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【芸能・社会】

善知鳥いお、オーディションで勝手に全裸 「笑顔の向こうに」で映画初出演

2019年1月28日 紙面から

インタビューに答える善知鳥いお=東京都千代田区内幸町で(中西祥子撮影)

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 モナコ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した「笑顔の向こうに」(2月15日公開、榎本二郎監督)に映画初出演した善知鳥いお(うとう・いお、年齢非公表)。短いシーンだが、ヒロインの人生を決定付ける印象的な役を演じた。カメが友達だった青森の少女時代、オーディションで勝手に全裸になったという武勇伝の本当の理由とは…。話を聞いた。 (中林康彦)

 「映画のオーディションで、『スタイルも良くないこんな私ですが、迷惑でなければ脱ぎます』って全裸になっちゃいました。パンツを脱ぐときに『えっそれも?』って声が審査委員から聞こえたのを覚えてます。でも止まりませんでしたね」

 数え切れないほどオーディションを落ち続け、新事務所に入ってすぐ。映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」(2018年)でのこと。脱ぐ役ではあったが、求められていたわけではない。自己紹介をした後、いきなり。不合格だった。

 「どうしても受かりたくて。そのときは、私を分かってもらう方法が他に思い浮かばなかった。もっと私を知って…ただただその思いだけ」

 青森県に生まれてすぐ宮城県に引っ越したが、父の転勤で小学校になると青森に戻った。言葉が気取っていると、友人ができず、ひとりぼっち。「友達はカメ子だけ。兄が七夕祭りで買ってきたミドリガメ。すごい大きくなって、よく公園で散歩させていました」

 芸能界を自分の場所に定めたのは高校卒業のとき。「友達もいないし、私の居る場所はここではないという思いがいつもあった。芸能界で何か成し遂げたら、私の居場所ができるのかなと」。しかし卒業後は医療秘書の専門学校に進学。「手に職を持って、腰を据えて芸能界を目指す」計画。それは結実し、事務所に所属。ろくに演技経験もないのに、ほどなく主演舞台も用意された。

 「松澤くれはさん演出の『わたしの、領分』(15年)。ここで演技というものを学びました。たとえト書きに『怒る』とか『笑う』とあっても、そのとき本当にそう思わなかったら従わなくていい。ちゃんと相手の気持ちを受け止めて正直に返せと。『ウソをつかないで』と言われましたね」

 映画「笑顔の向こうに」では歯の治療を嫌がる幼女時代のヒロインを歌で前向きにさせる。「役はどんな女性か、どんな暮らしをしているのか。イメージを膨らませ、歯科医院で見学もさせてもらって臨みました」。ウソをつかない演技というものを実感したという。

 映画の後、髪をばっさり切った。「本当に好きな髪形でもないのに自分にウソついちゃいけないと思って。自分らしくいられるようになった気がします」。歌舞伎が好きで華道は師範、空手は黒帯の三段。和が趣味だという。ショートの頭はカツラが似合いそうだ。

 「時代劇に出てみたいんです。だから日舞も始めました。殺陣も経験済みです」。ウソをつかない女優の次のステップは、準備万端だ。

 

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