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【首都スポ】

[スポーツクライミング]新黄金世代だ! 21歳・野中「大坂さん見習う」悲願日本一

2019年1月28日 紙面から

女子決勝で課題を完登し、ガッツポーズする野中生萌=駒沢屋内球技場で(いずれも潟沼義樹撮影)

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◇ボルダリング・ジャパンカップ

 2020年東京五輪で実施されるスポーツクライミングのボルダリング・ジャパンカップは27日、東京・駒沢屋内球技場で準決勝と決勝が行われ、女子は昨季W杯総合優勝の野中生萌(みほう、21)=XFLAG=が初の日本一に輝いた。男子は石松大晟(たいせい、22)=Base Camp=が初優勝した。

 それまで誰もたどりつけなかった最終ホールドを力強くつかみ、ガッツポーズで歓声に応えた。最後の第4課題を野中が完登。未踏の領域を昨季W杯女王が一番乗りで制すと、残っていたライバル勢も脱落。「すごく強い気持ちでゴールまで意識を集中させることができた」と悲願の初優勝に歓喜した。

 “なおみのメンタル”が乗り移った。直前の第3課題を攻略できず、心が折れそうになった。脳裏に浮かんだのは前夜にテレビで見たテニスの全豪オープン。“同学年”の大坂なおみの勇姿だった。「すっげえ!」。心が叫んだ。

 「自分も感情が出やすくコントロールできないタイプ。戦い抜くには大坂さんを見習おうと。比べられるとおこがましいんですが、次世代の選手として頑張りたい思いがある」

 第4課題は難関だった。バランスを取ったり、ホールドに飛び付いてから体を止めたりと、到達するまでにさまざまな技術や動き、繊細さを要する。「日本らしい課題。今までの悪いイメージもあった」。苦手意識に加え、右肩の関節唇損傷も完治していない。それでも最後の1手まで気持ちは切らなかった。

 連戦に体が悲鳴を上げた昨秋に「このままじゃいけない。何かを変えないと」と危機感を持ち、練習頻度を週2、3日から4日以上にした。

 「東京五輪は複合で行われる。全然、体力が足りないと思った。とにかく練習をして、筋力トレーニングもして、3種目をやり切る力をつけたかった」。W杯の年間女王の座につきながら、たゆまぬ努力でつかんだ初の栄冠。メダル獲得が期待されている東京五輪に向け、最高のスタートを切った。 (平野梓)

<野中生萌(のなか・みほう)> 1997(平成9)年5月21日生まれの21歳。東京都豊島区出身。162センチ。9歳で競技をはじめ、2013年からリード、14年からボルダリングでW杯参戦。18年のW杯ボルダリング年間ランキングで初の1位になった。スピード自己ベストは女子日本記録の8秒57。18年からXFRLAG所属。

女子決勝で課題に臨む野中

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