魔法科高校の転生者   作:南津
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連載予定ですが、執筆速度は未定。勢いだけのプロローグ掲載なので、気が向いた時に書いています。
殆ど原作を知らない主人公なので、原作に積極的に関わることも、積極的に避ける事もしません。そのため、原作沿いですが、原作にない部分なども独自解釈や、独自設定で描いていく予定です。
この小説を読んで、原作を読んで確認したい、みたいに思って頂ければ幸いです。Web版は消えているので、ライトノベルを買ってください。本作品はWeb版主体+ライトノベルで行く予定です。
主人公最強要素や、ご都合主義有り。
基本オリ主×オリヒロイン(転生者)で行きますが、原作キャラの好意の対象は展開次第で、オリ主に好意を持つ人も出るかも?
十師族の女性もどういう扱いになるか展開次第。
その展開は、書いている時の気分次第。
以上の事を了承の上読んでいただける人だけ読んでください。












魔法科高校の世界へ
0.0 転生。魔法科高校の劣等生の世界へ


 0.0 転生。魔法科高校の劣等生の世界へ

 

「目が覚めたかの?」

 不意に声をかけられて意識が覚醒する。目を開けるとあたり一面が白い世界だった。

「……ここは?」

 見たこともない場所で混乱しながらも、現状を知るために声の主へ質問する。

「ここは転生するものが訪れる世界の狭間じゃ」

「転生……ということは、俺は死んだのか?」

「そうじゃ」

 

 青年――時嗣(ときつぐ)はIT企業に勤める社会人だった。入社して数年、大きな仕事も任せられるようになり、最近では深夜の帰宅も珍しくはなかった。この日も終電を逃し、仕方なくタクシーでの帰宅を余儀なくされていた。

 帰宅までの暇つぶしに、数日前から読み始めたWeb小説を携帯で開きながら、タクシーに乗車する。小説のタイトルは「魔法科高校の劣等生」。一章も二十話を読み終わり、そろそろクライマックスを迎えると言う時にそれは起こった。

 タクシーの横合いからスピードを超過した暴走者が飛び出し、時嗣の座る後部座席付近を押しつぶした。時嗣は即死、タクシー運転手は一命を取り留めるも三日間の意識不明の重体となった。

 

「――というところじゃな」

「なるほど……。しかし、どうして転生することに?」

「そうじゃな。転生するものにもいろいろあるが、お主はその体に神力を微かに宿しておった。普通、人間に宿るはずのないお主の力が、お主をここへ連れてきたんじゃ」

「よくわからんが、わかった」

 神力というからには神の力なのだろう。世界の狭間に自我を持って訪れる事ができる程度には神秘を宿していたということか。

「それじゃあ、お主に転生をしてもらうわけじゃが……この賽子を振ってくれるかの」

「賽子? なぜ?」

「お主に与える特典の個数を決めるためじゃ。お主で最後じゃから特典はゆっくり決めても良いがの」

「最後? 他にも転生者がいたのか?」

「お主とは違う理由じゃが、お主の前に三人ほど転生したの」

「転生先は同じなのか?」

「そうじゃな。お主がさっきまで読んでおった『魔法科高校の劣等生』の並行世界の地球じゃ。転生者の魂の容量からお主が最後になる」

「あそこか……魔法があるのは楽しそうだし、知識も殆どないし丁度いいかな」

 時嗣が渡された賽子を振ると、『六』の目が出た。

「最後の最後で六の目か。お主は運がええのぉ」

「ということは六個の特典が得られるわけか?」

「そうじゃ。他の三人は二、三、四の目を出しておったぞ」

「そっか。他の転生者の特典は知ることができるのか?」

「普通はダメじゃが願いを消費すれば教えてやるぞ」

(願いの内容を聞くのはダメか……それなら)

「……他の転生者の願いから一つ同じ特典を選ぶことはできるか?」

「なるほど、そうきたか。いいじゃろう。これが他の転生者の願いじゃ」

 文字の書かれた紙が三枚出現し、時嗣の前に浮かぶ。時嗣が文字を追うと、一枚毎に転生者の特典が記されていた。

 

・一人目の転生者(女性)

 Web小説での原作知識を持つ元大学生。八歳の子供を助けて死亡。賽の目は二。希望した特典は【完全に制御可能な、達也の五倍のサイオン量及び之を十全に扱う魔法力】と【無意識内にある魔法演算領域の強化拡張】の二つ。

・二人目の転生者(男性)

 原作ライトノベル四巻迄の原作知識を持つ元中学生。事故に巻き込まれて死亡。賽の目は四。希望した特典は【膨大なサイオン量】【達也が使っていた自己修復術式と分解魔法】【身体能力強化】【銀髪で虹彩異色のイケメン】の四つ。

・三人目の転生者(女性)

 原作知識は無しの二十歳女性。生まれつきの病で死亡。賽の目は三。希望した特典は【魔法の才能(魔法力等)】【多めの魔力(この世界ではサイオン)】【比較的裕福で暖かい家庭に健康な身体で生まれる】の三つ。

 

(二人目の転生者が気になるが……関わらなければ大丈夫か? 原作知識持ちの特典は有用性がありそうだな)

「それじゃあ、一人目の【完全に制御可能な、達也の五倍のサイオン量及び之を十全に扱う魔法力】がいいかな」

「了解じゃ。他はどうするかの? この中から決めるかの?」

「特典はこの世界に準拠したものだけかな?」

「そうじゃ。二人目は別の世界の剣製魔術を希望したが、法則が違うから使えんと言ったら仕方なくそこの特典を選んでおった」

「そうか。それなら二つ目は膨大な高性能魔法演算領域を、意識内と無意識内に。『無意識内』とあるのなら意識内でも可能なんだろう?」

「そうじゃな」

「三つ目は最大十個までの並列思考と、思考の高速化が可能なスペックの頭脳にしてくれ。二つまでの並列思考は今までできたが、出来ればこのくらいは出来るようにして欲しい」

「良いじゃろう。思考に耐えられるよう全体的に脳のスペックは上がるぞ」

「わかった。……四つめは情報体やサイオンなどが解析出来る解析眼」

「達也の精霊の眼みたいなものか?」

「? よく分からんが、イデアやエイドスだったか、起動式や魔法式で情報体や構造体を改変するのがこの世界の魔法なんだろう? その情報体や、魔法式を構成するサイオンや……まぁいろいろ視ることができて構造を把握できる眼が欲しいな。死角や距離の概念なしで意識的、無意識的に視る事ができるものにして欲しい」

「了解じゃ。似たような眼もこの世界にはあるし、問題はない。普通なら脳に負担がかかるが、三つ目の願いで脳の処理能力も強化されるし、負担はないじゃろう」

「五つ目は、これまでの才能を十全に発揮出来る魔法の才能にしてくれ」

「二つ目までで十分才能を発揮出来る程あるから、意味はないぞ? 二人目のように才能を圧迫するような魔法も無いしの」

「そっか……それなら別の特典にしたほうがいいか。……二人目の自己修復術式と分解魔法はどんなものなんだ?」

「そうじゃな……自己修復は、本当は達也の別の魔法の一端なんじゃが、無意識内で常に待機している魔法で演算領域を圧迫するのもじゃ。過去の情報体を記録しておいて肉体をその状態に復元する魔法じゃ。この程度の自己修復なら過去のエイドスを記録しておけば、お主の希望した魔法演算領域および魔法力でも再現できるし、分解魔法はお主なら完全に再現できるかの。分解魔法は構造体や情報体を分解する超高等魔法じゃ、が、儂が与える魔法力なら簡単じゃ」

「それも主人公が使う魔法なのか?」

「そうじゃな。達也は物質をエネルギーに直接分解も可能じゃな」

「直接エネルギーに……可能なのか?」

「可能じゃな。物質が存在するという事象を改変するという意味で、物質的な事象じゃから系統魔法に分類されるが、現代魔法で言う四系統八種には分けられない魔法じゃ。それだけ世界を改変できる干渉力と魔法力があれば再現可能じゃ」

(随分物騒な魔法だな……転生者も使うようだし対抗手段は習得しておいたほうがいいな……となると)

「俺や他の転生者の干渉力や魔法力はどのくらいなんだ?」

「最も強い魔法力はお主と一人目の女性じゃな。あの世界でも隔絶しておる。これは、一人目の女性の願いである、達也の五倍のサイオン量を十全に扱える魔法力のおかげじゃな。やろうと思えばその量のサイオンを一度に扱う事ができるのだから、並みの魔法力では扱いきれん。達也や他の魔法師が実現できんような世界の改変もお主らには可能ということじゃ」

「なるほど、力を抑えるのは思い通りにできるのか?」

「ある程度までは可能じゃな。じゃがあまりに抑えすぎることは熟練度次第じゃな。最初から巨大な力を扱える分、小さな力を扱う感覚は自分で身につけるしかないからの」

「わかった。覚えておこう。この事はその転生者も知っているのか?」

「大体はの。質問の内容もお主とは違うし、特典の注文の際にいろいろ考えておったからの。そう言う意味では二人目はほとんど何も考えずに特典を選んでおったかの。さっさと送れとも言いよったし。三人目も少しは考えたみたいじゃが、一人目のように元の知識がないから大まかな願いになったの」

「そうか……」

(それであの注釈か……この世界に適応した魔法の才能になっている訳か……)

「……質問だが、時間に干渉する魔法はこの世界では実現できるか?」

「出来んことはないが、限定的じゃな。世界を止めることは出来んが、自身と干渉力の影響範囲は時間に限定的に干渉する事は出来る。過去と未来のエイドスに直接干渉し事象や構造体を書き換えたり、自分の時間だけを引き伸ばして擬似的な時間停止は実現できるの。ただ、自分の時間だけ引き伸ばした状態で動けば肉体にかなりの負担がかかることになるな」

「それなら五つ目は才能を圧迫しない時間干渉魔法が欲しいな。干渉力の及ぶ範囲で自由に時間干渉が出来るように。系統外魔法になるのかな? 物質的な事象を起こすから系統魔法? もちろん演算領域を使っての魔法行使も出来るように」

「時間干渉魔法の系統魔法じゃな。四系統八種には分類されないがの。この時間干渉魔法は、お主が生まれたら世界でお主一人だけの魔法になる。これまでの特典に含まれる魔法の才能が圧迫されて使えなくなることはない、でいいのかの?」

「ああ、それでいい。それじゃあ、最後は限界のない身体能力が欲しいな。外見には影響がないが、発揮出来る身体能力や耐久は鍛えるほど限界なく上がるようにして欲しい」

「成長というより進化の特異体質じゃな。この体質は三歳の時に発現するようにしておこう。最初は大怪我するかもしれんが。それまでに治療できる魔法を習得しておくんじゃな。直ぐに回復力も上がるじゃろうが」

「そうだった。まぁ、そのうち強靭に成るなら我慢しよう」

「以上の六つで大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない」

「……まぁ本当に大丈夫そうだから良いかの。ちなみに魔法の才能の一部は遺伝によるものに設定するから、お主の子供も一部の才能を受け継ぐことになる。まぁ、魂が違うからその世界の魂が許容する範囲まで劣化するがな」

「サイオン量や演算領域の縮小などか?」

「そんなところじゃ。といってもそれでも超一流に変わりはないんじゃが。時間干渉魔法は特性を受け継ぐが劣化したもの、頭脳や特異体質はお主一代のみの物になる。まぁ、あの世界の強力な魔法師は人体改造された者の子孫もおるし、悪影響がない分お主の家系は安泰じゃろうな。……それじゃあ目が覚めたら赤子になっておるからな。お主の自意識が覚醒するのは生後数日といったところじゃ」

「赤子からか……誰かの代わりというわけではないんだな?」

「そうじゃ。お主が転生するからその命は生まれることになる。生まれる場所はだいたい決まっておるが、特典で指定してないので、誰のもとに生まれるかは候補の中からランダムで決まるぞ。もちろん名前も変わるので、過去のアイデンティティは失うがの」

「そうか」

「それじゃあ転生するぞ」

 その言葉を聞いたのを最後に、時■(とき・ぐ)の意識は閉じていった。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 




転生者の死亡時期はまちまち。主人公はライトノベル1巻発売前宣伝中あたりという解釈で。

13/2/3 ルビふり修正




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