二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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雫ちゃんの家。というか屋敷。
「……ぐぁーっ!訳分かんねぇ!」
「五月蝿い!叫ぶな!鬱陶しい!」
「れ、レオくんもエリカちゃんと、落ち着いて……」
レオ、エリカ、美月と声を漏らす。なんだかんだで兄ちゃん達クラスの違う子達も来ている。
「そんなん簡単だよレオ。xにこのx=の式を代入すればこっちの式からxから消えるじゃん。後はyについて解けばいいんだよ」
言いながらあたしは雫ちゃんのオッパイを揉む。雫ちゃんは「やめて」とは口で言いつつも抵抗しなかった。可愛い。するとレオは悔しそうに頭を掻きむしって呟いた。
「畜生……なんでこんな奴の頭が良いんだ……」
「どういう意味だ⁉︎」
あたしが反応すると笑いが起こる。そんな勉強会というよりお茶会みたいな雰囲気が流れてる時だ。
「実はアメリカに留学することになった」
雫ちゃんの爆弾どころか水爆発言をした時、世界が静止した。
「今なんつった雫ちゃん?」
「実はアメリカに留学することになった」
「」
あたしは言葉を失った。ついでに気も失った。
「? 美雨?美雨?……死んでる」
「いや死んでないわよ」
*
で、12月24日。クリスマス。送別会とクリスマス会を同時にやる事になった。
「うえええええええええええっっっ‼︎‼︎‼︎し、しず……雫ぢゃああああああんっ!」
鼻水と涙を垂らしながら雫ちゃんに抱き着いた。
「うんうん、でも鼻水着けたらビンタするから」
そう言う雫ちゃんの声も震えていた。わあ可愛い。
「はいこれ、クリスマスプレゼント!」
あたしは携帯を渡した。
「? 何これ?」
「ピンチになった時や寂しくなった時に電話して!それ以外の時も電話して!あたししばらくフリーターだからいつでも出れるからね!」
「うん……ありがとう」
「それとこれ!」
あたしが渡したのは瓶。液体入りだ。
「? これは?」
「あたしのオシッ……」
最後まで言えずに兄ちゃんと深雪に殴られた。
*
あの後、交換留学についての話をしたり号泣したりサンタさんをいつまで信じていたかーなんて下らない話をしたり号泣したり写真を撮ったり号泣したりしたが、なんとか解散した。で、今は年末。大掃除中だ。あたしはソファーの下などを担当。理由、ソファーを持てるから。
「人使い、荒い、なぁ!」
「ソファーは静かに置きなさい!床が傷付くでしょう⁉︎」
「ご、ごめんなさい……」
深雪が怖い……。ていうか、うちはいつも綺麗にしてるんだから掃除なんて必要あるのかねぇ……。
「ダッル……」
「いいから働きなさい!ニート!」
「ちょっ……ニートって言わないで!来年からちゃんとフリーターやるんだから!」
「なら今のうちに働いときなさい」
「どんな理屈だよそれ……」
ブツサク言いながらあたしは掃除した。で、とうとう一番問題のあたしの部屋。
「………自分でやりなさいよ」
「手伝ってお姉様!」
「嫌よ!」
そんな事を言いながらもなんだかんだで手伝ってくれて、ようやく年が明けた。