二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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気が付けば夕方になっていた。あたしはずっと真由美さんの膝の上で寝ていたようだ。
「ふふふっ、起きた?」
「うん……おはよっ」
「おはよう」
で、ん〜っと起き上がる。時計を見ると17時を回っていた。
「って、寝過ぎたぁ!公務員試験の勉強する予定だったのに!」
「? どうして公務員試験?」
「今はフリーターだからねー。とりあえず暇潰しに公務員の免許でも取っとこうかな〜って」
「さ、流石ね……暇つぶしにそんなもん取れるの貴方くらいだわ」
「流石に勉強しないと無理だけどね〜。さて、そろそろ起きようかな」
言いながらあたしは立ち上がった。すると、生徒会室にはすでに何人か人がいた。あーちゃんさん、深雪、リンちゃんさん、その他諸々だ。
「あら、起きた?」
深雪が微笑みながら聞いてくる。
「よっす」
「あまり七草先輩に迷惑かけちゃダメよ?」
「うぃーっす。チョリーッスwww」
「むかつく」
「すいませんでした」
テキトーに謝るとあたしは携帯を見た。
「あっ、ネトゲのイベント始まる。そろそろ帰るね」
「そう」
そのままあたしは生徒会室を出て家に帰った。あれ?何しに来たんだっけ。
*
そんなこんなで、バレンタイン当日となった。あたしは朝一でアメリカへ飛んだ。で、雫ちゃんの元へ落下。
「すぃーずぅーくぅーとぁんっッッ‼︎‼︎」
他の学校の寮などまるで無視して落下。
「あっ、美雨」
「やっほー!バレンタインだね!はい、チョコレート!もちろん本命だよ!」
「……………」
「あれ?雫ちゃん?」
「手作りじゃないの?」
「ごめんね〜。本当はそうしたかったんだけど、あたし料理がてんでダメでさぁ。過去に27回家が爆発してるから」
「そっか……」
少しシュンっとする雫ちゃん。
「ご、ゴメンね………。来年までにはちゃんと練習するから……」
「ううん。気持ちはすっごい嬉しいから」
言いながら雫ちゃんは冷蔵庫の中から綺麗にラッピングされた袋を取り出した。
「はい。私からも、本命」
ニコッと微笑んで渡された。
「私入りのチョコ、味わって食べてね」
「うん。ありがとう!」
うん?私入りのチョコ?まぁいいか。
「食べていい?」
「うーん……家で食べてほしいな」
「へ?なんで?」
「は、恥ずかしいし……」
………何を入れたんだこの子は。マズい、雫ちゃんがあたしが一番理解できない方向に進んで行ってしまってる気がする……。とにかく、ここは戦力的撤退しかない。
「ごめんね雫ちゃん。この後、すぐに日本に戻らないといけないんだ」
「…………どうして?」
「今、公務員試験の勉強してるんだ」
「………そっか。分かった」
よかった、納得してくれた。まだ第一段階みたいなものか。なんのだよ。
「じゃ、行くね。チョコありがと。絶対味わって食べるね!」
「うんっ」
そのまま帰国した。