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(福子)あなたたちを ばかにした友達もお父さんが作ったラーメンをおいしい おいしいって食べて笑顔になってくれます。
(萬平)みんなが びっくりするようなラーメンを お父さんは作るんだ。
(しのぶ)即席ラーメン?
手間がかからず簡単に作れるおいしいラーメンです。
ああ すまん 福子。ここに研究所を作るんだ。
研究所!?
ここで 即席ラーメンを開発するんだ。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「頑固で面倒で 腹も立つけど」
♪「あなたの情熱は」
♪「あたしの誇りで自慢で覚悟なの」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
最高だよ。えっ うわっ。
うわ~!出来たぞ 福子。
(岡)即席ラーメンの研究所ですわ。(森本)ここで作るんですよ。
ここで…。
中も見てくれ。はい。
うわ 寒っ。靴脱いでな。
森本君と岡君が手伝ってくれたおかげでほら もう電気も通ってる。
(森本)力になれてうれしかったです。
(岡)社長と仕事するんは8年ぶりですからね。
ああ。(森本)ダネイホン作って以来じゃのう。
ここにスープを作るためのコンロを置いて麺作りは ここでやろうと思ってる。
いや~ いよいよ始まるんですねラーメン作り。
ああ。
(神部)岡と森本は会社の同僚ですよ 僕の。
あいつらが萬平さん手伝うて僕は何もできへんやなんて…。
(忠彦)しかたないやろ。茂君は約束したんやから。
会社が終わったらまっすぐ家に帰るって。
そうですけど…。
あ~ 僕は 一体誰と約束したんやったか…。
(鈴)私です。うわっ!うわっ びっくりした!
誰と約束したとかそういうことやないでしょう。
タカは つわりで つらいのよ。
タカと 萬平さんとどっちが大事やの。
タカです。
(ため息)
(克子)あら ごはん食べられない?
(タカ)何にもいらん。
大丈夫か タカ。大丈夫やありません。
一目瞭然。 見れば分かるでしょう。
そやのに 茂さんは萬平さんのところに行きたがってるのよ。
まあ。せやから それは…。
行かへんよ。 行くわけないやないか。
なっ タカ。
(クラクション)
(畑)寸胴と コンロ?ええ。
理事長さんが何で そんなもんを。
僕は もう理事長ではありません。ラーメンを作るんです。
はっ?
ラーメン。
(畑)おおきに。こりゃ なかなか重いな。
(畑)気ぃ付けて下さいよ。ああ どうも。
あっ?(絹江)あれは 池田信用組合の…。
ああ 理事長やった立花さんや。ラーメン作るんやて。
フフッ ラーメン?ああ。
ラーメン屋しはるん?
(畑)知らん。(絹江)知らんて。 なんでも屋やん。
(畑)聞いてきたらええがな ほんなら。
(ため息)
福ちゃんの ため息の理由は研究所の小屋を建てたこととラーメン作りの道具をそろえたことで萬平さんの退職金の半分が消えたから。
う~ん…。
私が どうにかしないと。
よし 頑張ろう。
よしっ。ああ もう火が使えるんですね。
ああ。 まずはスープから作る。スープ?
ああ。 今から鶏ガラを買ってくる。
商店街に行くんやったら私も一緒に。白薔薇に出勤する時間ですから。
ああ。 だったら僕のリヤカーで乗せてってやる。
えっ。 嫌です。どうして。
いや 当たり前でしょう。
リヤカーの荷台に乗って旦那様に引かせるなんて。
周りの目なんて気にするな。
いや 気にします!
(笑い声)
やっぱり みんなが笑ってる。
福子には苦労をかけてるからな。
もうすぐ 50にもなろうという男が仕事もせずに ラーメンを作ろうなんて自分でもわがままだとは分かってるんだ。
みんなが びっくりするようなラーメンをお父さんは作るんだ。
萬平さんは新しいラーメンを考えることが仕事やありませんか。
ほかのことは何にも…お金のこともそうです。
何にも考えなくていいですから。
ありがとう 福子。
・(しのぶ)旦那さんに送ってもろたの?
リヤカーでお店の前まで。まあ なんて優しいこと。
(アキラ)ほな 僕もしのぶちゃんをリヤカーで…。
やめて 恥ずかしい。はい。
せやけど ほんまにちょっと恥ずかしかったです。
でも ちょっとは うれしかったんやろ。そういう顔してるで 福ちゃん。
はい。アハハハハ…。ほら 見てみ。
何を得意気に。
旦那さんはもうラーメン作ってるん?
はい。 まずはスープから。
お料理の経験は?
ありません。そら大変や。
初めから麺に味が染み込んでてお湯をかけるだけで出来るラーメン。
そんな手品みたいなラーメンがほんまに出来たら おもろいな。
出来るんです 萬平さんなら。
あるだけの鶏ガラ 全部下さい。
(河原塚)あるだけの!?
一体 何を始められるんですか理事長さん。
僕は もう理事長じゃないんですって。
(河原塚)よいしょ。ありがとう。
どうも おおきに。どうも。毎度。
ああ あとは鶏の臭みを消すショウガか。
ラーメン屋を始めるんやて。
(澄)ええっ。(かず子)信用組合の理事長やった人が。
いや~ 落ちぶれたもんやわ~。
福子。 福子~!
ごめんください!
萬平さん!
えっ!
何やの これは…。
熱っ!あっ!熱っ!
あっ 痛っ!
(ため息)
声もかけんと帰ってきたん?
そやかて…。そやかて何やの。
寸胴に鶏ガラ放り込んでるのよ。
掘っ立て小屋で手拭い 頭に巻いて…。
あの パリッと背広を着て信用組合の理事長してた萬平さん。
ああ ラーメン屋の おやじに…。
そら ラーメン作る言うてるんですからね。
それは 切なかったってこと?
切ないわよ。
(吉乃)やりきれなかったってこと?
やりきれないわよ。
情けなかった。情けないいうたら もうあらへんわ。
みんなで応援しようって決めたやないですか。
それは あなたたちでしょ。私は 納得なんかしてませんから。
福子が 萬平さんと一緒にラーメンの屋台を引くとこなんか見たくないわ~。
せやから屋台引くわけやないって。
あなたたちかて見てみたらいいのよ。
見れば分かるわよ。見てられないから。
見てこようかな。見てきなさいよ。 見てられないから。
行くの?
研究所を見たいだけや。岡たちと一緒に どんな小屋建てたんか。
ちょっとだけ。茂さん。
ちょっとだけです。ごちそうさまです。
(戸の開閉音)
茂さんは やっぱり 萬平おじちゃんが気になって しかたないのね。
(忠彦)そらそうや。 僕かて興味あるわ。
おお…。
萬平…。
♪~
神部さん。ああ… 奥様。
あんな顔した萬平さん久しぶりに見た。
はい。
萬平さんは新しいラーメン作りに命を懸けてるんです。
♪~
翌日 今度は 克子姉ちゃんたちがやって来ました。
ええっ。(忠彦)これは確かに…。
(鈴)私が言うたとおりでしょ。
ただの掘っ立て小屋。
(タカ)ここでラーメン作ってるの萬平おじちゃん。
ああ。 中も見るかい。
靴を脱いで下さいね。
(克子)お邪魔します。
ええ匂いでしょ。
4日間 ここでず~っとスープを作ってました。
ラーメンが出来るまでずっと ここの小屋で?
小屋やなくて 研究所。
それにしても狭すぎへんか この小屋は。
忠彦さん せやから 研究所。
ああ すまん。
じゃあ 早速出来たスープの味見をして下さい。
鶏ガラを出汁にしてショウガで臭みをとりしょうゆと みりんで味を調えました。
私も まだ味見させてもろてないの。
う~ん。 香りは ええわね。
僕は 自分が作ったラーメンを日本中の人に食べてもらいたいんです。
ですから ここにいる全員がおいしいと言わなければ作り直します。
遠慮はいりません。 まずいなら まずいとはっきり おっしゃって下さい。
もちろん おいしいなら おいしいと。
そしたら 頂きましょ。
(3人)頂きます。
♪~