俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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部活連本部。達也と大輝が報告した。
「……と、いうわけが、剣道部の件とSSボード・バイアスロン部の件でいいな?」
十文字が確認すると、2人は頷く。
「まず司波、よくやってくれた。高周波ブレードが直撃すれば、壬生も無事では済まなかっただろう。桐原は鎖骨が折れていたとあったが……まぁ仕方ないだろう」
「俺は風紀委員として当然のことをしたまでです」
「……とか言ってるけど内心本当はすごく嬉しいんだよこの人〜。心の中ピョンピョンするほど喜んでるんだよ〜」
「真田、黙れ」
摩利に言われて黙る大輝。
「で、真田」
十文字は今度は大輝を見た。
「やり過ぎだ。2名を病院送りはないだろう」
「ええっ⁉︎なんで俺だけ⁉︎」
「司波の負わせた怪我は治癒魔法で治る程度だ。だが、病院送りになったからには、学生の治癒魔法でどうにかなるレベルではなかったということだ」
「そもそも、お前はどんな魔法を使ったんだ?」
十文字に続いて摩利も聞いてきた。
「魔法は使ってやせんよ。脳天を箒でブン殴っただけです」
「自力でやったというのか?」
「もちろん、武器が箒だったからそれなりには力入れましたけど」
「それなりどころかフルパワーだったんじゃないか?」
「なわけないでしょう。スイカ割りくらいの力ですよ」
「………なかなかピンとくる例えだな」
思わず感心されてしまった。
「とにかく、今度からはもっと加減しろよ。以上だ。もう退がっていいぞ」
言われて、2人は部屋を出ようとした。だが、
「おっと、退がっていいのは司波だけだ。真田は残れ」
「………えっ、なんで」
「君にはサボりの件が残っているだろう」
「はぁ?………あっ」
このあと、こってり絞られた。
○
それから一週間。ずーっと達也と大輝は走り回るハメになった。その度に風紀委員と生徒会に苦情がよく来るようになった。
理由は、例えば2日目のレッグボール部と野球部のいざこざ。
「そぉれ」
「で、出たァァァァッッ‼︎‼︎風紀委員の鬼が出たぞォォォォォッッッ‼︎‼︎」
勝手に暴れ回る大輝。病院送り5人。
続いて別の日、狩猟部。入部に脅迫まがいのことをした結果、ボコボコにされた。
そしてさらに別の日、柔道部と拳法部。だが、大輝が現れるが否や、二つの部活は近くにいた雫を人質に取った。
「おら、とりあえずテメェのその木刀を捨てな」
「で、俺たちのやったことには目を瞑って……」
と、言いかけたところで大輝は、
「うおりゃあっ」
と、棒読みで木刀を投げ捨てた。ブロロロッ!とフル回転しながら、雫を人質に取っていた奴の肩に突き刺さった。
「ぎゃあァァァァ‼︎」
「テメェェェ!人質が見えねぇのか⁉︎」
「いやだって捨てろって言うから」
と、慌ててる柔道部や拳法部達の真ん中に突っ込み、合計18人を病院送りにした。
こんな具合で暴れまわった結果、最後の2日くらいは問題は綺麗さっぱり無くなったが、風紀委員と生徒会への避難の手紙が山のように届いた。その山を目の前にし、真由美と摩利は滝のように汗を流した。
「………摩利、あんたが責任取りなさいよ」
「生徒を束ねるのは生徒会の役目だろう」
「真田くんは風紀委員の子でしょう?」
責任を押し付け合っていた。
○
一週間後、新聞部の見出しには、『お手柄風紀委員!部活動勧誘期間最終二日間はまったく問題が起きず。ただし、その結果の犠牲者、総勢47名』と載っている。
「大活躍ね〜。真田くん」
エリカが感心したように言った。
「ああ。給料とか出れば間違いなく俺金めっちゃ貰えてただろうな」
「いや、明らかにやり過ぎだと思うけど……」
美月がドン引きしていた。
「と、いうか、意外とヤル気になってるんだな。大輝」
達也が言った。
「やるからにはちゃんとやるのが俺の主義だ」
「おかげで最後2日は楽をさせてもらったよ」
と、達也は割と本気で感謝してるかのようだった。
「まぁ、その分渡辺先輩と七草先輩は涙目で各部活の部長達に謝っていたけどな」
「うわあ……生徒会長可哀想……」
達也の台詞にエリカが同情するように呟いた。摩利に対して可哀想と思わなかったことには誰もつっこまなかった。
「で、2人とも今日も委員会か?」
「いや、今日はオフだ。久々にゆっくりできらぁ」
「お前はちょくちょくサボってただろう」
レオの質問に2人はあっけらかんと答えた。
「そうか。まぁお疲れってことで俺が飲み物でも奢ってやるよ」
「じゃあ、私はミルクティーでいいわよ」
「お前には行ってねぇよ!」
便乗したエリカにレオがツッコミながら、5人は教室を出た。すると、そこにはポニーテールの女性が1人立っていた。それは、達也が初日に桐原から助けた壬生紗耶香だった。
「あの、真田大輝くん、だよね?」
「あ?俺?」
紗耶香は真っ直ぐとした目で大輝に言った。
「少し、いいかな」
そんなわけで、連れて行かれた。