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 女子シングルスで昨年の全米オープンに続く4大大会優勝を狙う第4シードの大坂なおみ日清食品)は、粘り強かった。相手は昨年9月に日本で開催された東レ・パンパシフィック決勝で敗れた第7シードのカロリナ・プリスコバ(チェコ)。第1セットを取った後に第2セットを失い、流れが相手にいきかけたが、第3セットで再び流れを引き寄せた。▼1面参照

 26日の決勝(日本時間午後5時半以降)では、ウィンブルドン選手権を2度制している第8シードのペトラ・クビトバ(チェコ)と対戦、勝てば世界ランキング1位となる。クビトバは準決勝でノーシードから勝ち上がったダニエル・コリンズ(米)を破った。

 男子シングルス準決勝では、第2シードのラファエル・ナダルスペイン)が第14シードのステファノス・シチパス(ギリシャ)を6―2、6―4、6―0で下し、2年ぶり5度目の決勝へ駒を進めた。

 ▽女子シングルス準決勝

クビトバ(チェコ) 7―6、6―0 コリンズ(米国)

 (共同)

大坂(日清食品) 6―2、4―6、6―4 Ka・プリスコバ(チェコ)

 (共同)

 ■ハイライト

 マッチポイントで、大坂は時速179キロのサーブを放った。球はセンターで跳ね、いったんはフォールトとみなされた。

 「第2サーブは打ちたくない。入っていて」

 大型モニターを見上げ、胸の前で手を合わせて祈った。CGを駆使した判定は、白線にごくわずかにかかる「イン」だった。「チャレンジ」で結果を覆した大坂は両拳を握ると、うれしそうに跳ねた。

 第3セットは、2ゲーム目で3度もブレークされそうになった。スピンのきいたフォアのクロスハンドを打ち、相手の打ち損ないを誘う。広角に振ってスペースをつくり、ダウンザラインを決めた。2セット目から続いていた嫌な流れを断ち切ると、直後のゲームでブレークに成功。競り合いで優位に立った。

 第1セットから一気にストレート勝ちするのが、大坂の必勝パターンだった。それが、今大会は逆転を含めて3度のフルセット勝利だ。21歳は、耐えて勝機を見いだすことや、ストローク戦で優位に立つしたたかさを覚えつつある。

 準々決勝を終えた後、「ミスの少ない選手との対戦に慣れることができた。私の組み合わせは良かった」と言った。この準決勝では、やはりミスの少ないプリスコバのお株を奪うような、相手を手玉に取るプレーも見せた。緩いサーブで、速さを警戒する相手の裏もかいた。

 大坂は、初優勝した昨年の全米オープン決勝前、「負ける夢は見ません」と語った。あれから4カ月。こんなに早く巡ってきた、4大大会の戴冠(たいかん)のチャンスだ。それも、勝者が世界ランキング1位も手に入れるというシチュエーション。

 「誰だってすぐに世界1位になれるわけじゃない。もしも、私がなれたら信じられない」

 (富山正浩)

 ■優勝の夢は続いている 決勝はタフな試合に

 大坂の試合後の会見での主なやりとりは次の通り。

 ――マッチポイントで「チャレンジ」した時の心境は。

 「全身全霊で念力を送った。第2サーブは打ちたくなかった」

 ――日本初の世界1位になる可能性について。

 「8強に残ったあたりで可能性を聞き、一つの目標になった。ただ、私にとっては優勝がより大きな目標。ランキングは後からついてくるもの」

 ――4大大会で初優勝し、またすぐに決勝までたどり着くと思っていたか。

 「ちょっと現実離れしている。でも、信じてオフシーズンを過ごした。グランドスラム(4大大会)は私にとって最も大事な大会。年に4回しかなく、ベストを尽くそうとしている」

 ――昨年の全米決勝前には、「負ける夢は見ない」と言った。今回も同じか。

 「誰もが勝ちたいと願うのは一緒。この大会で優勝したいという私の夢は続いている。彼女(決勝の相手のクビトバ)もきっと同じ。あさってはきつくてタフな試合になる」

 (富山正浩)

 ■日清広告、「理解できる」

 大坂は準決勝後の会見で、スポンサーの日清食品グループが、自身を起用したアニメ動画広告の肌の色を実際より白く描いたことについて批判を受け、動画を削除したことについて、海外メディアから見解を問われた。初めて質問を受けたといい、「たくさんの日本人記者がここにいるから聞いてみたら?」と逆に質問。「騒ぐ人たちのことも理解はできる。この件についてはあまり気にしてこなかった。答えるのはきちんと調べてからにしたい」と話した。

 ■クビトバ、重傷乗り越えた

 フォアハンドを振り抜いて試合を終わらせると、感慨深げに笑みを浮かべた。2度、ウィンブルドン選手権女王に輝いたクビトバは約2年前に自宅で強盗に襲われて利き手の左手首に重傷を負って以来初めて4大大会決勝に進んだ。「(近年は)4大大会の決勝に出ることが目標だった。やっとそれができた」。強い思いが言葉からにじんだ。

 第1セットは勢いのあるコリンズのパワーに苦しめられた。「フルスイングをして必死に戦った」と強打で対抗し、タイブレークの末に先取した。ショットがさえた第2セットは6ゲーム連取で圧倒した。

 手術をした左手首のけがを乗り越えた現在を「セカンドキャリア」と言う実力者が再び脚光を浴びるステージに戻ってきた。

 (共同)

 ■上地が決勝へ 車いすの部

 車いすの部は24日、女子シングルス準決勝で第2シードの上地結衣(エイベックス)はアニク・ファンクート(オランダ)を6―1、6―4で下し、決勝に進んだ。男子のシングルス準決勝で国枝慎吾ユニクロ)はステファン・オルソン(スウェーデン)に4―6、6―3、3―6で敗れた。

 (共同)

 <訂正して、おわびします>

 ▼25日付スポーツ面「日清広告、『関心無い』」の記事で、大坂なおみ選手の発言内容が「なぜ多くの人が騒いでいるのか分からない。この件についてはあまり関心が無いし、悪く言いたくない」とあるのは、「騒ぐ人たちのことも理解はできる。この件についてはあまり気にしてこなかった。答えるのはきちんと調べてからにしたい」の誤りでした。大坂選手の英語での会見内容を、誤って訳しました。

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