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【サッカー】

史上初の快挙より… 森保監督「個人のことは興味ない」

2019年2月1日 紙面から

決勝を控え、トロフィーの前で握手を交わす森保監督(左)とカタールのサンチェス監督=アブダビで(共同)

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 【アブダビ(アラブ首長国連邦)松岡祐司】サッカーのアジア杯で2大会ぶり最多5度目の優勝を目指す日本は、2月1日午後6時(日本時間同11時)から当地でカタールとの決勝に臨む。史上初の選手&監督として“アジア杯ダブル制覇”が懸かる森保一監督(50)は31日、試合会場で公式会見に臨み、「個人のことに関心はない。日本代表チームとして優勝をつかみ取りたい」と、アジアの頂点だけを見据えた。

 静かな口調に、自信と信念がにじんだ。大一番を前にして、気持ちの揺らぎも高まりもない。森保監督は「相手がどこであろうと考え方は同じ」と指摘した上で、「相手に敬意を払い、相手を知り、われわれが持てる力をカタール戦にも強く出す。選手には持てる力の全てを出して戦ってほしい」と言った。

 厳しい戦いと引き換えに勝利の極意をつかんできた。1次リーグ3試合、決勝トーナメント1回戦のサウジアラビア戦、準々決勝のベトナム戦まで1点差で駆け上がってきた。時にボールを握って攻め、時に攻撃を放棄してでも守り倒した。「対戦相手、試合状況を学びながらここまで来た」と、積み上げてきた硬軟自在の対応力、修正力こそが、強さの源泉だった。

 指揮官として、唯一と言っていいこだわりがある。仙台に在籍していた現役最終年、1度だけ手を抜いたことがあった。当時の清水秀彦監督に「なんで走り切らないんだ」と激しく怒鳴られ、われに返ったという。

 「実力が足りないと言われるならいい。でも、やり切っていない自分自身を見透かされていた。がむしゃらに全てをぶつけて初めて、この世界で生き残れるかどうかという選手だったのに…」

 チームの勝利に対する思いが至らず、恥じ、悔やんだ。選手として味わった後悔は決して消えない。だからこそ、個人の思いより、チームへの献身を優先する考えはより強くなった。

 60年以上の歴史を誇るアジア杯。選手、監督としての“ダブル制覇”は一度もない。それでも森保監督は「個人のことにあまり関心はない」とあっさりと言い捨て、選手たちに向けて「決勝の舞台で、思いっきり力を出し切ってほしい」と続けた。いざ、出陣-。全力を尽くし、アジアの頂点に立つ。

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