魔法科高校の変わり者 作:四葉夜々
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「………九校戦?」
四葉邸のプールで動物達と一緒に水浴びする羊に葉山が声をかける。
「ああ、観てみないか?この国をいずれ背負うことになる若者達の戦いを……何より、魔法師になる気なら先人達の活躍をその目で確かめるべきだろう?」
「…………ふ~む、まあ最近新しい魔法の開発以外する事なかったしね、いいよん」
プールから上がり自身と獣達の身体についた水分を魔法で蒸発させると動物達を山に帰す。
「参考までにどのような魔法か聞いて良いかね?」
「元々存在する運動エネルギーやサイオン、プシオンの流れを増加させたりするのではなく、その向きを変える
「それは、完成したら恐ろしいな」
「完成したけどね」
「は?」
ケラケラと笑う羊に葉山はゾクリと背筋を凍らせる。
おそらく完成したばかりの今はそこまで威力はでないだろう………が、これから効率化をして行けば?
地球全ての大気の流れを掌握し、世界そのものすら無かったことに出来るかもしれない。
いや、あるいは存在するサイオン全ての流れを操り彼が何時か語っていた大規模魔法を実現するかもしれない。
今の真夜は世界を滅ぼすことに興味がなくなっているがもし、彼が出会った頃からこの力を持っていたら………。
「そうなったら俺はまーちゃんの手伝いなんてしないよ」
「君は系統外魔法の精神魔法も使えるのか?」
「使えるよ」
「………恐ろしいな」
「前世が中々悲惨でね、転生の際優遇されてんのさ」
きししと笑う羊の心情は、あいにく葉山には理解できない。理解してやれないと言うべきか………。
「んで、何時行くの?」
「一週間後だ………」
「ほっほー!こりゃ凄い!」
「羊、はしゃがないで」
「今の『僕』は阿朱羅丸だよ真夜」
「…………に、しても………目立ってるねぇ」
多くの者は真夜の美貌に見とれ、しかしそうでない者もいる。大方何処かの十師族の放った監視と、隙あらば殺そうと考える何処かの国の殺し屋だろう。四葉は色々なところに恨みを買っているのだから。
「おいあれ阿修羅丸じゃね!?」
「ちょー似てる!写真撮って良いですか!?」
「半分はアナタのせいでもあるわね」
「ほう、見事だ……まるで本物のようだね。あ、私も取らせて貰えないか?そのキャラ、好きなんだ。出来ればツーショットで」
「いいよ……真夜……」
「はいはい………って、何やってるんですか烈先生」
「む?」
真夜が葉山さん早く来ないかしらと思っているとツーショットを取りたいという人物が現れ、真夜は仕方なくカメラを受け取る。写真を撮るぐらいならやっても良い、問題はカメラを渡してきた相手が知り合いにして師匠である九島烈であることだ。
「何、私もこの漫画のファンの一人なのさ。あ、これにおじいちゃんと吹き込んで貰えるか?」
烈はそういって録音機を羊に渡した。
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