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【社会】

野田・女児死亡 保護解除後、自宅訪問せず

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 千葉県野田市の自宅で小学四年の栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した事件で、二〇一七年十一月に心愛さんを一時保護した県柏児童相談所などが二十八日に記者会見し、一時保護の解除後から事件までの一年余、柏児相と学校の職員が一度も自宅を訪問していなかったことを明らかにした。柏児相の二瓶一嗣(にへいひとし)所長は「変化に気付けず対応に不足があった」と認めた。

 柏児相などによると、一七年十一月、当時通っていた野田市内の小学校で心愛さんが「父に背中や首、顔をたたかれる。『てめえ、早く宿題やれ』と言われた」と明かした。ほほにあざがあったため、父親の勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=から「身体的虐待を受けている疑いがある」と野田市から連絡があり、柏児相が同年十一月七日、一時保護した。

 保護中に柏児相は八回、勇一郎容疑者と面談したが、「心当たりがない」と虐待を否定。心愛さんは「父親が怖い」と面会を拒んでいたが、その後、心愛さんが「家に戻っても大丈夫」と話したことから、児相は親子関係が改善されたと判断、同年十二月二十七日に一時保護を解除した。

 心愛さんは親族宅を経て一八年三月に自宅に戻り、その間に、死亡時に通っていた小学校に転校した。

 今月七日、心愛さんは始業式を欠席。勇一郎容疑者からは学校に「沖縄にいるのでしばらく休ませる」と連絡があった。心愛さんは遺体が発見される二十四日まで欠席を続けていたが、学校は一度も所在を確認していなかった。

 児相も二十二日に学校から欠席状況を聞いたが、不審に思っていなかったという。

 市は心愛さん一家が一七年八月に沖縄県内から野田市内に転居してきた当時から、勇一郎容疑者による妻への暴力の情報を把握し、児相とも情報を共有していたという。

 勇一郎容疑者は、心愛さんに自宅で冷水シャワーをかけたり、首付近をつかんだとして傷害容疑で逮捕。千葉県警は二十八日、司法解剖の結果、心愛さんの死亡推定時刻は今月二十三~二十五日で、体中にあざがあったものの、直接の死因は確認できなかったとした。県警は暴行と死亡との因果関係を調べる。

 

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