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【首都スポ】

[大学バレーボール]中大の柳田ら3選手が、伊プロリーグで武者修行

2019年1月31日 紙面から

イタリアへの派遣が決まった中大バレーボール部の左から柳田貴洋、鍬田憲伸、都築仁=東京都八王子市の中大多摩キャンパスで(北田美和子撮影)

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 いざ、世界へ! 中大バレーボール部が同部後援会の海外支援プロジェクト「THE FUTURES」のサポートを受け、柳田貴洋(4年・東洋)、都築仁(2年・星城)、鍬田(くわだ)憲伸(1年・鎮西)をイタリアプロチームへ派遣する。今年で3回目の試みで、柳田と都築は2年連続2度目、鍬田は今回が初めて。プロ宣言をした柳田、エースとして脱皮を図る都築、初の海外留学で全日本高校選手権(春高)優勝からさらなる飛躍を目指す鍬田と、目的はさまざまだ。新たなチャンスをつかむべく、3人が意気込みを語った。 (スポーツライター・田中夕子)

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◆柳田貴洋 キャリア積み全日本入り目指す

 2度目のイタリア挑戦は、プロへの第一歩。ルビン(ポーランド1部)でプレーする兄の将洋(26)に続き、弟の貴洋も堂々のプロ宣言だ。

 以前から「海外で働きたい」と希望し、大学卒業後はバレーボールを辞め、一般企業への就職が内定していた。だが、スパイカー、セッターを経て中大入学後にリベロへ転向し、まだ数年。ようやくコツをつかみかけたところでもある。何より日本では小柄でスピードにたけたリベロが多い中、昨季のイタリア留学で、185センチの自分よりも大きなリベロが活躍する姿を目の当たりにした。

 このまま辞めていいのか。生じた迷いを打ち消すと「海外でキャリアを積みたいなら、まずバレーで行ってみよう」と大胆な決断につながった。友人に相談すると「大丈夫か?」と言われながらも、皆が「応援する」と口をそろえ、先に世界へ飛び出した兄も「やってみればいい」と後押ししてくれた。

 「若い時はお金じゃないというけれど、最初は『お金が一番だろう』と僕も思っていたんです。でも自分が新しい挑戦をすることで価値が上がって、日本に帰って自分の価値でお金を稼ぐ。やろうと思えばそういう道もある。兄を含め、実際に挑戦している人の話を聞いて、やってみたい、と背中を押されました」

 2月12日に渡欧し、3月末の帰国までどれだけ自分をアピールできるか。その結果がプロとして生きる道に直結する。

 「やるからには少しでも上のリーグを目指したいし、全日本(日本代表)にも入りたいです」

 兄とともに日の丸を背負う。そんな姿を夢見て、新たな道へ歩み出す。

<柳田貴洋(やなぎだ・たかひろ)> 1996(平成8)年4月15日生まれ、東京都江戸川区出身の22歳。185センチ、74キロ。日本代表主将の将洋(ルビン)は実兄。兄と同じ東京・東洋高で主将を務め、インターハイ準優勝。中大進学後にリベロに転向し、4年時は主将を務めた。

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◆都築仁 次世代代表候補に交じりスキルアップ

 堂々のエース宣言だ。

 「去年は優勝できなかったので、帰国したら今年は自分が引っ張って絶対タイトルをとります」

 愛知・星城高在学時から、同校の先輩である石川祐希(23)=シエナ(イタリア)=に次ぐエース候補として期待を集めたが、高校では全国制覇に届かず。レベルアップを求め、昨年初めてイタリアに渡るも、壁に直面した。

 「練習時間も少ないし、何をしたいかを伝える語学力もない。日本にいる選手とどんどん差が開くだけじゃないか。そう思うと不安でした」

 だが練習を重ねるうち、まだ粗削りではあるが、自分より背が高い相手に対しても攻撃は通用する、と自信を取り戻した。イタリア挑戦2年目の今季、都築が加入する「クライ・ローマ」はナションルトレーニングセンターを拠点に、10代後半を主軸とした次世代のイタリア代表候補が集うチームだ。中大の豊田監督が「同じ世代の中で自分に何が足りないかを見つけてほしい」と言うように、まさにスキルアップには絶好の環境でもある。都築は「守備力も強化して帰って来たい」と意気込んだ。

<都築仁(つづき・じん)> 1998(平成10)年12月28日生まれ、名古屋市名東区出身の20歳。194センチ、78キロ。星城高在学時から長身スパイカーとして注目を集め、春高、インターハイに出場。U-19、U-21日本代表を経て、18年には日本代表としてジャカルタ・アジア大会に出場した。

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◆鍬田憲伸 殻を破りエースの自信取り戻す

 熊本・鎮西高で全国高校総体(インターハイ)、春高を制し、世代を代表するエースとして中大の門をたたいた。しかし、1年時はほとんど試合出場の機会がなく「苦しいこともポジティブに切り替えるしかない、と思いながらやってきた」と振り返る。

 殻を破り、エースとして自信を取り戻すために、豊田監督も「一番変わってほしい選手」と期待を寄せ、鍬田を海外留学に抜てき。イタリア語はほとんど話せず、不安だらけ、と笑いながらも巡ってきたチャンスをつかむ。その準備は万全だ。

 「僕はプレーだけでなく表現力、コミュニケーション力が欠けていると思うし、そこを成長させないといけない。甘えられない環境で厳しく、いろんなことを吸収して帰って来たいです」

 新たな挑戦も貪欲に。全ての経験が財産だ。

<鍬田憲伸(くわだ・けんしん)> 1999(平成11)年6月28日生まれ、熊本県玉名市出身の19歳。190センチ、75キロ。鎮西高では大型エースとして活躍。熊本地震に見舞われながらも春高、インターハイを制した同校の躍進に貢献した。U-19日本代表として世界大会にも出場を果たした。

◆3人の派遣先

 ▼柳田 アングイラーラ(セリエB、派遣期間2月11日~3月30日)

 ▼都築 クライ・ローマ(セリエA2、派遣期間1月19日~3月30日)

 ▼鍬田 リボルノ(セリエA2、派遣期間2月11日~3月15日)

 ※イタリアリーグの構成はスーパーリーグ(セリエA1)、セリエA2、B~D

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