二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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便意

 

 

 

「で、君が、弟と妹と西城くんの友達?」

 

「はい、司波美雨です!」

 

寿和さんに聞かれてあたしは元気良く答えた。シュウさんに連絡先を教えてもらったのはこの人だ。

 

「で、俺に何を聞きたいの?」

 

「レオを倒し奴をブチ殺したいので情報を下さい!」

 

「またとんでもなく明るく暗いことを言うね……。大体、魔法師じゃない君にそんなこと話せるわけないじゃない」

 

「あたしはそこらの魔法師どころか世界で一番強いです!だから教えてください!」

 

「また大きく出たね君……。うーん…気持ちだけ受け取る、とかは出来ないかな。僕も西城くんをついこの前巻き込んで怪我させちゃってるから、これ以上一般人を巻き込むわけにはいかないんだけど……」

 

「うーん、シュウさんに聞いてない?あたし、なんだっけ……ひ、紐食い虎?」

 

「虎は肉食だよ。人喰い虎な」

 

「そうそれ。そいつ三回叩き潰してるんだけど……それでもダメ?」

 

「ダメってことはないんだが……うーん……」

 

うーん、もう少しか……。これでいこう。

 

「実は、ね……」

 

「ん?」

 

「西城くんはあたしの……彼氏なんだ」

 

「……………えっ?」

 

「だから、ね?その……どうしても傷つけたやつが許せなくて……お願い、教えて?」

 

上目遣い+涙目で迫った。

 

「仕方ないなぁ……内緒だからね?」

 

「! ほんと⁉︎良かったぁ」

 

「今思えば、横浜の時に君の強さは見てるからね。頼むよ」

 

「あーい!」

 

さて、いつ殴り合いを仕掛けようかな。

 

 

 

 

とりあえず、場所は渋谷だっけ。せっかくだからちょっと見学していこうと、あたしは渋谷まで飛んでいった。で、とりあえずテキトーにブラブラ歩く。へぇーこんなところにこんなものがーとか、うおーこんなところにゲーセンがーとか考えながらコーラを歩き飲みしていると、とある不愉快な感覚になった。

つまり、腹痛だ。言い方を変えれば便意だ。

う、うんこしたくなっちゃった……。

 

「や、やばいよやばいよやばいよ〜〜〜!」

 

辺りにコンビニは見当たらないし、何よりテキトーに歩いて来ちゃっから何処にトイレがあるかなんて分からない。うちまで走って帰ってる間にブリッといってしまうかもしれない。

 

「やばい……我慢の限界が………」

 

い、いやだ……高1、それも女の子がうんこを漏らすなんて……。想像しただけで恥ずかしくて涙が出てくる。

そうなったら死ぬ……はっ!うっかりしてた!さっき公園を通ったじゃないか!公園に確かトイレがあったはず!そうと決まれば善は急げだ!あたしはお腹を押さえて早歩きした。

腹痛時に走ると便意が増す。漏らす確率が高くなるのだ。あくまで早歩きだ。走るのはトイレが見えてから……見えた!トイレ!あたしは駆け出した。その時、なんか変な顔して帽子を被ってマントをした奴が目の前に出てきた。そいつは変な構え方をする。ああもう!こんな時に!

 

「邪魔!」

 

あたしはその変質者を殴り飛ばすと、勢いよくトイレに駆け込んだ。マッハで短パンを脱いでお尻を便器に付ける。

 

「…………はぁ……」

 

この感覚、最高。そういえばさっきすれ違いザマに殴った変質者なんだったんだろ。ま、いーや。

 

 





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