二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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九頭竜

 

 

 

バレンタインも終わり、あれから5日くらい経った。兄ちゃんも深雪も誰もかもが忙しそうに動いていた。あたしはといえび勉強とバイトという浪人生みたいな生活を送っていた。で、今日はバイトは終わり。あたしは「ん〜っ」と伸びをする。

 

「あー疲れたぁ……」

 

で、歩いて家まで帰ろうと思った時だ。なんかデッカい龍が一瞬だけ見えた。

 

「あはっ」

 

興味を持ったあたしはそっちへ向かった。

 

 

 

 

とある高校。達也、深雪、ピクシー、エリカ、レオ、幹比古、ほのかはパラサイトをおびき出すというのでやって来た。そしたら、リーナが片っ端からパラサイトの宿主を倒してたらデッカい九頭竜が出てきた。

 

「何アレ⁉︎」

 

「見えるのか?」

 

リーナが驚きの声を上げると、達也が聞き返す。

 

「見えてる……わけじゃないけど、なんとなく分かる。あの人形の巨大な力が圧し掛かってる。タツヤ、あれは一体、なに?」

 

「貴方がお兄様の言うことを聞かなかった結果よ」

 

リーナの質問には深雪が答えた。

 

「お兄様が殺すなと仰ったのに、貴女が考え無しにパラサイトの宿主を殺しまくったから、本体が自由になって暴れているのよ。リーナ、貴女、この不始末にどう決着をつけるつもりなの?」

 

「不始末って何よ!ワタシは自分の任務を果たしただけだわ!」

 

「だったら最後の後始末まで自分でやりなさい。貴女にそれができるの?お兄様でさえ封印という消極的な手段を取らざるを得なかったのに」

 

「やるわよ!見てなさい!」

 

リーナは言い返して九頭竜に突っ込んだ。

 

「おい、リーナ」

 

「うるさい!タツヤは黙ってて!ワタシはこの任務を成功させなきゃならないのよ!そうでなきゃ、ワタシは何でこんなトコにいるのよ!」

 

そう吐き捨ててリーナは自分の持つありったけの魔法を放った。次々と撃ち出されては空振りに終わる。

そして、九頭竜の意識がリーナに向いた。

 

「!」

 

達也がリーナに降り注ぐ魔法の嵐を撃ち落とそうとしたときだ。

 

「キィーーーーーーーーーーーーーンッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

アラレちゃんみたいな掛け声とともに空を走ってくる女の子がいた。

 

「ほぉぉおおおおおうワッチャアォウッ‼︎」

 

理解不能の掛け声と共に拳を振り抜く。それが九頭竜の頭に直撃し、その頭だけ地面に減り込んだ。リーナはトラウマを思い出したのか、身震いさせ、深雪と達也は呆れたようにため息をついた。

 

「あのバカ……」

 

「何しに来たのよ……」

 

と、呆れる二人の前に美雨は降り立った。

 

「よーっす!ねぇ兄ちゃん!あれなに⁉︎」

 

「なんだろうな。俺には分からん」

 

「ぶー。教えてくれてもいーじゃーん」

 

「だめだ。つーか何。なんでお前ここにいんの?」

 

「バイト終わりにたまたま見かけたの!」

 

「あっそ。とにかく、お前は手を出すな。今回の件はノータッチなんだろ?」

 

「そうは約束したけど……大丈夫なのこれ。あたし無しで」

 

「………………」

 

「どうなの?」

 

「好きにしろ。今回だけだからな」

 

「はーいっ!」

 

で、美雨は九頭竜に突撃した。すると、トラウマをなんとか克服するようにリーナは二人に聞いた。

 

「ね、ねぇ……。ミウにあの化け物は見えてるの?なんで?」

 

「いや知らんけど……なんか美雨はなんでも触れる体質みたいでな……この前の九校戦でも偏倚解放の魔法を殴ってたし……」

 

「ていうか、空の上走ってますしね……」

 

「触れるのは触覚だけじゃなくて視覚、聴覚、味覚、嗅覚全部万能みたいなんだ」

 

達也と深雪が困惑するように言った。

 

「…………タツヤ」

 

「なんだ?」

 

「もう私、あなた達に二度と喧嘩売らないわ」

 

「そうしとけ」

 

 





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