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【芸能・社会】

名曲誕生秘話 杉田&ばんばに聞く ブラザーズ5、2・6新曲「君に会えて…」発売

2019年1月27日 紙面から

フォーク全盛時代を振り返る杉田二郎(右)とばんばひろふみ=名古屋市内で(高岡辰伍撮影)

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 フォーク歌手の杉田二郎(72)、ばんばひろふみ(68)が中心となって結成した5人組フォークユニット「ブラザーズ5」が2月6日、新曲「君に会えて…会えてよかった」を発売する。フォークソングが席巻してから半世紀。このほどPRで名古屋市を訪れた2人に、あの名曲秘話を聞いた。

 一世風靡(ふうび)した「戦争を知らない子供たち」。杉田が作曲したこの歌抜きでフォークは語れそうにない。まずは誕生の舞台裏から。

 「大阪万博(1970年)で全国のバンドによるライブを開くことになり、テーマ曲を作ろうとなったんです。北山修(後の精神科医)が書いた詞をもらった時、興奮しました。ぼくも北山も昭和21年生まれの戦後1期生。あっという間に曲ができました」

 ステージのバックで歌ったばんばが言う。「その時は騒動になるとは想像もしませんでした」

 今でいう大炎上が起きたのは、その後、杉田が「ジローズ」を再結成して発売した時。学園祭は「やめろ、帰れ」「歌え、歌え」の大混乱。賛否両派の怒号で収拾がつかなくなったそうだ。平和を歌っても、先鋭的な反戦歌ではないのを快く思わなかった人もいた。

 「3番に『♪青空が好きで~花びらが好きで~』という歌詞があるんです。そんなのは甘い、と。でも戦争で焼け野になったところに花は咲きません。奥深い詞なんですけど」

 傷ついた杉田に、やがて前を向ける瞬間が訪れた。75年、沖縄のステージ。「戦争を-」は歌唱曲のリストから外していた。「いつか沖縄で歌わなくてはと思っていましたが本土復帰(72年)後、時間もたっていないし最後まで踏ん切りがつかなかったんです」

 だがアンコールに入る前、客席から自然発生の合唱が起きた。『♪戦争が終わって~』。杉田の目に涙がにじんだ。

 あれから時は流れた。杉田は5年前、ばんば、堀内孝雄(69)、高山厳(67)、因幡晃(64)とユニット「ブラザーズ5」を結成した。2月には東名阪でライブも開く。

 「ほとんどのメンバーがグループで活動していましたが、オレが、オレがでうまくいかなかったこともある。でも、今はお互いケアできる。グループの楽しさをもう一度味わいたかった」と杉田。ばんばも「無理な若作りをしない等身大のぼくらを見てほしいんです」と話す。

 曲の向こうに、積み重ねた時間が見えそうな気がする。 (増田護)

<「君に会えて…会えてよかった」> 作詞・石原信一、作曲・馬飼野康二。連れ添ったパートナーへの愛情をつづる。カップリング曲は「吹く風まかせ~Going My Way~」。ともにシニア世代への応援歌となっている。新曲の発売記念ライブは2月9日・名古屋ブルーノート、10日・ビルボードライブ大阪、23日・東京のコットンクラブ。

 

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