世にも奇妙なオーバーロード   作:kirishima13
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第2話 二人の変態

 モモンガは城塞都市エ・ランテルへと来ていた。たっち☆みーが帰ったとのアルベドの言葉であったが、本人からそう言うように言われたということである。釈然としない気持ちであるが、以前ナザリック内の捜索は行われている。

 しかし、ナザリックの外にかつての仲間が他にいるという可能性もある。そのため、漆黒のモモンとして再度エ・ランテルから情報収集を開始しようと冒険者組合へと来ていたのである。ちなみにナーベラルはナザリックに残してきている。

 漆黒の全身鎧への周りからの反応は依然と同じような感じだ。

 

「冒険者の登録をしたいのですが……」

「冒険者の登録でございますね、それでしたら……」

 

 受付嬢が登録手続きに入ろうとしたその時、後ろから壮年の男が切迫した様子で声をかけてきた。冒険者組合長のアインザックだ。

 

「待ちたまえ。君、冒険者になりたいのだね。いいだろう。ほら、受取りたまえ」

 

 言うが早いか(カッパー)の冒険者プレートが放り投げられる。以前はこんなことはなかった。あまり詮索されるということもなかったが最低限の質問や手続きを得て冒険者プレートを受け取ったはずだ。

 

「組合長、今手続きをしているところです。それに手数料をいただいておりません」

「手続きも手数料もあとで構わん。今は緊急事態だ。猫の手も借りたい。君、裏の訓練場にすぐ来てくれ。この場の冒険者もすべて裏に集めろ」

「は、はい」

 

 アインザックの緊迫した雰囲気に受付嬢も席を立ち冒険者たちを集めるべく走り出した。

 

 

 

 

 

 

 裏庭に集まった冒険者たち。本来この場所は訓練などに使用される場所だ。エ・ランテルでの最高位であるミスリル級から冒険者になりたてのモモンのような銅級まで様々な階級の冒険者たちが集まっていた。

 

「さて、諸君に集まってもらったのは他でもない。緊急の依頼があるからだ。それも非常に重要なものだ。心して聞いてほしい」

 

 アインザックの重々しい宣言に冒険者たちの表情も真剣なものへと変わる。

 

「この町に危機が訪れようとしている。そう、墓地からこの町を脅かす者たちがあふれ出ようとしているのだ。今まで何とか抑え込めていたのだが、それも難しそうな状況にある」

 

(墓地からあふれ出す?ああ、そういえばいたな。アンデッドを召喚して町を襲おうとしていたやつらが。そうか、あの時はンフィーリアが浚われたから解決できたが、少し行動が遅かったな)

 

「なんだと!?まさか組合長。あれのことか」

 

 ミスリル級の男が驚いている。普段から高位の依頼を受けているだけあって情報を持っているのだろう。

 

「そうだ。あれが街になだれ込んでくれば被害は想像もできんだろう。今は何とか墓地の入り口で抑えているがいつまでもつかわからん。そこで、王都に《伝言》を送り急遽アダマンタイト級冒険者にも来てもらった」

 

 アインザックの立つ台の上に複数の人間が現れる。

 

「まず、この依頼の指揮を執ってもらう彼女らを紹介しよう。アダマンタイト級冒険者『蒼の薔薇』の6人だ」

 

 アインザックの紹介にモモンガは違和感を覚える。

 

(ん?6人?蒼の薔薇は5人じゃなかったか?あの貴族と仮面、それから男女に忍者の二人だったよな?)

 

 モモンガの疑問を他所に台の上では蒼の薔薇が自己紹介をしていた。

 

「リーダーのラキュースです。回復や支援を担当させていただきます。それから彼女が魔法詠唱者のイビルアイ」

「よろしく」

「彼女が戦士のガガーラン。頼りにしてくれて構わないわ」

「おう、俺に任せておけ」

「それから忍者のティアとティナ。索敵は彼女たちに任せるつもりよ」

「ん」「よろしく」

「それから最後に私たち蒼の薔薇のお姉さま。ペロロンチー子お姉さまです♡」

「ペロロンチー子です♡よろしくお願いしますわ」

 

 最後に紹介されたのは長身で金髪の美女であった。金色に輝く鎧を着ているがそれが非常に似合っている。鎧のそこここからそれも金色の羽が飛び出しているが、それも含めて美しいと言えるほどの女性であった。

 

「何か違うの混じってるー!?」

 

 思わずモモンガは声に出して突っ込んでしまう。顔も声も違っているが名前と雰囲気からあいつに違いないという確信があった。

 

(ってあれペロロンチーノさんの擬態だろ絶対!なんだよペロロンチー子って!)

 

 突然叫びだして漆黒の戦士にペロロンチー子と名乗った女性は首を可愛らしく傾げる。

 

「あら、どうしたのかしら。突然叫びだして、あの御方は?」

「お姉さま、ああいううるさいのは私が締めてこよう」

「うふふ、駄目よ。イビルアイ。少し黙りなさい」

 

 そう言うとペロロンチー子は人差し指と中指をイビルアイの口に入れ、彼女を黙らせるようにその舌に指を絡ませる。

 

「お、おねえはまぁ」

 

 仮面の外からでも分かるくらい顔を真っ赤にして甘えるような声を出すイビルアイ。しかし、その様子に抗議の声が上がる。蒼の薔薇の他のメンバーだ。

 

「お姉さま!イビルアイばっかずるいです」

「ん」「わたしも」「俺も」

「ふふっ、みんな欲しがりねえ。でも、今は作戦の説明が先でしょ。ラキュース」

「そ、そうでした。みんな!敵の数は多い!しっかりと心を強く保ってください。弱い心を持っていては敵に取り込まれる危険があります」

 

 モモンガはペロロンチーノと思われる人物の行動にドン引きしつつ、考える。今自分が出てお互いの正体を晒すのは不味いだろう。この事件の敵はたいして強くなかったはずだ。終わってから声をかけようと心に決めた。

 

(それにしても蒼の薔薇はさすが作戦慣れしてるな。アンデッドの精神系攻撃などの対策は必須だし、恐怖に支配されないよう心の強さも求められるか)

 

 アダマンタイト級冒険者の油断のない対策に感心しているモモンガだったが、ラキュースの次の言葉でモモンガの精神ははるか彼方へと飛んでいった。

 

「時間がありません。みんな行きますよ!絶対に街に入れてはなりません。さあ、一人残らず討伐するのです!墓地からあふれた『男の娘』を!」

 

 

 

 

 

 

 エ・ランテル共同墓地。大都市の墓地だけあって非常に広大な敷地を誇っている。そして今、そこには見るも恐ろしい光景が広がっていた。そこには見渡す限り、溢れるほどの男の娘、男の娘、男の娘。そしてそのみながみな可愛らしい服と顔をしており、どこからどう見ても美少女にしか見えない。

 

「あ、あいつらと戦うのか。あんな可愛い子が男?」

「付き合ってって言われたら付き合っちゃうよなぁ」

 

 男性冒険者たちが怯んでいる中、ラキュースから声が飛ぶ。

 

「みんな惑わされないで!あれは男の娘!あなたたちと同じものがついてるの!ついてるのよ!」

 

 そんなラキュースをあざ笑うように男の娘の後ろから二人の人物が現れた。

 

 

「んふふふ、ついてるからいいんじゃない。ねぇ、カジッちゃん」

「ああ、そのとおりだ」

 

 奥から二人の人物が現れる。一人はモモンガにも見覚えがある。記憶の中では魔法道具(マジックアイテム)を使いアンデッドを召還していた深くローブを被ったハゲた男、カジットだ。そしてもう一人はさらに見覚えがあるピンク色の粘体であった。体にプレートを張り付けたような金属のビキニアーマーを身に着けて……貼り付けている。

 

「ピンクの肉棒、ピンクの肉棒だ!」

「ピンクの肉棒が動いている!」

 

 冒険者たちが恐怖と困惑の中で叫ぶ中、ピンクの肉棒が名乗りを上げた。

 

「ピンクの肉棒言うな!私は茶釜ンティーヌ。私はね、男の娘が大好きで、恋していて、愛しているの。んふふふ、よろしくね」

 

(ぶくぶく茶釜さーん!?何やってんですかー!)

 

 体に張り付けている意味があるのかないのか分からないプレートメイル以外はモモンガのよく知っているぶくぶく茶釜そのものである。

 

「そこまでだ!ねーちゃ……じゃない茶釜ンティーヌ!今すぐ投降してこのおぞましい男の娘たちをさっさと元に戻せ!」

「あんたこそ何その恰好?あんたが男の娘になろうとかキモいんだけどー」

「分かってないな。女の園に潜入するための女装はエロゲの王道の一つなんですー!それに見た目上俺にはついてない!だから俺は男の娘とは違うのだ!」

「あんたこそ分かってないわね。ついてなくてどうするのよ!可愛らしい男の娘同士がからみあうからいいんじゃない!」

 

(いや、あんたらどっちも間違ってる!間違ってるからー!)

 

 今すぐ飛び出して二人をぶっ叩きたいのを必死にこらえるモモンガ。今は人が多すぎる。

 

「男の娘だらけの世界なんて絶対に嫌だー!ラキュース!やってしまいなさい!」

「はい♡ペロロンチー子お姉さま!《病気治癒(キュア・ディジーズ)》」

 

 ラキュースの治癒魔法により、墓地に溢れる男の娘の数人が男に戻っていく。

 

(え?え?男の娘って病気……。いや、病気かもしれないけど!それで治るのー!?)

 

 モモンガは困惑を他所に本人たちは真剣そのものだ。

 

「あくまで邪魔するってわけね。いいわ、とことんやってやろうじゃないの!カジッちゃんやっちゃいなさい!」

「ふふふっ、いいだろう。見るがいいこの至高なる力を!わしが望んで望んでついに手に入れたこの世界で最高の力!《腐の宝珠》の力をな!」

 

 カジットの握った宝珠から桃色の光が放たれる。そしてその光を浴びた冒険者たちに変化が訪れた。当の本人たちはそれにすぐには気づかない。周りの人間たちが先に気づき一歩二歩と彼らから距離をとる。そこで茶釜ンティーヌ率いる男の娘たちが鏡を差し出した。

 

「な、なんだこれは……。お、俺が男の娘になって……いる?」

「これが俺……?可愛い」

「何これ。素敵」

「男の娘もいいかも」

 

 光を浴びた男たちは着ているものも女性用となり、その体も華奢に、顔つきも可愛らしく少女のように変わる。しかし、元の顔の特徴は残っており、まさに『僕の考えた最高に可愛い僕』といった感じだ。可愛くなった自分に見とれる者がいる一方、それを認められない者たちもいた。女性冒険者たちの中にも興奮して頬を赤らめている者もいる。つまり腐っているのだ。

 

「くははははは!見たか。どうだ見たか!これぞ《腐の宝珠》の力よ」

「くっ、なんて悍ましい!みんな!気をしっかり持つのよ!ラキュース。それにみんな!彼らに《病気治癒(キュア・ディジーズ)》を!」

 

 ラキュースをはじめ、治癒魔法を使えるものが腐の病気を治していく。しかし、カジットは諦めない。必死に宝珠の力を放ちそれに対抗する。

 

「させん、させんぞ。わしの悲願をかなえるためにも。わし自身が男の娘になるために絶対に腐のエネルギーをまき散らしてやる!」

 

 カジットの目的は自分自身が男の娘になるため、腐女子となった母に自分を認めさせるためにはこれしか方法はないのだ。しかし、それならばその宝珠の力を自分に向ければいいのではとその場の誰もが思った。しかし、それをぶくぶく茶釜が否定する。

 

「ああー、それなんだけどさー。カジっちゃんには無理なのよねー」

 

 その場の全員の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

 

「ハゲは男の娘になれないから」

 

 ぶくぶく茶釜の無慈悲な言葉に周りの男の娘たちがうんうんと頷いていた。カジットはその言葉に怒ることもなく、受け入れ悟った表情で言葉を紡ぐ。

 

「そのとおりだ!ハゲに男の娘になる資格はない!なぜなら可愛くないからだ!だからこそこの街に腐の力をまき散らし、大儀式を行うのだ。《腐の螺旋》をな。腐による真性なる力を使えばこのわしでさえ男の娘になれるだろうよ」

 

(その神聖って字俺の思ってるのと違うよね!?たぶん違うよね!?あと俺もハゲでよかった!)

 

 混乱と安心でモモンガが悶絶している。

 

「んー、でも困ったなぁ。状態異常なおされちゃうし。もうちょっと男の娘いたほうがいいかなー。あの子の出番ねー。いらっしゃい!ンフィーリアちゃん」

「はい、茶釜ンティーヌ様!」

 

 そこに現れたのは金色の髪で目を隠した青いワンピースを着た美少女だった。目元が隠れていることによりより一層その可愛らしさを引き立たせている。

 

(ンフィーリア!?あれンフィーリアなのか!?めっちゃ可愛いんだけど)

 

 モモンガの心の叫びを受け取ったのか、冒険者に同行していた薬師、リイジー・バレアレが涙を流しながら感動していた。

 

「おお、わしの孫がこんなに美しく……。その者蒼き衣をまといて……。おお、盲いた目が覚めて……)

 

(リイジー・バレアレ!目覚めちゃだめなやつ!それ目覚めちゃだめなやつだから!)

 

「《腐死の軍勢(Man Death Charmy)》」

 

 ンフィーリアの魔法により十数体の男の娘が召喚される。

 

「なっ、まさかあれは第七位階魔法《腐死の軍勢(MAN Death Charmy)》!?そ、そんな。そんな高位階の魔法を人間が使えるはずがない!」

「んふふふー、それはねー。魔法道具《賢者の額冠》の効果だよー。かつてあらゆる欲望に満足した賢者が作り出したという魔法道具。それによって高位の真性魔法の行使が可能になってるのー。さらに、自我が男の娘になっちゃうおまけつきよ」

 

(うん、茶釜さん。その神聖もきっと違うやつね)

 

 モモンガはもう諦めの境地に達しようとしていた。

 

「姉ちゃん!いい加減目を覚ませ!男の娘増やしたって彼氏できるわけじゃないんだぞ」

「弟黙れ!あんたこそ、そんな風に女の振りしなきゃ女の子に相手にされないんだからいい加減現実見つめて目を覚ましなさいよ!」

 

 ぶくぶく茶釜とペロロンチーノはもうなりふり構わずにお互いを貶しあっていた。男の娘に囲まれたいぶくぶく茶釜、女の子に囲まれたいペロロンチーノ。どっちもどっちだ。あふれる男の娘と狂乱する冒険者たち。事態は収拾がつかなくなり、諦めの境地にいたモモンガも堪忍袋の緒が切れる。

 

「ああー!もう二人ともいい加減にしろ!ぶくぶく茶釜さん!ペロロンチーノさん!あんたら二人とも目を覚ませ!」

 

 心の中のつっこみも限界にきたモモンガは魔法を解除して元の姿を現す。

 

「「モモンガさん!?」」

 

 驚く二人の反応と違い、周りの男の娘たちや冒険者たちは突然姿を現したとてつもなく恐ろしいアンデッドに恐怖し、恐慌状態へと陥った。

 

「いや、ちょっと待て!アンデッドの俺一人より今この場の状態のほうがよっぽどおかしいだろ!」

 

 モモンガのそんな言葉も空しく、男の娘も冒険者たちもその場から逃げ去ってしまった。残ったのは蒼の薔薇のメンバーにぶくぶく茶釜の相棒のカジットのみである。

 

「くっ、ここは私たち蒼の薔薇が相手になりましょう!例えこの強大なアンデッドが相手でも私の中の闇の力が覚醒すれば……」

「ラキュース、それはもういいから。ここは私に任せて他の人を避難させて。ねっ?」

 

 ペロロンチーノが先ほどのイビルアイにしたと同じようにラキュースの口に指を入れ、舌を転がす。ラキュースの頬が薔薇のように染まり目がトロンとする。

 

「ふああ……。はぃ、ペロロンチー子お姉さまぁ」

 

 蒼の薔薇の他のメンバーが嫉妬する中、蒼の薔薇は墓地から去っていった。しかし、諦めない男が一人。

 

「ふんっ、アンデッドだろうが冒険者だろうが、わしの目的の邪魔はさせん、させんぞ!《腐の宝珠》よ!」

「いい加減にしろ!」

 

 モモンガはカジットの宝珠をあっさりと奪う。しかし、その瞬間、モモンガの頭に声が響いてきた。

 

(あ、そう言えば前もこれインテリジェンスアイテム《死の宝珠》だったな)

(返せ!私を返せ!至高にして腐の支配者たる茶釜ンティーヌ様のもとへ)

(な、なんだこいつ)

(返すのだ。この悍ましいアンデッドが。我は腐の宝珠、この世のすべての腐に感謝し、腐の支配者となる茶釜ンティーヌ様に仕えし……。)

 

 モモンガは最後まで言わせずに宝珠を握りつぶした。

 

「「ああーーーー!!」」

 

 ぶくぶく茶釜とガジットが膝をついて嘆き悲しんでいるが、モモンガの心は少しだけすっとしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 夢も希望も失ったカジットは去り、その場にはかつてのギルドメンバー3人が残された。

 

「で、どういうことなんですか。これは」

「モモンガさん違うんです!私そんな趣味ないんですよ。腐ってないですから。この馬鹿弟を止めるために仕方なくやってただけだから!」

「何言ってんだよ、姉ちゃん。モモンガさん、姉ちゃんの趣味は真性ですからね。俺のほうが真っ当でしょ。女の子の園に入り込みたいって気持ちわかりますよね」

「モモンガさんに失礼なこと言ってんじゃねえ弟」

「はぁー、姉ちゃんは男心がわかってないね。そんなんだからいつまでも彼氏できないんだよ。胸もぺったんこだし」

「はぁ!?てめぇもういっぺん言ってみろ。ここでお前が小学生の時何したかモモンガさんに言ってやろうか」

「姉ちゃんごめん!」

 

 ぶくぶく茶釜の伝家の宝刀にペロロンチーノが撃沈する。かつてギルドでよく見ていた光景の再現にモモンガは嬉しくなる。

 

「はははははは、懐かしいなぁ。お二人はいつも喧嘩してましたけどここでもですか」

「「モモンガさん?」」

「ぶくぶく茶釜さんが男の娘の世界を作ってもいいし、ペロロンチーノさんが女の園で楽しんでもいいですけど、とりあえず仲良くやりましょうよ。これでね」

 

 そう言ってモモンガはコインを取り出す。意見が分かれたらコインで。それはギルド『アインズ・ウール・ゴウン』時代の決まりだ。それを思い出したのかぶくぶく茶釜とペロロンチーノはニヤリと笑う。

 

―――そしてコインが宙を舞った

 

 

 

 

 

 

「納得いかない!男の娘の世界を作るとか納得いかない!」

「弟本当に黙れ。ギルドのルールで決まったんだから守りなさい」

「あー、そう。じゃあ姉ちゃん自分が腐女子だとモモンガさんの前で宣言しちゃうんだ。へー、モモンガさんドン引きだろうなー」

「うっ……それは……」

「っていうかさ、そのビキニプレートメール何?粘体に何貼り付けてんのって感じなんだけど。必要ないでしょ。あ、そっか。姉ちゃんはもともとブラなんて必要ないぺったんこだったよねー」

「ぶっ殺す。ちょっとこっち来い。闘技場でぶちのめす」

「防御特化の姉ちゃんが俺を?勝てると思ってるの?」

「姉に勝る弟などいない!さっさと来い。あ、モモンガさん。ちょっと弟の目を覚まさせてきますから」

「現実を見据えて目を覚ますのは姉ちゃんでしょ。あ、そうそうモモンガさんも      」

 

 モモンガを残してぶくぶく茶釜とペロロンチーノは闘技場へと転移していった。

 

(ペロロンチーノさんが最後に何か言い残していたが話してる途中で転移してしまったのか聞き取れなかったな)

 

 今日は色々あって疲れたが、懐かしさとともに嬉しさが湧いてくる。あの二人も元のままだった。男の娘の世界というのはどうかと思うが、あの国、リ・エスティーゼ王国一つくらいならやっちゃっても許容内だろうか。

 モモンガは明日から3人でこの世界で何をしようと頭の中で妄想をはじめた。

 

 

 

 

 

 

 しかし、翌日モモンガはその妄想が叶えられないことを知ることとなった。

 

―――ぶくぶく茶釜様とペロロンチーノ様はお帰りになりました






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