

 

「ふふ、こんなこともあろうかとこっそり艦娘用のエンジンを開発してたのさ!」

 

 このやり取りを見ていたヤマトは相変わらず真田さんだなぁ、と呟いた。

 その彼も真田によって度々大魔改造されているのだが。

 

 

 しばらく夕張の自慢を聞いた駿は再び執務室へ戻ろうと思って歩き始めた。

 そこへ電がやって来た。どうやら防波堤で釣っていた島風が大物を引き当てたらしい。

 二人はすぐに島風のもとへと向かった。

 

「ここなのです」

 

「あ、提督! うわっととと…」

 

「頑張るのです! 島風ちゃん」

 

「これは…何が釣れるんだ?」

 

 一拍おいて島風が一気に釣糸を巻き上げると水面に獲物の影がみえた。

 

「うぅ、おりゃあああああ!」

 

「ヲッ!」

 

「「「!?」」」

 

 島風が釣り上げたのはヲ級だった。

 とりあえず、沖へ釣りに出掛けていた鈴谷らも呼び戻してヲ級の処遇について話し合うことにした。

 

「で、雷。釣果は?」

 

「私達の妖精も全て動員したから、かなり釣れたわ!」

 

「そうか、じゃあ次にこのヲ級の処遇だが…」

 

 まず、まるゆが意見を発した。

 

「たいちょー、ここはもう撃沈しますか?」

 

「ヲっ!?」

 

「いや、敵意は無いようだし、それはちょっと可哀想だと思うよ?」

 

「電も鈴谷さんに賛成なのです。」

 

 この意見にはヲ級本人はもちろん、特に雷、電達も反対した。

 

「じゃあさー、しばらくシナノ姉ぇに面倒見てもらったら? あの人のパワーなら、危害を加えらる前に返り討ちできるしね。私はそれがいいと思うわ」

 

「そうね、それがいいと思うわ。」

 

「じゃあ決まりだな。ヲ級をこの鎮守府に仲間入りさせよう。明日の朝食の時に皆に伝えとこう」

 

 島風の提案に雷が賛成し、他の六人も賛成したのでしばらくはヲ級の身の安全が保証されることになった。

 翌日、加賀と天龍が食堂で駿達に詰め寄り猛反対したのは言うまでもない。




そろそろ龍驤を登場させたい…
ついでに大鳳さんも…





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