台湾発!天使ががぶ飲みするウイスキーを飲んでみた。
ウイスキーファンをうならせる台湾のあの蒸留所からお手ごろ価格の新商品が登場!
常識を覆す新進気鋭の蒸留所
カバランの蒸留所は台湾の宜蘭県(ぎらんけん)にあり、初の商品であるクラシックの発売が2008年とまだ新しいブランドです。ちなみに“カバラン”という名前はこの地方の先住民に由来するそうです。ウイスキーの産地と聞いてまず連想されるのがスコッチというように、“ウイスキーは寒い地方で造られるもの”というのが一般的な認識ではないでしょうか。それに対しカバラン蒸留所のある台湾は亜熱帯、そんなまさかの気候の下で蒸留を開始したカバランは2010年にイギリスで開催のバーンズナイトにおけるウイスキーブラインドテイスティング大会での優勝を筆頭に、2015年、2016年の2年連続でワールドウイスキーアワード(WWA)でワールドベストウイスキー選出など、これまでに獲得したメダルは250以上と、亜熱帯では良質なウイスキーはできないという世界の常識を覆し、ファーストリリースからたったの10年でそのブランド地位を確固たるものにしています。
カバランが世界を魅了する理由
なぜ亜熱帯で造られるカバランが世界的に高評価を獲得することができたのでしょうか。そのヒントはカバラン蒸留所のある宜蘭県の気候にあるようです。カバラン蒸留所の気候は世界一のウイスキー生産地であるスコットランドのスペイサイドと比べると、平均して気温が15度程高いが季節による寒暖差については類似しているというのが特徴です。暑い地域でのウイスキーの熟成では風味を失いやすいというデメリットが発生しますが、この寒暖差があることで風味をしっかりと原液に残すことができます。
またこの亜熱帯の暑さにより熟成スピードが早くなるため、平均気温が宜蘭県より15度低いスコットランドと比べ熟成が3倍くらい早く進みます。たった10年の間で世界的な評価を獲得するまでに至ったのは、スコットランドの3分の1という熟成期間の短さもひとつの要因ではないでしょうか。このダイナミックな熟成がカバランの魅力のひとつなのですが、しかしながらここには弱点も潜んでいます。早い熟成による弊害は天使の分け前が増えるということです。スコットランドにおける年間平均蒸発分(天使の分け前)はだいたい2.5%程度と言われていますが、カバランでは10%~15%が蒸発してしまうそうです。天使が飲んだ分だけ美味しいとされるウイスキーですが、さすがにこんなにがぶ飲みされると長期間熟成では樽が空になってしまいますので、長期間熟成はできません。依然としてヴィンテージ至上主義の風習が残る中、長期熟成できないカバランはどうしても見劣りしてしまうことになりますが、それでも国際的に高く評価されていることはウイスキー界の革命と言っても言い過ぎではないかもしれません。ちなみにこの天使の分け前によるロス分を価格に反映せざるを得ないためプレミアムなお値段になってしまうそうです。がぶ飲みしてしまった天使をちょっと恨めしく思ったりもします。
と、カバランのすごさが分かったところでお楽しみの試飲タイムにいきたいと思います。
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