【サッカー】<目撃者>これが日本の伝統… 年長者が献身、22人の結束生んだ2019年2月1日 紙面から こわばった思い、ざらついた心を持つ者がいれば勝てない-。個々の技術、戦術より大切なのはチームの一体感、結束力にほかならない。1992年以降のアジア杯(7大会)を4度制してきた日本代表に脈々と受け継がれてきた「伝統」と言っていいだろう。 選手たちは約1カ月間、ホテルで“缶詰生活”を送ってきた。食事後、リラックスルームでコーヒーや紅茶を飲みながら談笑するのが数少ない楽しみではある。「古今東西のゲームをして、負けた人がお茶の用意をするんだけど、やりすぎてネタがなくて…」と長友は苦笑する。 年齢に関係なく、仲が良い。ただ、結束力の源流は、そこではない。先発11人だけでなく、登録メンバー22人がいかに勝利のために行動することができるか-。 「試合に出ていない選手たちが、出ている選手以上のモチベーションを持って毎日、過ごせるかが鍵を握るとみんなで話していた」と槙野。試合翌日の控え組の練習は、いつも驚くほど活気に満ちあふれていた。 それは、試合会場でも同じだった。ベンチから声を出して盛り上げた。ゴールが決まれば喜び、相手の悪質なファウルには激しく怒った。プレーが止まれば選手たちに水を渡し、試合が終わればロッカールームを掃除した。できるようでできない当たり前のことを、控えに回った年長者の東口、槙野、乾らが率先してやることで、「若い選手たちが見て、学んで、行動していると感じている」(槙野)。いまや情熱はチーム内に広く、深く、溶け込んでいる。 長友はしみじみと言う。 「控えのみんなを見て、試合に出ている自分たちは『絶対に勝つんだ』っていう気持ちになる。ここまでまとまっているチームはなかなかないと思う」 歓喜の数とともに、結束の鎧(よろい)も強くなっている。(松岡祐司)
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