ペロロンチーノの冒険   作:kirishima13
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第16話 NTRモノは両者の立場で二度おいしい

―――トブの大森林

 

 ペロロンチーノとシャルティアは森の分け入り奥へ奥へと進んで行く。以前村が襲われていた場所から調査を開始し、かなりの奥地まで来ていた。すると突然どこからともなく声が響いてくる。

 

 

「某の縄張りへの侵入者よ。立ち去るのであればよし。去らぬと言うのであれば我が糧となってもらうでござるよ」

「ござる?」

「猿でありんしょうか?」

「猿とは失礼な!もう許してやらないでござる!」

 

 そう言って一匹の魔獣が姿を見せる。白い毛並みにつぶらな瞳を持った巨大なハムスターが。

 

「おお・・・・・・でかいハムスターが喋ってる!」

「ハムスター?某にはハムスケと言う立派な名があるでござるよ!」

「ハムスケ?それは・・・・・・酷い名前だなー・・・・・・ネーミングセンスがまるでモモンガさん並に酷い」

「殿にもらった名前を馬鹿にするとは!許さないでござるよ」

「ごめんごめん、名前を笑ったのは悪かった」

「素直でござるね、まぁ謝るなら許すでござる。某は名乗ったでござるよ。侵入者たちよ、おぬしたちも名乗るでござる」

「俺はペロロンチーノ」

「わらわはシャルティアでありんす、よしなに」

 

 優雅にセーラー服のスカートを持ち上げて礼をするシャルティア。

 

「これはご丁寧に・・・・・・じゃないでござるよ。某はこの地を守護する者。こうして相対した以上命の奪い合いでござる」

「好戦的なハムスターだな。でもハムスターに凄まれても・・・・・・」

「ハムスターじゃなくてハムスケでござるよ!」

「でもハムスターが喋るとかすごいなー。で、名前がハムスケ?」

「もしかして某の種族を知っているでござるか?知っていればどこにいるのか教えて欲しいでござるよ。子孫を作らねば生物として失格であるがゆえに」

 

 ハムスケの言葉が非リア充のペロロンチーノの心を抉りつける。

 

「ぐっ・・・・・・こいつ・・・・・・女の子がいっぱいいて子作りしたくても相手にされない男だっているんだぞ!」

「それは甲斐性なしというのではござらんか?」

「うぐっ・・・・・・お前は同族さえいれば子作りできるとでも思っているのか?」

「出来るでござるよ。魅了(チャーム)の魔法で操ってその間に済ませてしまえばいいでござる」

「いろいろと酷いな!お前!」

「某だって子供を産みたいでござるよ」

「産みたい?え?聞いてもいい?お前ってオス?メス?」

「メスでござるがそれが・・・・・・?」

「その話し方でメスかよ!いや、それなら聞きたいことがある。もしかして人間に化けたりできない?」

「この御仁は何を言っているでござるか!?そんな目で某を見ないで欲しいでござる」

「さすがはペロロンチーノ様、そこに気づかれるとは」

「この人も何を言っているでござるか!?訳が分からないでござる」

「ケモ耳娘とかになれない?そうしたらハム子とでも名付けよう。そのフワフワの耳とか毛を残したまま人間化して・・・・・・いいじゃないか!それなら子作りしても・・・・・・」

「何がいいでござるか!某は変身なんて出来ないでござるよ!」

「え、出来ないの?」

 

 この世のすべてに絶望したような顔で地に手をつき落ち込むペロロンチーノ。シャルティアが肩を叩いて慰めている。そんな様子をハムスケは疲れたように見つめた。

 

「なんで某が悪いみたいになっているでござるか・・・・・・そんなことより命の奪い合いをするでござる」

「戦うって言われても別にそんな理由ないし。うーん・・・・・・村を襲ってたのは帝国兵の恰好をした人たちってことだしこいつは関係ないかな?それともその殿って言うのがペットのこいつに村を襲わせたのか。なぁ、ハムスケ。最近人の村を襲ったりしてないか?」

「人の村?そんなことをするはずがないでござる。某はこの森の守護者。森の外には出ないでござるよ」

「それじゃあ鎧を着た人の集団を最近見なかったか?」

「さっきから質問ばっかりでござる。もう面倒でござる。そちらが来ないのであればこちらから行くでござる」

 

 ハムスケが身構え戦闘態勢を取る。ペロロンチーノはハムスター相手に戦うのもどうかと思ったが、いろいろと聞きたいこともある。アウラを連れてきていれば能力(スキル)で従属できただろうが、ペロロンチーノにその力はない。仕方なしに弓を取り出し、上空へ飛び立つ。

 

「ずるいでござる。空を飛ぶのはずるいでござるよー」

 

 ハムスケが地上で騒いでいるが、ハムスターがはしゃいでいるように見えて可愛らしい。ペロロンチーノはため息を吐くとハムスケを外すように周囲に弓による爆撃攻撃を行うのであった。

 

 

 

 

 

 

 巨大なハムスターが恐怖に身を震わせて小さくなっていた。周囲にはクレーターのように爆撃跡が出来ており、ハムスケの場所だけがそこから外れている。

 

「じゃあこいつはペロロンチーノ様のペットにするというこでいいでありんすか?」

「それは困るでござる。某の主は殿のみ、他の誰かに仕える気はないでござるよ」

「主って誰?」

「殿は殿でござるよ」

「いや、それじゃ分からないから。まぁいいか。ん?お前なんか指にはめて・・・・・・。指輪?」

 

 ペロロンチーノはハムスケが赤い宝石を付けた指輪をしているのに気づきそれを取り上げる。

 

「これどっかで見たような気がするなぁ・・・・・・どこだったか」

「返すでござるよ!それは殿より守護者の証としていただいた大切な指輪でござる」

「どこだったかなぁ・・・・・・」

 

 ペロロンチーノが思い出そうと頭を捻っていると、森の木々からから声が聞こえてきた。

 

「あ、あのー・・・・・・ちょっといいかな。余りこの辺りで暴れないで欲しいんだけど」

 

 怯えるような震え声がした方向を確認するとドライアードが木の影から恐る恐る見つめている。

 

「ドライアード・・・・・・なのか?エロくない・・・・・・ゲームによってはエロいのに・・・・・・。ケモ耳娘もいなけりゃ、ドライアードは可愛くもない。何だんだ、このクソゲは!」

 

 半裸の妖精のような姿を想像したペロロンチーノはがっかりしている。

 

「何いきなりがっかりしているんだい。失礼な人だね君は」

「おぬしの気持ち何となくわかるでござるよ」

 

 ハムスケがドライアードの肩に手を置いて頷いている。

 

「ていうか、誰?」

「僕はこの木の精、ドライアードのピニスン・ポール・ペルリア。君たちは・・・・・・人間と・・・・・・魔獣?」

「俺はペロロンチーノ、こっちはシャルティア」

「某はハムスケでござる」

「で、なんで暴れたらいけないんだ?」

「それだよ!ここの地下には魔樹が封印されているんだ。あまり暴れてもし起こしでもしたら・・・・・・」

 

 その瞬間、地面が激しく揺れ動く。枯れ木となった地帯の大地が盛り上がり、巨大な樹木が現れた。樹木というにはあまりにも恐ろしいそれは大きな牙の生えた口と多数の蔓のような触手をもち、大きさは数百メートルはあるだろう。

 

「あわわわわ、そんな・・・・・・まさか・・・・・・」

「なんと強大な・・・・・・某では勝てぬでござるなぁ・・・・・・」

「おおー、まるで死亡フラグのようないいタイミングだな」

「あれは・・・・・・結構強いでありんすね。勝てなさそうには思いんせんが」

「勝てる!?あれに勝てるって言うのかい君たち!?」

「勝てるだろうけど・・・・・・まずは友好的に対話を求めてみよう。このハムスターみたいに好戦的とは限らないからな」

「確かに某は戦いが嫌いではないでござるが、戦闘狂のように言われるのは心外でござるよ」

「友好的!?あれに会話が通じるとでも思っているのかい!?」

「そういう偏見がいけないんだ。モンスターだからっていきなり攻撃するのは乱暴だろう。もしかしたらモンスター娘に変身する可能性もある」

「ないないない。ないってあれは・・・・・・」

 

 ピ二スンが言い終わる前にペロロンチーノは飛び立っていた。そして魔樹に近づく。

 

「やあ、こんにちは。俺の名はペロロンチーノ。お友達になりませんか」

 

 にこやかに手を差し出したその言葉に帰ってきたのは咆哮であった。触手が二度三度とペロロンチーノを打ち付け、完全に地面にめり込むまで打ち込み続けた。

 

「ああ・・・・・・だから言ったのに・・・・・・もうおしまいだー!」

「ええ、おしまいでありんすね・・・・・・。ペロロンチーノ様にあれほどの無礼を働くなど・・・・・・殺す!」

 

 シャルティアが能力(スキル)により装備を完全武装の赤い鎧への切り替え、スポイトランスを構える。しかし、それを地面の下より飛び立ってきたペロロンチーノが止めた。

 

「話し合いが通じない・・・・・・か。仕方ない、誰かに被害を与えるなら倒してしまうか。シャルティア。その二人を守っていてくれ俺が相手をする」

「畏まりんした。我が君」

 

 ピニスンとハムスケを守るように槍を構えるシャルティア。

 

「え?え?あれでなんで無事なの?ありえなくない?」

「黙って見ているでありんす。あの御方こそ、この世界で最も尊い御方。その目に焼き付けておきなんし」

「は・・・・・・はい・・・・・・」

 

―――そして、ペロロンチーノと魔樹の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 深い森に潜伏するように漆黒聖典が身を伏せていた。

 

 長髪の黒髪で白く輝く鎧に古びた槍をもっているのは漆黒聖典の隊長である。

 

 そして、白銀の生地に天に昇る龍が金糸で刺繍されたチャイナドレスを纏っているのはスレイン法国の幹部であるカイレ。老婆といっていい年齢でありスリットの隙間から枯れ枝のような足が出ており思わず顔を背けたくなる。

 

 漆黒聖典のメンバーとしては、大盾を持った騎士は第八次席である《巨盾万壁》セドラン。探知能力に優れた第十一次席の女性《占星千里》、さらに大剣を持った第六次席や、ブレザー型の女子学生服のような衣装を着た第七席次もそろっている。なお、番外席次は同行していない。彼女は法国での守護の役目があるからだ。各々が六大神から受け継いだ強大であるがこの世界の常識からは外れた格好である。

 

 そんな彼らは、破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)を捕獲しようと来てたのだが、噂の冒険者、《変態》の二人がそこであろうことか、破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)と戦っていたのだ。

 

「あの戦っている男・・・・・・ただ者ではないですね。そしてあそこでモンスターと共にいる女も。ドライアードからはそれほどの脅威は感じません。あの魔獣も倒せる範囲内かと」

「しかし隊長、いかがいたしましょうか」

「とりあえず様子を・・・・・・」

 

 漆黒聖典隊長がそう言いかけたときには、魔樹の触手が全て矢で吹き飛ばされていた。光の雨となって降り注ぐ矢が魔樹の全身に突き刺さり火を噴き上げる。もはや勝敗は決していた。

 

「一人で破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)を倒す存在・・・・・・危険ですね。ですが、それよりも強大な力を持つというヴァンパイア。眷属を作り出し無限に災いを引き起こすアレを今のうちに何とかしましょう。もし彼が眷属であればそれで解決です」

「仕掛けますか」

「ええ、行きます。もしもの時は・・・・・・カイレ様、お願いしますね」

「任せておくがいい」

「では行くぞ!」

 

 隊長の一声により風のように一気にシャルティア達に詰め寄った漆黒聖典はまずは邪魔な弱者から片付けることとする。モンスターに容赦などする必要もない。隊長の驚異的な速さの槍がハムスケに届くかと言ったところで、シャルティアの槍がそれを防ぐ。

 

「ぬし・・・・・・何をするでありんすか?ペロンチーノ様が守れと命じたこの者達を傷つけようと・・・・・・」

「モンスターなど生きる価値なし!」

 

 そう言って包囲を狭め、殲滅を開始しようとする漆黒聖典。シャルティアの頭にペロロンチーノから言われたことが思い出される。人を傷つけないように、人を殺さないように、弱いものは守ってやれ、シャルティアはそれが良いことと信じた。だが、現実は非情だ。かつて至高の存在も人間に迫害されていたという神話を聞いたこともある。至高の存在がこれほど慈悲をかけているのに、恩を仇で返すとはこの事でなないのか。人間とはなんと愚かな生き物なのか。シャルティアはその理不尽に我を忘れかける。

 

「やれ!」

 

 その瞬間、隊長の後ろにいた、龍の刺繍の入ったチャイナドレスを着ている老婆から光が溢れる。溢れた光はドラゴンの形となりシャルティアへと迫った。これこそ法国の至宝、六大神の残した世界に匹敵する効果を持つアイテム《傾城傾国(ケイ・セケ・コゥク)》である。その効果は相手への強力な魅了という洗脳効果。

 

 ———これは食らっては不味いものだ。そうシャルティアは理解したが、避けては後ろにいるハムスケやピニスンに直撃する。ペロロンチーノが守れと言った者たちだ。守らねば、そう思い、能力(スキル)《不浄衝撃盾》を発動させる。しかし、相手の攻撃を防ぐことはなかった。防御スキルでも防げないほどの攻撃。せめて武器で防ごうとスポイトランスを体の前に翳したところシャルティアの体が、トンと軽く押し出された。魔樹を倒したペロロンチーノが全速力でシャルティアを庇い押し出したのだ。そして代わりにペロロンチーノがその光を浴びることになる。

 

 光を浴びた瞬間、ペロロンチーノの頭の中が真っ白になり、そして頭の中の空白に(おぞ)ましいものが現れる。

 

 

―――それは

 

 

 

 ()()()である。目の前にいるチャイナドレスを着たババアで頭の中がいっぱいになる。

 

 

 

―――ペロロンチーノを見つめ、ウィンクして投げキッスをする()()()

―――「お兄ちゃん起きて!」と布団をめくり顔を赤らめる()()()

―――「ばばあ」と書かれたスク水の食い込みを指でパチンと直す()()()

―――半裸に剥かれ「くっ殺せ」と睨みつける()()()

―――恥ずかしがりながら服を脱いでいく()()()

―――両手で胸を隠し、上目遣いに見つめてくる()()()

―――背中から裸で抱きつき、「好き」と囁く()()()

―――耳にふっと息を吐きかけてくる()()()

―――腕にしがみつき胸を押し付けてくる()()()

―――縄で縛られ恥ずかしそうな嬉しそうな目で見つめてくる()()()

―――ペロロンチーノを踏みつけ、欲情した目で罵ってくる()()()

―――触手に全身を絡め取られて蠢く()()()

―――メイドの恰好で「ご主人様のエッチ」とスカートを持ち上げる()()()

―――ベッドに入り、ペロロンチーノの×××(ピー)×××(ピー)する()()()

 

 そんな悍ましい映像で頭の中でいっぱいになるのにそれがまったく不快ではなく、むしろ喜びさえあるのがさらに恐ろしい。こんなババアを好きになれと言うのか。

 

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だなんでババアなんだ若い子にしてくれできればロリがいやロリでなくても構わないお姉さん系でも獣娘でもスライム娘でもなんでもいいからああもう贅沢は言わないからあああああああああああああああああああせめてロリババアにしてくれえええええええええええええええええええええええ!」

 

 ペロロンチーノは頭を埋め尽くすババアから解放されたくて頭を撃ちつけ地面を転げまわる。

 

「嫌だーーーーーーーーーーーーーー!!ババアは嫌だあーーーーーーーーー!!!」

 

 ペロロンチーノは力の限り叫んだが、その声は徐々に小さくなり、やがてその眼から光を失った。

 

 

 

 

 

 

 自分を庇いペロロンチーノが攻撃を受けた。シャルティアにとってそれはもはや許せることでない。

 

「ペロロンチーノ様に何をしたババアああああああああああああ!」

 

 シャルティアが怒りに目を真っ赤にし、即座に清浄投擲槍に能力(スキル)追加してババアに撃ち込む。大盾を持った漆黒聖典隊員が防ごうと立ち塞がるが、その大盾どころか体ごとカイレともども撃ち抜かれる。

 

「カイレ様!セドラン!」

「・・・・・・我らを連れて逃げよ!ペロロンチーノ!ぐふっ・・・・・・」

 

 血を吐いて意識を失う前にカイレが言った一言。その一言だけで充分であった。続いて武器を振るおうとしたシャルティアの前にペロロンチーノが刹那の速さで立ちふさがる。

 

「あ・・・・・・ペロロンチーノ・・・・・・様?ご無事ですか?」

 

 シャルティアはペロロンチーノに手を伸ばす。しかしその手は払いのけられた。そしてシャルティアを冷たい光を失った目で見つめる。ペロロンチーノは擬態を解くと漆黒聖典の生き残り、そして死んでいると思われる二人をそのカギ爪のついた足、そして両腕で抱え、垂直に飛び上がった。そこから一気に4つの翼をはためかせ音速で飛び去る。

 

「人間ではなかったのか!」

「何というスピード・・・・・・息が・・・・・・」

「・・・・・・ババアは嫌だ・・・・・・ババアは嫌だ・・・・・・ババアは嫌だ・・・・・・ババアは嫌だ・・・・・・ババアは嫌だ」

「きゃああああ!隊長!この人あたしのお尻を揉んでくるんですが!」

「我慢しなさい!ここは引くしかありません!」

 

 驚く漆黒聖典の面々、ぶつぶつとつぶやき続けながら自らを慰めるように女性隊員のケツを揉み続けるペロロンチーノ、悲鳴を上げる占星千里、それを横目に見ながら隊長は逃げの一手を打つ。戦ってもこちらの消耗のほうが激しいと判断して。

 

 

 

 

 

 シャルティアは自分の払い除けられた手を見つめる。自分の主人ペロロンチーノからの初めての拒絶。どんなことでも許してくれた主人からの反発。それが恐ろしいほどのショックとなってシャルティアを襲った。しかし、それは彼らに操られているからなのではと思いつき急いで後を追う。

 

「ペロロンチーノ様!」

 

 必死に《飛行(フライ)》で追いすがるがレベル100の鳥人(バードマン)には追いつけず、次第に距離を離される。シャルティアは恐怖に身を震わせる。ペロロンチーノを失った未来を想って。今までの楽しい思い出が走馬灯のように頭を通り過ぎていく。一緒にした冒険、一緒にした失敗、二人して怒られたこともあった。でもいつも二人で笑いあっていた。ペロロンチーノが笑うとシャルティアも笑い、シャルティアが笑うとペロロンチーノも笑ってくれた。ナザリックを去ってしまい、会うことが出来ないと思っていた。しかし帰ってきてくれた最愛の創造主。いつも撫でてくれた、手をつないでくれた、一緒にいてくれた。その主人に向かってシャルティアは泣き叫ぶ。涙があふれて止まらない。

 

「ペロロンチーノさまああああああああああああ!」

 

 やがてペロロンチーノの姿が見えなくなるが、シャルティアはいつまでも追い続ける、魔力が枯渇し墜落して地面を舐めるまで。






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