東方艦隊夢想   作:佐武 駿人
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ついに念願の比叡を手に入れた。
料理が下手な女の子ってかわいいよね。
駿に食わしてやろうかな…


第六話:妖怪の山と艦隊の海

~妖怪の山・天狗の里~

 

 

 内火艇で川を遡上すること30分。ついに天狗の里が見えてきた。

 ……で、なんで囲まれてんだ?

 

「侵入者は即刻立ち去れ! 従わない場合は…斬る」

 

「面白い。やってみるか?」

 

「上等だぁ!」

 

 おいおい、ちょっと挑発したら簡単に乗ってきたぞ。ていうか、マジであいつの血管ブチ切れそうなほどに青筋浮いてるんやけど……

 

「対空戦闘ー用意ー!」

 

「しゅほうおよび13ミリきじゅうしょうじゅんよし!」

 

「あのさ、アンタがいること完全に無視されてるよね? あと、撃たれたくらいで妖怪って死なないやんな?」

 

「当たり前でしょ! 部下にさえ、愛想つかされているんですから! あと、妖怪だから多分大丈夫じゃないかと」

 

「撃ちー方ぁー始め!」

 

「くらえー」

 

「落ちろ」

 

「沈むわけにはいきません!」

 

 直ぐに雪風と響、そして内火艇に積んだ13mm機銃を使って妖精さんが対空攻撃を初めてくれた。え?なんで機銃積んでるかって?

 もちろんこんなこともあろうかと思ってな。

 

「ヤマト、手伝ってくれ。あと、非殺傷設定でな」

 

「任せろ。パルスレーザー撃てぃ!」

 

 

 

 

 駿達の攻撃により、天狗隊は一時編隊を乱したがそろそろ体勢を立て直し攻撃を始めた。これで天狗隊と鎮守府組は互いに弾幕を放ったことになる。天狗はざっと100体ほどいた。双方懸命に弾幕を張り続けたが何しろ数が多い。次々に弾幕をかい潜って接近してきた。

 

「我こそは第一監視部隊隊長、鴉天狗の高尾 十兵衛なり! 俺が相手だ大将はどこだ!?」

 

「ここだ! 相手してやる!」

 

「ガキが! 嘗めるなよ!」

 

 一騎討ちが始まったが所詮は部隊長クラス。すぐに勝負がついた。

 

「オラ! 隙だらけだ! 落ちろ!」

 

「ぬあ!?」

 

「今度はこの犬走椛があいてする!」

 

「よし、こい!」

 

「てやあああ!」

 

「ん? なかなかやるな!が、足元がお留守だ」

 

「え? きゃあああああ!?」

 

 そのあともこれは続き、終わる頃には川に大量の天狗が浮いていた。

 ちなみに死んではいない。全員仰向けにしておいた(文が)。

 

「お前で最後だ。どうする?」

 

「こ、降伏致します。はい」

 

「賢明な判断だ。よし、上陸するぞ」

 

 最後の天狗が降伏したあと四人は天狗の里に入った。

 内火艇の妖精は一緒に来ないで内火艇ごと草むらに隠れて待ってるらしい。

 

「ところで射命丸。どこへ向かう?」

 

「そうですねぇ…大天狗様の所へ向かいましょうか。一応この事は大天狗様にも知らせないといけないので。

ついてきますよね?」

 

「行くところもないしな」

 

「しれぇについていきます」

 

「二人が行くなら。」

 

「じゃあこっちです。東の大天狗様に会いに行きましょう」

 

 そして一行は文の案内で東の大天狗に会いにいった。道中、度々他の天狗に出会ったがそれは危害を加えてくることもなく無事に大天狗の屋敷に到着した。

 そこで屋敷に入り、とある襖の前で立ち止まると襖の奥の部屋の主に向かって声をかけた。

 

「大天狗様、宜しいですか? 文です」

 

「いいぞ、入ってくれ。客人のことだろう?」

 

 襖の奥から帰ってきた声から察するに大天狗は男性で何らかの手段で彼らの訪問を予測していたようだ。

 

「はい。では失礼します。藍原さん、入っていいですよ」

 

「では、失礼します」

 

 文から入室許可がとれたことを確認すると、駿から順に入室していった。

 そこには長身の黒髪になぜか鎧を着た鴉天狗がいた。そしてゆっくり振り向くと静かに自己紹介を始めた。

 

「はじめまして。私はこの妖怪の山の東の大天狗を担当している鴉天狗の“黒羽丸 幸信”(くろうまる ゆきのぶ)だ。」

 

「お初にお目にかかりまする。拙者は海軍中将が孫、少将を賜っております藍原 駿と申します。二日前に幻想入りとなった身でございます。以後お見知りおきを」

 

「では、堅苦しいのは少しおいておきましょう。改めてようこそ我が屋敷へ。

いや~うちの文が世話になったそうだね」

 

「いえいえこちらこそ。ここの貴重な情報を教えていただきました。

 そしてこちらは、右から順にヤマト、雪風、響です」

 

 右から順に自己紹介を始める。

 

「はじめまして。ヤマトといいます」

 

「雪風です!」

 

「響だよ」

 

「黒羽丸殿は我々の来訪を予測していたようですがなぜそれを?」

 

 駿の問いに対し、黒羽丸はなに、簡単なことだよ、と言って話し始めた。

 

「まず文が帰って来ない時点で何かあったと予測できる。次に勝手に突撃した監視部隊のボコボコにされて帰ってきた奴が文と君達の姿を確認している。そしてこいつは何かあると、特に外来人の時はすぐに私のところにくる。これだけあれば予測は容易だ」

 

 なるほど、と時々相槌を打ちながら互いに集団のリーダーであるがゆえ(他の三人も加わったが)色々な方向へ話は弾みに弾んだ。そしてふと、五人が時計を見たときには会ってから途中食事も挟んだが、二時間がたっていた。

 

「そろそろ帰らせていただきます。美味しい料理をありがとうございました」

 

「いやいや、こちらこそ引き留めてしまった。帰りも気をつけて」

 

「はい。それではまた。

 よし、お前ら帰るぞ」

 

 

~帰り道~

 

「しれぇっていつの間に少将になったんですか?」

 

「ん? ああ、あれ? 嘘だよ。ちょっとぐらい見栄張ってもバレないバレない」

 

「よくあそこまで大見栄張れるもんだ」

 

 彼らが鎮守府に着いたときにはすでに陽が暮れかけていて西の空に夕焼けがもえていた。

 ちなみに夕食は金曜日なのでカレーだったが、それを比叡が作ろうとして皆に全力で止められたとか。

 

「何でですか! 比叡のカレーは美味しいですよ!」

 

『頼むから食卓でテロを起こさないでくれ!!』

 

「ヒェーーーー! 何ですかそれ! どこがテロなんですか!?」

 

『『黙れジャイアン料理製造機!』』

 

「ヒェーーーーー!」




オリキャラの大天狗の黒羽丸ですが、その名前の由来は知っている人は知っていると思います。

次回は人里編か、艤装の改良の回にする予定です。





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