俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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第三演習室。大輝と達也はメンチ切っていた。
「お前さ、何他人を巻き込んじゃってんの?バカなの?死ぬの?」
「昼間の他人事のような態度が少しイラッとしたからな。やられたらやり返す、倍返しだ」
「何倍返ししてくれちゃってんのお前?殺すよ?5回殺すよ?」
「やってみろ。百歩譲って殺されはするとしても、5回は無理だろう」
「お前を殺して俺も死んだあと向こうの世界でまた殺すんだよ」
「愛が重いな」
「えっ、お前何。もしかしてそっち?ホモなの?」
ちなみに、何故こうなったかと言うと、達也が「風紀委員の中に二科生1人は心細いから」という理由で大輝も巻き込まれたのであった。
「そもそもお前、心細いなんて言うキャラか?ターミネーターかってくらいの落ち着きっぷりと無表情の癖に」
「俺は機械じゃない。そんな事もわからんのかバカめ」
「例えだってことも分からねーのか?バカはどっちだバカ」
「バカって言う方がバカ」
「は?」
「あ?」
と、今にも殴り合いが始まりそうな時、2人の間に摩利が入った。
「2人とも、模擬戦の前に喧嘩するつもりか?落ち着きたまえ」
「は?お、俺も模擬戦やるの?」
「いや、やるのは司波だけだ。君までやる必要はない。なんせ、君は司波から『俺と同等の強さ』のお墨付きだからな」
「おいテメェ、せめて喧嘩の一回くらいしてから言えコラ」
「いや、あながち嘘を言ったわけではないんだがな」
「はぁ?」
何言ってんだこいつ、とでも言わんばかりに達也を睨む大輝。だが、これと言って説明を加える様子なく、達也は服部と向かい合った。
「始め!」
模擬戦が始まった。が、気が付いたら終わってた。服部の前から達也が消えて服部が倒れた。
「勝者、司波達也」
控えめに勝ち名乗りをする摩利。そして、達也に聞いた。
「今の動きは……自己加速術式を予め展開していたのか?」
「そんなわけがないのが、先輩が一番良くお分かりだと思いますが」
「しかし、あれは」
「魔法ではありません。正真正銘……」
「zzz〜……」
「……術ですよ」
「すまん司波、あんま聞こえなかった。もう一度頼む」
「や、だから身た……」
「zzz〜……」
「……すよ」
「ちょっとたんま。誰ださっきからいびきかいてんの」
摩利の一言で全員がいびきの方を見る。言うまでもなく、座り込んでアイマスクを着けた大輝だった。
「起きろ!」
摩利は起こそうと廻し蹴りを放つ。だが、大輝の身体は左に傾き、上手い具合に躱した。
「………………」
イラッとして今度は反対側から蹴りを入れるが、見事に反対側に躱された。
「………上等だ」
心底イラッとして、そう呟くと摩利は中腰になって百烈拳バリの突きを繰り出すが、全部躱す大輝。で、拳を引っ込めて肩で息をしてると、大輝の身体が前に倒れ込み、摩利に頭突きした。
「「いったぁッ!」」
で、2人して悲鳴をあげる。おでこを抑えて悶える摩利を捨て置いて、大輝はアイマスクを外した。
「いってぇ……何しやがんだ……」
「で、質問はないんですか?」
達也が聞き返す。が、摩利はすぐに復活すると、大輝を追いかけ回し始めたので、真由美が代わりに質問した。
「あの攻撃に使った魔法はなんですか?」
「サイオンの波動を放って、酔わせたんですよ」
「酔った?」
「そうです。魔法師はサイオンを、可視光線や可聴音波と同じように知覚します。それは魔法を行使する上で必須の技術ですが、その副作用で、予期せぬサイオンの波動に曝された魔法師は、実際に自分の身体が揺さぶられたように錯覚するんですよ」
「なるほど……」
などと、使った魔法講座をしている中、摩利は割と本気で大輝を追いかけ回す。
「うおおおおおお!」
と、気合を入れて圧斬りとかで攻撃するも、大輝は平気な顔で避け続ける。
「このっ……ちょこまかと……!」
と、摩利は一度落ち着いて剣を握り直す。その時だ。大輝は摩利を見て邪悪に笑った。「ダッセェーwww」とでも言わんばかりに。それに本気でキレて、正面から叩き斬りに言った。単調になった動きを読んだ大輝は、攻撃を躱して
身体に抱き付いてジャンプした。
「ッ⁉︎」
そのまま、筋肉バスターを掛けた。グッフォアッ!と断末魔を上げて倒れ込む摩利を捨て置いて、大輝は腰をトントンと叩きながら言った。
「フゥ、疲れた……」
「お前、やっぱり中々やるな」
いつの間にか授業は終わってたみたいで、達也が大輝に言った。
「あ?筋肉バスターか?」
「いやそこだけじゃなくて。まぁいいや」
とりあえず、2人とも風紀委員に入った。
○
摩利に案内されて、風紀委員会の教室へ。
「少し散らかっているが、まあ適当に掛けてくれ」
と、摩利が言う前に大輝は座っていた。
「少しどころか超汚いですね。ゴキブリの観察でもするんですか?」
「いやそこまで汚くないだろ……。風紀委員は男所帯でね。整理整頓はいつも口を酸っぱくしていい聞かせてるんだが……」
「誰もいないのでは、片付かないのも仕方ありませんよ」
ため息をつく摩利に達也がフォローするように言った。
「……校内の巡回が主な仕事だからな。部屋が空きになるのも仕方がない」
「それはそうと、委員長、ここを片付けてもいいですか?」
「待った、そいつ委員長なのか?」
「おい、真田。今、お前って言った?」
摩利がギロリと睨むが、大輝は無視して達也を見る。
「そうだ。知らなかったのか?」
「マジか……これなら風紀委員長の座を奪うのも容易いな」
「やってみろこの野郎」
摩利のその台詞でまた「うがあぁ!」と殴り合いが始まるが、それらをまったく無視して達也は摩利に聞いた。
「と、それよりだから委員長。片付けてもいいですか?」
「いだだだだ!君!思ったよ……いたっ!強っ!え?なに?」
「だから片付けていいですか?」
「こちらからお願いしたいくらいだ!……おまっ!プロレス技はズルいんじゃないの⁉︎」
「それと、喧嘩なら外でやってください。片付けの邪魔です」
そんなわけで、外でバカ2人が喧嘩をする中、達也は1人で片付けを始めた。