二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
<< 前の話 次の話 >>
兄ちゃんのためにも今回の件には関わらないと決めたので
、あたしは呑気にバイトしている。
「いらっしゃいませー」
「あら、美雨さん?」
「ま、真由美さん!」
元会長さんが朝からコンビニに来た。
「バイト?ここで?」
「はい。脱ニートです!」
「そう。あ、そうだ。達也くんにバレンタインのチョコをあげたいんだけど、とびっきり苦いのと辛いのどっちがいいとおもう?」
「え?えーっと……苦い方がいいんじゃないんですか?」
「苦い、か……うーん……」
「でも文句を言われたら面倒ですからね……。味を守りつつ苦くして、尚且つ喉を乾く味にして飲み物を買わせることによって財布に軽傷を負わせる事も可能だよ」
「なるほど!」
納得しちゃったよこの人。我ながら飲み物程度じゃ財布に軽傷を負わせることは無理だと思うんだけど。
「ありがとう美雨さん!お礼にこの揚鶏5個買っていくわね!」
あ、バカだこの人。
「あ、はい。では………」
まぁいいか、うん。あたしは知らない。
*
「は、はわわわー!遅刻するー!」
とか言いながらコンビニに寄ってきたバカがいた。あーちゃんさんだった。
「って、美雨さん⁉︎」
「どーも、あーちゃんさん。つーか遅刻するって言ってたのにここにいていいの?」
「シャー芯切らしてるんですよ!」
「そう」
「えーっと……シャー芯シャー芯……み、美雨さん何処ですか⁉︎」
「シャー芯が置いてあるところです」
「な、なるほど!」
なんだ?一高の歴代生徒会長はバカばかりか?
「って、それを聞いてるんです!」
「そこですよ」
「そこ……?あ、あった!ありがとうございます!」
「いやこちらこそお買い上げありがとうございます」
そんな事を話しながらもあーちゃんさんは急いでコンビニを出て行った。
*
夕方になった。コンビニの前で掃き掃除をしていると、下校している学生……というか一高生もちらほら見えてきた。
「………っし、こんなもんでしょ」
綺麗になったなと判断して再びレジに戻ろうとした時だ。
「あれ、美雨?」
振り返ると帰宅中のほのかちゃんを見かけた。
「よっす、ほのかちゃん」
「よっす」
あたしのマネで挨拶するほのかちゃん。やだそれ可愛い。
「ここでバイトしてるの?」
「うん。丸一日ね」
「へぇー。せっかくだから寄って行こうかな」
「お、ありがとう。でもね、ほのかちゃんがいくら買って行こうとあたしの時給はピタ一文変わらないんだよね」
「………やっぱ買うのやめようかな」
「ごめん暇だからなんか買ってって」
*
夜になった。あと二時間で上がりだ。その時だ。
「おはようございます」
挨拶をしながら誰かが入って来た。
「あ、おはようござ……」
服部さんだった。何してんのこの人。
「……………」
「し、司波妹、さん?」
「ど、どうも」
お互い軽く会釈した。
「………あ、今着替えるね」
「あ、はい」
わあ、気まずい。