【競馬・ボート・競輪】[ボート]とこなめボートGI「トコタンキング決定戦」あす開幕2019年1月30日 紙面から ◆北野輝季、亡き師匠の教え実践
とこなめボートの開設65周年記念GI「トコタンキング決定戦」は31日に開幕する。当地の大スター池田浩二を筆頭に赤岩善生、平本真之、柳沢一、杉山正樹、河村了、磯部誠、岩瀬裕亮、野中一平の地元愛知勢が強力遠征勢を迎え撃つ。その一人、北野輝季(29)をクローズアップ。亡き師匠への感謝、家族への愛などを胸に、現在の自身の置かれるポジションを確認すべく走り慣れた水面での激闘に挑む。 -今回のとこなめ周年への意気込みは? 北野「久しぶりにA1級に戻ってのGI戦。30歳手前になって今の自分がどれだけできるのか、どこまで通用するのかを確かめたいですね」 -強豪相手に胸を借りるシリーズになる。 「以前はとにかくスタートを決めて攻めるだけだったしエンジン、プロペラ調整の理屈とかもあまり分からなかった。今はいろいろと考えるようになった。調整の面でもやれることをしっかりやりたい。どんなエンジンを引き当てるか分からないけど、今持っている引き出しをフルに活用して走りたい。通用しないとは思っていないし、気持ちの面では負けていません」 -地元とこなめへの思い入れは強いはず。 「小学生の時、ボートが好きだった、じいちゃんと父親と一緒に行ったのがとこなめボート。初めて、そのスピードや音に格好いいなと思った。週末によく連れていってもらい、自分もレーサーになりたいと思い始めた。ここでレースをする自分の姿を夢見てきた。今回はA1級に復帰したばかりなのに周年に呼んでいただけた。その恩返しを結果で伝えられたらいいな、と思っている」 -07年11月のデビュー地であり、10年8月に初優出優勝を飾っている。 「振り返ると、とこなめだったから初優勝できた。勢いとかまぐれという感じもあったけど、間近で見てきて、将来走りたいと思い続けた水面。友だちとか近所の人とか、応援してくれている方の力も大きかったと思う」 -ボートレーサーとして一番心掛けていることは。 「楽しむことですね。今、本当に楽しい。走れていることがうれしく、そこで勝負できている現実がある。師匠だった上島(久男=故人)さんにも『輝季、ボートを楽しめ!』と聞かされてきました」 -上島さんとの出会いを教えてください。 「中学2年の時にボートレースの雑誌に上島さんのペラグループの特集記事があって、あれっ? このプレハブ小屋見たことあるぞ、という写真が載っていた。実家(愛知県武豊町)の近くだったので自転車で行って以来、遊びに行かせてもらっていました。ボートレーサー養成所を卒業してきた時に、上島さんがプロペラを3枚用意して待っていてくれた。そのころは持ちペラ制だったし、自然と上島さんのところでお世話になるようになった」 -強気なスタート攻勢は師匠ら受け継いだものか。 「デビュー戦はチルト1・5度でした。その時は分からなかったけど、今思うとそういうペラの形だったのかな。上島さんはペラを作るのがすごくうまくて、アドバイスをもらいながら仕上げを手伝ってもらった。持ちペラ最後の節となった博多(福岡ボート)で優勝戦に乗ることができた時のペラも作ってもらった。家の玄関に飾ってあるペラで、結婚式のリングピローにも使った思い出のペラです。レース自体もスタートに関しては上島さんのまねをしているわけじゃないけど、似ていっちゃったのかな。ボートレースでスタートは大切。課題でもあり、有効活用していかなければならない。事故のリスクはあり、それで家族に迷惑をかけることもあるけど」
-家族の力も大きい。 「そうですね。ママ(妻の枝里さん)や子どもたち(心彩ちゃん、永麻ちゃん)と会える時間、遊べる時間もそうないので、レースに行っていない休みの日は買い物に出掛けるなど家族と過ごしている。気持ちのオンとオフを切り替えられるようになった。家でリラックスしている時間はオフ。子どもたち、家族と遊ぶためのスイッチという点ではオンですね」 -休日に必ず行く場所とかはありますか?
「お墓参りですね。デビューしてからずっと行っています。北野家のご先祖さまに、前の節のお礼と次にまた行ってきますということを伝えます。ボートには『北野』と大きくネーミングされているじゃないですか。代々、北野家の中で、普通のサラリーマンとかとは違う仕事をさせてもらっている感謝の気持ちは大きいです」 <北野輝季(きたの・てるき)> 1989(平成元)年2月28日生まれの29歳。173センチ、51キロ。血液型はAB。愛知県武豊町出身。選手養成101期生。愛知支部。同期は篠崎仁志、片岡雅裕、後藤翔之、南佑典、大池佑来、平田健之佑、守屋美穂ら。2007年11月にとこなめでデビュー。初1着は同年12月の桐生一般戦。10年8月のとこなめで初優出初優勝。GI戦初出場は15年3月のとこなめ周年。 ◆とこなめ水面戦略1マークの先が114メートル、対岸側へは128メートルと、全国有数の広さを誇る水面。水質は海水だが、水門が閉じられているレース開催期間中は潮位の変化はない。 1コースからでも1マークをスピードを落とさずにターンができるだけにイン逃げ優位ながら差し、まくり、まくり差しと多彩な技も決まる。冬場は強いホーム向かい風が吹く日が多く、そうなればスロー勢よりもダッシュ勢の注目度が高まる。スリット優位な隊形を築いて、外から一気に先制攻撃を決めるシーンが増えてくる。
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