二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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デート2

 

 

 

 

夜中。正座してるシュウさん、その前に仁王立ちしてるエリカ。

 

「な、なんで怒られてるんだ俺は……不可抗力だろアレ……」

 

「黙ってください!まったく、よりにもよって美雨の裸見るなんて……この家壊れててもおかしくなかったんですよ?」

 

「わ、悪かったよ……」

 

ちなみにあたしはエリカの横でゲームしてる。

 

「畜生……まったく傷付いてるように見えねえ……」

 

「あ、そうだ」

 

ピンポーンと音が鳴りそうな感じで何かを思いついたエリカ。で、悪戯っぽい笑みを浮かべると、シュウさんに言った。

 

「この事、あの女に言ったらどうなりますかね」

 

「あの女……?はっ、摩利か!エリカ!お前いつからそんな悪どい女になったんだ!」

 

「黙ってください。これをばらされたくなかったら、美雨とデートしてください」

 

「な、なんだそりゃあ!それ摩利に見つかったらどちらにしろアウトだろうが!」

 

「歯向かうんですか?それなら言っても構いませんけど?」

 

「むぐっ……!わ、分かったよ……」

 

こればっかりはあたしも少し引いた。エリカはエリカでブラコンだなオイ。

 

 

 

 

で、寝る。あたしとエリカは同じベッドの中。

 

「なんか、お泊まり会みたいだね」

 

「いやそうじゃん。言っとくけど、変なことしたら許さないからね」

 

「分かってるよー。許されないことが怖くてエッチなこと出来ないよー」

 

「全然分かってない!」

 

少し離れるエリカ。

 

「待ってよー!」

 

「やめなさい!怒るわよ!」

 

「ぎゅー!」

 

「いやー!………あ、これ雫がああなる理由わかるかも」

 

「今なんか言った?」

 

「な、なんでもないわよ!もう寝るわよ!」

 

で、二人で目を閉じる。

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「……………ズボンを脱がそうとするな!」

 

「ねっ、エリカ」

 

「無視⁉︎てか、やめっ、ちょっ……いい加減にっ、しなさい!」

 

「いだっ!」

 

近くにあった棒で殴られた。

 

「ね、エリカ」

 

「何よ改めて」

 

「あたし、今回の件に首突っ込むのやめる」

 

「………何よ急に」

 

「いやーなんて言うのかな。兄ちゃんの言うことも分かるなーって。でも最後に言われた言葉だけは許さないけど」

 

「ふーん。ま、それならいいんじゃない?」

 

「あたしも、魔法科高校に入学すれば良かったなぁ……」

 

「落ちたもんは仕方ないわよ。ほら寝ましょ」

 

「うんっ!」

 

「だからズボン脱がすなっつーの!」

 

寝た。

 

 

 

 

週末。あたしはシュウさんと二人でデート。シュウさんがわざわざ休み取ってくれました。

 

「な、なぁ……やっぱり俺には摩利がいるんだし……」

 

「昨日、あたしの全裸見たこと言われたいの?エリカに」

 

「そ、それは困る……」

 

「まぁ大丈夫ですよ!そのためにあたしがわざわ地元じゃなくて渋谷を選んだんですから!」

 

「それは助かったけどさ……」

 

「渋谷にいいゲーセン見つけましたし!」

 

「それが目的かよ……」

 

シュウさんは困ったようにボヤいた。まぁ摩利さんに見つかったらあたしが説明すればなんとかなるよね。

 

「さ、行きましょう!シューウさん♪」

 

「顔だけ見たら可愛いのがまたタチ悪いんだよな……」

 

「? 何か言いました?」

 

「や、なんでもない。で、渋谷だっけ?電車賃は……」

 

「いらないよ?」

 

「は?」

 

「飛ぶもん」

 

あたしはそう言うとシュウさんをお姫様抱っこした。

 

「………この歳でこれは……しかも年下の女の子にされるのは恥ずかしいんだけど」

 

「じゃあ人に見えない速度で動くね!」

 

飛んだ。

 

「いやそういう問題じゃ……」

 

「着いたよ!」

 

「速いな」

 

ゲーセン前に到着。シュウさんを降ろすと中へ入った。

 

「ここがゲーセンか……初めて来たな」

 

「えー?学生時代とか来たことないの?」

 

「あーまぁね。そんな時間なかったし………」

 

「は、ははっ……時間がない、か。言ってみたいわーその台詞。あたしなんて今ニートだから腐る程時間あるし……」

 

「に、ニートなのか?」

 

「死んじゃおっかなーもう」

 

「軽いなノリが」

 

なんて話しながらゲーセンの中へ。

 

「さて!遊ぼっか!」

 

「ああ、何する?」

 

「あれ!」

 

あたしはガンダムのエクバシリーズの前に立った。

 

「へぇ……ガンダムか」

 

「知ってるの⁉︎」

 

「名前だけな。あとアムロだけ」

 

「ああ…知ってた……」

 

なんてやりながらあたし達は出撃した。10回終わった後、少し飽きたため立ち上がった。

 

「もういいのか?」

 

「うーん少し飽きたから別のゲーム。今日から夕張のフィギュアがゲーセンで出るんだよね」

 

「夕張?北海道?それともメロン?」

 

「うん、後者のほう。正反対だからやめたげて」

 

言いながらクレーンゲームの方へ。

 

「は?これが夕張?」

 

「うん。可愛いでしょー」

 

言いながらUFOキャッチャーで見事にゲット。

 

「………すごいな」

 

「シュウさん何か欲しい物ある?」

 

「いや、特にはないな……。と、いうか分からないものばかりだ。最近の流行りとか」

 

「うーん……そういうのはゲーセンには無いと……あっ」

 

あたしの目線の先にはぬいぐるみがあった。バカみたいにデカイ熊の。

 

「あーいうの、エリカとか好きかは分かりませんが、シュウさんがあげたものならなんだって喜びますよ!」

 

「そうかな……」

 

「なんなら取ってあげますよ?」

 

「じゃあ、お願いしようかな」

 

そういえば……あたしも兄ちゃんに何か取って行こうかな……。なんか、迷惑かけてる気もするし……何より最近知ったけどエリカに兄ちゃんからめっちゃ電話来るらしい。内容は「風呂は入ってるか?」「ご飯はちゃんと野菜も食わせてるか?」「ゲームばかりしてないか?」らしい。母ちゃんかよ。

ま、せっかくだから深雪にも何か取っていこう。そう思いながらとりあえずあの熊のぬいぐるみ取った。

その時だ。プルルルルッと電話が鳴った。シュウさんのだ。

 

「もしもし? ! 本当か?分かった」

 

言うと、電話を切るシュウさん。そして、あたしに五千円札を渡した。

 

「すまん。急用だ。また今度な。ぬいぐるみありがとう」

 

「急用?なら送って行こうか?」

 

「いいよ。あれ恥ずかしいし。また遊ぼうな」

 

「今の浮気発言?」

 

「違うよ!」

 

そのままシュウさんは去っていった。

 

 





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