耕造はカモる側に言わせたら狙い目老人よ。
後妻業が騙すんじゃない職業ならいいんだけどなあ。
中瀬耕造はどんな人物でしょう?
そうだねえ、成金ではなくて、元教師で賞状なんか大事に飾っているくらいだから、コツコツと貯めてきたんだろうなあ。真面目な人だけど、歳と共に欲望が、ね。人生のやり残し的な欲望をなんとか満たしたいと思ってる。前のが良い奥さんだったんだろうね、それを亡くして芯が折れちゃった。金はあるけど、幸せじゃない。娘とも離れて暮らしているし、昔の人間だから、会わない=冷たい。しょっちゅう来てくれて世話を焼いてくれる=良い人、なんだよ。赤の他人でも人肌のあったかいほうがいいよなあ。佳乃(小夜子)がかわいくてね、やっぱり行っちゃいますよ。耕造は、カモる側に言わせたら狙い目よ(笑)
耕造にとって小夜子は大事で必要な存在とも言えそうですね。
男ってのは、歳とって、奥さんがいなくなったら、なんもできないですよ。俺だってそうよ、靴下一個、どこにあるのかわからないもん!そこに入り込んでくる後妻業なんだ。後妻業自体は、騙すんじゃなければあってもいいんじゃないの? 職業として確立してほしい(笑)。
演じる上で意識している点は?
なるべく醜くしたいと思ってますね。金はあるけれど、モテねえな、わびしいな、幸せじゃねえな、ってのを描かないと。でね、この老けメイク、30分かかるんですよ。もうされるがママ!(笑)。メイクのお姉ちゃんたちと弁当や職場待遇の問題ばかり話すの、ハハハ。あんな弁当でいいのか?って、上に言ってやるよって、年の功でまとめて代弁するのが俺の役目だね。
木村佳乃さんとは普段から目配せするくらい仲良しで。
ベッタリですよ。息の合う関係を作りたいのでね。で、どうしてここまでベッタリかと言うと、関西弁のせいよ。本当に大変。大阪人は融通が利かねえから、細かいことにうるさいの! だからずうっと二人で練習。「冗談じゃねえ!」ってね(笑)。
関西弁が飛び交う現場とは?
普段見るお笑いと同じかと思ったら、日常会話は違うんだね。それでも佳乃は面白いところで関西弁のマシンガントークが見事ですよ。お前すげえな!って感心してたら、自分のセリフを忘れちゃう。俺、関西弁なんて興味ないんだから(笑)!大阪は決めつける、東京の曖昧さを勉強せいって、大阪のやつらを敵に回してさ。それで、大阪のおもしろさを出すために悩むから、共演者ともよく合わせるんです。台本の「私」を「わし」にしたり、佳乃とも一生懸命打ち合わせるの。高橋克典さんが顔合わせで言ったのが印象的だったなあ、どんだけうまい役者が大阪弁を言っても、大阪の人は許さないって(笑)。まあ、どれだけうまい関西の役者が東京弁を言っても東京人は許さないけどな!
気になるキャラクターはいますか?
克典さん(柏木)がどう出てくるのか。あの不気味さ。彼にどこまでの作戦があって、どこからが小夜子なのか。男が裏で操作して、女は表で目立つ、これがスリリングなんだよなあ。男の目線で言うと、やっぱり黒幕に注目するねえ。とどのつまり、お前はこの女をどうするつもりなんだ!って男の在り方を問うの。あと、探偵の本田(伊原剛志)。「お前は何者だ!?」ってな。
泉谷さんは騙すほうですか? 騙されるほうですか?
俺は騙すばかり(笑)。子どものころのいたずらもしょっちゅう。ピンポンダッシュ、カエルを投げたり、牛乳を盗んだり、いたずら小僧の代表のような人生だったね。だけどすぐ近所中に知られて怒られるから、抜け出すのが大変だった。芸能界に入って更生したとは思わないけど、真人間になったかな(笑)。不良やデキの悪いやつらはこっちに来い!鍛え直してやるから!
二話以降の楽しみ方と、視聴者にメッセージをお願いします。
克典さんにしろ、伊原さんにしろ、いい男なのか、やっぱりワルか……、このドラマ、もしかしたら、男が試されているのかも。悪ぶってるやつが結果いいことするんじゃないかと期待はあるけど、騙し通してほしい気もする、最後の最後までわからない。楽しみにしていて欲しい!