魔法科高校の変わり者 作:四葉夜々
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出会いはいつも唐突に
あらゆる組織が恐れて近づかない凶悪な一族、四葉……。
その所在他は不明で、部外者はまず侵入できるはずがない………はずなのだが。
「うわ!すげー、高そうな壺!金持ちがこんな場所とるだけの意味ない物に使った金で飢え死にしそうな人にどれだけ食べさせられるんだろ!?」
現在四葉邸には四葉に一切関わりを持たない中学生ほどの少年がハシャぎ回っていた。
四葉家当主、四葉真夜は中々話しを始められない少年に頭が痛くなる思いを感じながらも、無理やり話を始めることにする。
「ねえ君……」
「ん?呼びましたお姉さん……うお!めっちゃうまそうなクッキー!」
「クッキーを食べながらお話ししましょうか」
お姉さん呼ばわりされたのが嬉しかったのか真夜は思わず満面の笑みを浮かべ控えていた葉山が笑っ……た、と戦慄する。が、少年はクッキーが貰えると聞きクッキーの缶ごと机に移動した。
「それで、アナタは何者かしら?」
「斎藤羊、今を生き抜く四十代です☆」
どこか銀河の美少年の世界に住む仮面の変態集団の決めポーズをとる少年。とてもではないが四十代には見えない。そもそも二十歳にすら見えない。
「あ、間違えた。俺今中坊だ………」
クッキーを一つ取るとカリカリカリカリとリスのように頬張る少年。間違えないだろう、絶対にふざけている……と、葉山は自分の主が少年の態度に苛立ちを感じてないか恐る恐る確認すると、笑顔だった。ただし内面は解らない……。
「どうやってここに来たの?」
「ピカ○ュウを探して」
「………?」
「ポケ○ンgoですか……ピカチュウなら中庭に良く出現しますよ」
「葉山さん、何の話し?」
葉山は気にするほどの事ではございません、ただのゲームですからと話を聞る。ゲーム?この厳格な執事のイメージをそのまま形にしたような葉山が?というかゲームでこんな場所まで……。
「…………………」
「ど、どうしたの?」
と、ふと視線を感じ視線を葉山から羊に戻すと羊が顔を青くしてガタガタ震えていた。
「は、葉山………まさかあんた……四葉真夜?」
葉山と言う執事がいる女は四葉真夜、それを知ると言うことは十師族の当主に近しい者なのだろうか?真夜の警戒心が強まったその瞬間……。
「ヒィィィィ!蜂の巣は嫌だぁぁぁ!心消されて魔法師にされる!世界の崩壊願うクレイジーババアにいろいろされる!」
「ちょ!?アナタまさか達也さんのこ………誰がババアだゴラァァァ!」
「ぎゃああああ!若作りババア姉妹の片割れがキレたぁぁ!」
この時、四葉真夜は思いもしなかった。彼がこの先四葉の青い獣と呼ばれるようになるのを……。
葉山「もちろん冗談ですよ」