オーバーロード<落書き集>   作:焼きプリンにキャラメル水
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妄想・捏造全開の話です。
『ワールドチャンピオン』を決める大会が開催されます。
『たっち・みー』『武人建御雷』や他のキャラたちが出てきます。

独自の解釈や考察、特に『九人の自殺点』については捏造設定です。

時系列としては
ナザリック地下大墳墓を制覇してギルド:アインズ・ウール・ゴウンを結成した後の話です。








ワールドチャンピオン・トーナメント

これはユグドラシルが全盛期であった時・・

 

少し前にナザリック地下大墳墓を得た頃・・

 

まだ『ヴァルキュリアの失墜』がアップデートされる前の話である。

 

 

_________________________

 

ユグドラシルのマップの一つにそのプレイヤーはいた。

 

漆黒のガウンを身にまとい、金や紫の刺繍がされている装備を着込んでいる。

 

「遅いなぁ・・・」

 

骨の腕を組み、友人を待つ。

 

その骸骨はアルフヘイム内にある『闘技場』と呼ばれる場所の前にいた。

 

 

 

 

ユグドラシルには広大なマップ・・『ワールド』と呼ばれるものがある。

 

アーズガルズ、アルフヘイム、ヴァナヘイム

 

ニダヴェリール、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム

 

ニヴルヘイム、ヘルヘイム、ムスペルヘイム

 

以上9つのワールドである。

 

 

 

その内アルフヘイムは『森妖精<エルフ>』を初めとした人間種にとって有利なワールドである。アルフヘイムは神の一人が王として君臨し統治する場所である。それゆえ神に似せて作られたとされる『人間』や『森妖精<エルフ>』『山小人<ドワーフ>』など『人間種』は神の『加護』を受けることが出来る。だが亜人種は受けることが出来ず、異業種にとっては加護としてではなく発動せず『呪い』の様なものとして発動する。

 

さらにワールド内にある特定の街などは異業種は入ることが出来ないため人間種が異業種の被害に遭うことはほとんど無いなど人間種にとって有利である。これは異業種だけが持つモンスターレベルを上げることで攻撃力はより強く攻撃範囲はより広がる傾向が強いため、それに対する避難場所として街などが存在する。勿論街などは破壊できない仕組みになっている。

 

そんな場所に異業種であるアンデッドは目立つ。

 

本来であればこんな所で一人でじっとしているアンデッドはPKされても仕方が無い。だが街の中の為PKされる心配は無い。通常時であればアンデッドであるプレイヤーはこの街に入ることは叶わない。しかし今日は特別な日であり街に入ることが叶う。そのためそのプレイヤーがPKされる心配は皆無である。

 

周囲から嫌な顔・・・ゲーム内では表情は変わらないが、視線は感じておりそこから察するに「何でこんな所にアンデッドが?」と思われているはずなのはそのプレイヤーは気付いていた。

 

「あぁ・・やっぱりみんなと先に会場に入った方が良かったかな・・でもな・・」

 

そんなことを呟いているアンデッドのプレイヤーの画面に一件の通知が届く。

 

 

 

------『たっち・みー』がログインしました。------

 

 

 

 

純銀の聖騎士が離れた位置に現れる。それを見た骸骨が手を振る。

 

「こっちです!たっちさん!」

 

手を振るアンデッドに気付き聖騎士は返事する。

 

「モモンガさん!」

 

たっち・みーはモモンガに向かって走る。左肩に背負うマントがヒラヒラと揺れる。

 

『アンデッド』に向かって走る『聖騎士』。2人の関係を知らない人間が見たら『魔王に立ち向かう勇者』か何かと誤解しただろう。

 

「すいません。遅くなって・・」

 

「いえいえ仕方無いですよ。リアルの事情があるんでしょ?行きましょう。他のギルメンの皆さんはもう来ていますよ。受付を済ませましょう」

 

そう言って会場の入り口の所に向かう。そこには受付にはエルフの女が立っていた。

 

「お名前は?」

 

「『たっち・みー』です」

 

瞬間辺りがざわついた。周囲の視線が二人に向けられる。

 

 

 

 

 

ざわざわ

 

「凄ぇえ。あれが『純銀の聖騎士』か・・・」

 

「あれだけ強いプレイヤーを従わせるギルド長の『モモンガ』絶対ヤバいだろ・・・」

 

「やめとけ!聞こえたらPKされちまうぞ」

 

「ワールドチャンピオンより上のプレイヤーって・・マジで『魔王』か、何かなのか?」

 

「噂じゃ『モモンガ』がギルド長やってるのは『たっち・みー』に勝ったからだとか・・」

 

ざわざわ

 

「かっけぇぇぇ」

 

「やっぱオーラあるな・・・」

 

「異業種だけど憧れるよなぁ」

 

「俺・・昔あの人たちに助けてもらったんだよなぁ。何か出来ないかな?」

 

ざわざわ

 

「俺、握手しに行こうかな・・」

 

「やめとけ。お前じゃ相手にされねぇよ」

 

「『モモンガ』に握手を求めるなよ。あいつ手の代わりに心臓握ってくるらしいぞ」

 

ざわざわ

 

「けっ・・くそたっち」

 

「まぁまぁ女性プレイヤーでも見て・・・ほらあの女騎士の装備見てよ。脇の隙間エロくない?」

 

 

 

 

 

(やっぱ『たっち』さんは凄いなぁ。それに比べて俺の評判悪すぎない?握手の代わりに心臓握るってどこの魔王だよ!)

 

モモンガは内心セルフツッコミを入れた。

 

(そりゃそういうロールプレイをしてきたのは俺だけど・・)

 

「どうしたんですか?モモンガさん」

 

(それに比べてたっちさんは良いよな・・・聖騎士だもんな・・やっぱかっこいいな)

 

「何でもありませんよ。さぁ行きましょう」

 

(今度新しいロールプレイについてウルベルトさんとタブラさんに相談してみようかな・・)

 

 

 

 

『たっち・みー』と『モモンガ』が会場に入る。

 

今日はユグドラシル内でも特に盛り上がるイベントだ。

 

 

 

 

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!!

 

ワァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!

 

バン!!

 

バン!!!!!!!!

 

バーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

プレイヤーたちの歓声や花火の音が響き渡る。

 

「アルフヘイムのワールドチャンピオン・トーナメントに参加する方はこちらにどうぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

『ワールドチャンピオン・トーナメント』

 

 

この運営が公式に開催する大会で優勝することで『ワールドチャンピオン』という戦士職を取得する資格を得られる。

 

この職業はユグドラシル内でも運営が公式チートと認めるほどのものである。

『ワールド』と付くものはユグドラシル内では最上位するものである。

 

 

これを取得する条件はユグドラシルの運営が『公式に』開催する大会で優勝することである。

 

 

 

3年に1回しか大会は開催されずこれを逃せばしばらく取得は不可能である。だが裏を返せば一度ワールドチャンピオンを取得した者は3年間は何があっても資格を奪われる心配は無いというメリットもある。

 

取得できれば『次元断切』や『次元断層』といったスキルも使用できる。また自身が優勝したワールド内であればステータスが上昇するというおまけつきだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつ来ても凄いですねぇ・・・」

 

「えぇ」

 

ここはアルフヘイム。

そのためか周囲にいるプレイヤーは人間種が7、亜人種が2.5、異業種が0.5の割合といったところだ。

やはり異業種の2人は明らかに浮いていた。

 

プレイヤーたちが溢れかえり、談笑しあっている。それも色々な種族の者たちで溢れかえっていた。だが彼らを見て話しを中断する者も多かった。

 

「・・・・」

 

「どうしたんですか?たっちさん」

 

「いえ少し昔を思い出しまして・・・」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

初めてワールドチャンピオンになったあの時からどれだけの時間が経っただろう

 

初めてこの会場を訪れた時は一人ではなかった。あの時は『九人の自殺点』・・つまり9人で来ており『あの人』もいた。

 

だからだろう。少し昔を思い出した。

 

 

 

 

ユグドラシルを始めて・・・

 

『弱者救済』を掲げ仲間を集め

 

『九人の自殺点<ナインズ・オウンゴール>』を結成して

 

楽しかった・・・本当に楽しかった・・・

 

でも・・・・

 

九人の自殺点の一人・・・

 

『あの人』のことを私は理解出来ていなかった・・・

 

それが原因で『あの人』は去って行ってしまった。

 

他の六人は「仕方ない」と言ってくれた。

 

だが私が欲しかったのはそんな言葉じゃなかった。

 

メンバーの一人に「放っておけばいい」と言われた時は何とも言えない気持ちになった。

 

唯一『モモンガ』さんだけは一緒に謝りに行こうと言って手を差し伸べてくれた。

 

だけど私はその手を取るのを躊躇した。

 

私は悩むでべきではなかった。

 

もしあの時に私がもっと早くモモンガさんの手を取っていれば・・・

 

もっと早く『あの人』に謝っておけば良かったと・・・

 

『あの人』がログアウトする前に謝れば・・・

 

『あの人』がそのままクランから去ることもなかっただろう。

 

今でも思い出す。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

 

 

「ありましたね・・・」

 

モモンガの声のトーンが少し下がる。

 

(しまった!『モモンガ』さんだってあの時のことを気にしていたのに)

 

「すいません。嫌な思いをさせてしましまいました」

 

「いえ・・気にしないで下さい。それより早く建御雷さんと合流しましょう。この先にいるはずです」

 

モモンガは半ば無理やり話題を変えると急ぎ足になる。

 

モモンガとたっち・みーが歩いていくと見知った顔がいた。

 

「よう。モモンガさん、たっち」

 

紅具足に身を纏う刀を持った半魔巨人<ネフィリム>のプレイヤー。

 

アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーの一人『武人建御雷』である。

 

「建御雷さん!控え室はどこですか?」

 

「俺も今から行くところだ。一緒に行くか?」

 

「えぇ。ご一緒します。ではモモンガさん。応援よろしくお願いします」

 

「えぇ。あっ!その前に・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ワールドチャンピオン・トーナメント』・・・

 

それは各ワールド内で行われ、PvPの勝利数などから上位64名のプレイヤーが各ワールドごとに選出される。その際の職業や種族は不問である。極端な話だとレベル100の魔法詠唱者<マジックキャスター>でも参加は可能である。ただしPvPという試合形式のため戦士職の方が圧倒的に有利である。

 

アインズ・ウール・ゴウンの中から参加されたのは『たっち・みー』と『武人建御雷』の2名のみであった。

 

『ウルベルト・アレイン・オードル』も選出されたが今回は見送った。理由は簡単。メリットが無いからだ。

この大会はワールドチャンピオンの職業を与えられる大会でもあるが大会中に敗北すれば既にワールドチャンピオン取得者はワールドチャンピオンの資格を運営から剥奪される。そこまでやる運営ならば資格を持つプレイヤーをPKすることで資格を奪える『ワールドディザスター』の職業をウルベルトが試合中に万が一敗北してしまえば倒したプレイヤーが資格を得ることになる。やはりプレイヤーから糞運営と呼ばれるだけのことはある。

 

 

選出される際にどのワールド内にいたかで参加する大会は変わっていく。最も高難易度なのはプレイヤーに男女老若問わず人気で競争率が高い『人間種』にとって有利なワールドだろう。だが少数派の異業種をあえて取ることで簡単に異業種に有利な『ニヴルヘイム』『ヘルヘイム』『ムスペルヘイム』のいずれかのワールドチャンピオンを取得できると考える者も多く、異業種に有利なワールドに人間種のプレイヤーがそれなりにいるという状況を作り出している。

 

そのため人間種のプレイヤーの中でもミドガルズを避ける者も多い。他の八つのワールドで大会に参加する者も多い。

 

(本当はナザリック地下大墳墓があるヘルヘイムのワールドチャンピオンになるのが良いのだろうが・・・)

 

そして現在アインズ・ウール・ゴウンの拠点である『ナザリック地下大墳墓』のあるワールドはヘルヘイムでありアルフヘイムではない。

 

しかもアルフヘイムは異業種にとって決して有利とは言えないワールドだ。異業種が有利なワールドは三つ。

 

ヘルヘイム、ニヴルヘイム、ムスペルヘイムの三つだ。

 

この三つのワールドは『種族特性』などで得られる『耐性』などが無いと活動することが難しい。その代表的な原因は『ブラッド・オブ・ヨルムンガンド』だろう。呼吸不要な種族・・デュラハンなどであればこれを受けても問題はない。異業種は最初から種族特性により耐性を持っている者が大半で、この三つのワールドが異業種にとって有利と言われる理由である。ただし人間種や亜人種でも魔法やスキルそれとアイテムを駆使して耐性を高めることで活動は十分可能である。ただしそういった耐性を重視した装備は戦闘の際には不利に働くことが多く、耐性重視の装備の人間種や亜人種のプレイヤーがPvP専用の装備を整えた異業種のプレイヤーとPvPになった場合はかなりの確率で敗北する。それはワールドチャンピオンですら例外では無いだろう。

 

 

 

 

たっち・みーは思い出す。ギルドのメンバーに言われたことを。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「たっちさん。一度アルフヘイムでワールドチャンピオンを取得した以上アルフヘイムで取るべきだ」

 

「それは何故ですか?『ぷにっと萌え』さん」

 

「『たっち・みー』さんは『アインズ・ウール・ゴウン』の『最強』ですよ。そんなワールドチャンピオンがギルド拠点とは別のワールドでワールドチャンピオンになるからこそ良いんですよ。何故なら・・・・

 

アルフヘイムに何かあるんじゃないか?・・・頭の良い者たちならそう思うはずです」

 

それを聞いてたっち・みーは成程と思う。

 

PKギルドで有名になったアインズ・ウール・ゴウンはPvPの場数が他とは比べ物にならない。

 

「それにアルフヘイムに何かあるんじゃないかと思うことでプレイヤーの想像力が掻き立てられるはずです。アインズ・ウール・ゴウンとアルフヘイムにある何かあると思って無意識に関わり合いを避けようとするでしょう」

 

「成程・・・そういう考え方も出来るんですね。流石は我らが軍師ですね」

 

たっち・みーは心の底から思う。『ぷにっと萌え』は非常に賢くアインズ・ウール・ゴウンの『軍師』又は『諸葛孔明』と呼ばれる人だ。

 

「それに最大の理由としては他のワールドチャンピオンのことがありますから」

 

「何故そこで他のワールドチャンピオンの話が出て来るんですか?」

 

話がまるで分からなかった。どういうことだろうか。

 

「アルフヘイムでワールドチャンピオンなのは『たっち・みー』。もう既にそう認識されているはずです。

 

他のワールドチャンピオンのプレイヤーもアルフヘイムに挑むより自身の拠点が存在するワールドでワールドチャンピオンを保持し続けようとするはずです。下手に動けば自分がワールドチャンピオンじゃなくなり誰かがワールドチャンピオンになるわけですし。

 

そこで更に『たっち・みー』さんがPKギルドで有名になった『アインズ・ウール・ゴウン』に所属していることも

 

大きい。大半のプレイヤーはPKされる可能性も考慮した上で他のワールドチャンピオンに挑むでしょう。それはつまり・・」

 

「過剰な報復を恐れて『アインズ・ウール・ゴウン』の『たっち・みー』に挑む強者が現れないということと他のワールドチャンピオンたちの妨害に繋がると・・」

 

「えぇ。この大会で『武人建御雷』さん以外で強いプレイヤーがいなければ間違いなく・・・」

 

確かに競争率が高いワールドチャンピオンを『安定』して取得できるのはギルド全体で見た場合メリットは大きい。だが・・

 

「その場合他のプレイヤー・・特に敵対する人間種や亜人種のプレイヤーの大半はどこへ行くんですか?」

 

「恐らく自分たちが有利に動ける世界で活動するでしょう。わざわざ異業種に有利なワールドでワールドチャンピオンになろうとはしないでしょうし。そんな酔狂な奴はアインズ・ウール・ゴウンかワールドサーチャーズくらいのもんでしょう。そこで活きてくるのが・・」

 

「私がアルフヘイムのワールドチャンピオンであることですか・・」

 

「えぇ。本来なら異業種に有利な場所を除けばワールドチャンピオン枠は6つあります。それが5つしか無いようなものですから・・・人間種や亜人種のプレイヤーたちはその分勝手に競争しあって潰しあってくれるでしょう」

 

(勉強になるなぁ・・)

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

----選手控え室----

 

 

 

二人は選手ごとに分けられた控え室に入っていく。

 

『モモンガ』さんが念のために情報隠蔽魔法を発動させていってくれた。

 

『控え室だからって油断しない方がいいですよ。二人とも、あの運営に公平さは求めちゃ駄目ですよ』

 

(念には念を・・・そういうことなのだろうな)

 

この大会で敗北した時点で・・不参加ですら『ワールドチャンピオン』の資格はく奪は酷い。あまり人の悪態をつかないたっちですら『糞運営』だと正直思う。

 

 

 

「もし俺たちが戦うことになったらよろしくな。たっち」

 

 

「その時は返り討ちにしてやりますよ。建御雷さん」

 

 

お互いの拳を当てて全力で戦いあうことを約束した。

 

(建御雷さんの実力なら決勝戦まで来るはずだ。油断は禁物だな)

 

(たっちの野郎を今度こそぶっ飛ばしてやる。この建御雷六式で!)

 

 

 

2人が控え室から出ると黒服にサングラスを掛けた男性のプレイヤーが叫ぶ。

 

 

 

「ワールドチャンピオントーナメントを開催だぁぁぁぁっっ!!!!」

 

「実況及び解説は私・・グラサンがやらせていただきます」

 

グラサンがマイクを持って説明する。

 

「さて皆さんも知っての通り、ワールドチャンピオンっていうのはですね・・・大会中に負けたら取得資格を喪失します。なのでワールドチャンピオンの方は負けないように頑張って下さいね」

 

 

 

「それでは一回戦んんんんん!!!!青コーナー・・・・」

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

『たっち・みー』も『武人建御雷』も決勝に進出した。

 

「じゃあ後でな。たっち」

 

「えぇ」

 

そう言って武人建御雷はどこかへと歩いて行った。

 

 

 

 

 

「決勝進出おめでとう。『たっち』君」

 

声を掛けられたたっちはドキリとした。その声に聞き覚えがあったからだ。

 

「あぁ・・・・」

 

「どうしたの?私がいるのがそんなにおかしい?」

 

彼女の種族は森妖精<エルフ>だ。

ここはアルフヘイム。むしろ異業種である『たっち・みー』がいる方がおかしいくらいだ。

 

「いや・・そうじゃないんだが・・・」

 

たっちは反応に困る。何というか彼女とはユグドラシル内で話すのは変な感じだったからだ。昔から付き合いがあったからだ。

 

「次は『武人建御雷』さんとでしょ?そんな状態で勝てるの?」

 

「彼は強いよ」

 

「・・じゃあ、私は行くから」

 

そう言って彼女は去ろうとする。

 

「あぁ。応援していてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あけみ』さん」

 

 

 

 

 

 

 

_________________________________

 

 

 

 

「青コーナーぁぁぁ!!!!!『純銀の聖騎士』ぃぃぃぃ!!『たっち・みー』ぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 

 

 

うぉぉぉぉぉ!!どっちが勝つんだ!!?

 

やべぇ。ユグドラシルでも上位に位置する戦士職2人の対決だぞ!!誰かカメラ用意しろ!!

 

お前、どっちに賭けるよ!俺は『たっち・みー』に賭けるね!金貨1億枚!

 

たっちさんの正義降臨エフェクトやっぱカッケぇ。俺もアレやれば女の子にモテモテかなぁ。

 

黙れ!弟!身の程をわきまえろ。

 

 

 

 

 

「赤コーナーぁぁぁ!!!!『ザ・サムライ』ぃぃぃ!!『武人建御雷』ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 

 

あれが『ザ・サムライ』か・・噂には聞いてたが・・

 

やべぇ。あの堂々とした動き、たっち・みーに負けてねぇぞ!

 

やっぱ俺あいつに賭けるわ!!金貨2億枚!!

 

建やん!頑張れ!!応援してるぞ!

 

たっちなんかぶっ飛ばしてくれ!!建御雷さん!!

 

 

 

 

 

「決勝戦!!『たっち・みー』と『武人建御雷』の戦いがついに始まりまぁぁぁぁぁっす!!」

 

グラサンが叫ぶ。2人の名前を呼んだことで会場のボルテージが最高潮に達する。

 

 

 

「たっち。先に言っておくぞ」

 

「何ですか?」

 

「今日お前の中の『常識』を破って勝ってやる。覚悟しとけ」

 

「建御雷さん。言っておきたいことがあります」

 

そう言うとたっち・みーは拳を突き出す。

 

「何だ?」

 

「『俺』、絶対に勝ちますから」

 

「それは俺のセリフだぞ」

 

(あの『たっち』が『俺』か・・・・こいつはマジになっているな)

 

「何があったか知らんがやる気になってくれて嬉しいぜ。たっち」

 

そう言うと建御雷がたっち・みーの拳に自らの拳を突き出した。

 

紅具足のサムライと純白(純銀)の聖騎士とのこの戦いは後に・・

 

『紅白大決戦』と呼ばれ動画で公開されることになる。

 

 

 

 

 

「それでは!!!!試合開始ぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!

 

 

 

「あー!!『武人建御雷』選手の不動明王撃<アチャラナータ>が『たっち・みー』に直撃だぁぁ!!」

 

「『たっち・みー』選手!!何と次元断切<ワールドブレイク>を躱されてしまった!!」

 

 

「くっ・・流石は建御雷さんですね」

 

「甘ぇぜ。たっち」

 

 

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!

 

 

 

「金剛夜叉明王撃<ヴァジュラヤクシャ>!!」

 

「次元断層!!!」

 

 

「あぁぁぁっと!!『武人建御雷』選手!!五大明王コンボ最後の一撃を防がれてしまった!!!」

 

 

「危なかったですね。これを食らえば負け決定じゃないですか・・」

 

五大明王撃。それは武人建御雷が持つスキルである。この五大明王コンボを食らってしまうと完全に動けなくなってしまう。そんな風に無防備になってしまえばワールドチャンピオンですら簡単に敗北してしまう。もし受けてしまえば武人建御雷さんが持つ最高の攻撃力を誇るアレでボコボコにされただろうな。

 

 

だが・・・

 

「!!!????」

 

背中にドン!と衝撃が走る。

 

 

 

「おっと・・・『たっち・みー』選手!!?一体何が起きた!!?」

 

 

 

「!!??」

 

たっち・みーのHPが残り僅かまで減少した。

 

「!!!!????」(不味い!!)

 

突然たっち・みーの視界が変化したかと思えば武人建御雷がいなくなっていた。

 

そして背中から攻撃を受けた。何とか地面に着地して回るようにして相手に向き合う。

 

「一体何が・・・・」

 

「上手くいったな・・」

 

(・・・・・一体・・・・・!!?そうか!!)

 

そこでたっち・みーは気付く。彼の両手に持つ武器とその足元に落ちたアイテムを見た。

 

大太刀と呼ばれる武器に該当される素戔嗚<スサノオ>・・・それに魔封じの水晶・・・

 

(考えましたね・・魔封じの水晶ですか・・)

 

込められていた位階魔法は第7位階『上位転移<グレーター・テレポーテ―ション>』だろう。

 

恐らく指輪か何かでMPを上げたのだろう。本来MPを持たない建御雷さんが魔法を使うとは・・

 

(だがそれでも第7位階魔法である『上位転移』を使った以上、MPは恐らくもうないはず。だが・・・他に手が無いという証拠にはなり得ない)

 

転移失敗の無いあの魔法を使うのは分かる。だがまさか・・・

 

(建御雷さんがそんなことをするとは・・・いや違う!『常識』を破って勝ってやると言っていた。アレは建御雷さんなりの礼儀だ。わざとヒントをくれていた。気付く機会を与えてくれていたんだ。『武人建御雷』さんらしくない戦い方に対してヒントを出したのは戦いに礼儀を持つ『武人』として戦う為だろう・・・)

 

転移させられた『たっち・みー』は『武人建御雷』の目の前に背中を見せる形で出現した。

 

そこで『素戔嗚』・・・武人建御雷さんが持つ武器の中でも最強の攻撃力を誇る刀でダメージを与えられてしまった。この刀は本来スピードは無く連撃も出来ない。だが上位転移のタイムラグと困惑する俺が作った無防備な時間がそれを可能にした。

 

 

(考えを整理しよう。接近戦を恐れながら戦うか?いや駄目だ。それではお互いに決定打に欠けてしまう。もし万が一魔法を使われて素戔嗚で攻撃されたら・・負ける)

 

そうなると次にどう動くかは決まっている。接近戦しか無い!

 

(武人建御雷さん・・・あなたは強い)

 

(今はもう同じギルドとかワールドチャンピオンとか関係ない!・・一人のプレイヤー・・男としてあなたに勝ちたい!!)

 

たっち・みーは武人建御雷に向かって突進する。

 

それを見た建御雷は武器を切り替える。手に取ったのは斬神刀皇・・鋭利さを追求した刀。それは『スピード』重視かつ取り回しが利く刀だ。その代わり攻撃範囲は非常に狭い。

 

(だが・・これでいい。今からは超接近戦になる。攻撃力や攻撃範囲よりも素早さを重視だ)

 

たっち・みーは剣と盾を持つ力を強めた。

 

「来い!!たっち・みー」

 

「うぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!」

 

2人は激しく打ち合い、そして・・・・・・

 

 

 

 

わぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

「決着が着きましたぁぁぁっ!!勝者はぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

全てのワールドでトーナメントが終わった。

 

 

 

「それではこちらの9人が今回のワールドチャンピオンです」

 

そう言ってグラサンが魔法の鏡に映像を映し出す。

 

そこに移るのは9人のワールドチャンピオンの顔と名前。それと順位・・ワールドチャンピオンになった順番だ。

 

 

 

ヨトゥンヘイムのワールドチャンピオン。1位の『ジークフリート』

 

アルフヘイムのワールドチャンピオン。2位の『たっち・みー』

 

ヘルヘイムのワールドチャンピオン。3位の『スグル』

 

 

その他6名・・・

 

 

「以上9名です!皆様盛大な拍手を!!」

 

パチパチと会場に鳴り響く。

 

「それではワールドチャンピオン・トーナメントを閉会致します!!」

 

「後は同じプレイヤーと話し合うなり・・・どうぞご自由に!」

 

そう言ってグラサンが消えていった。

 

 

 

 

 

________________

 

 

「よう。たっち」

 

「建御雷さん・・」

 

 

「凄かったですよ。建御雷さんもたっちさんも」

 

「ありがとよ。モモンガさん」

 

そう言うと建御雷はその場を後にする。

 

「・・・モモンガさん」

 

「えぇ」

 

ウルベルトは去っていく建御雷を追いかける。弐式炎雷も追いかける。

 

「『たっち・みー』さん。優勝おめでとうございます」

 

「いえいえ皆さんの応援があったからです」

 

アインズ・ウール・ゴウン所属『たっち・みー』、アルフヘイム優勝。

 

 

 

 

 

 

 

 





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