二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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相談

 

 

 

 

 

「はぁ⁉︎退学⁉︎」

 

翌日。一高で達也はレオ、エリカ、美月、幹比古と話していた。

 

「ああ。横浜の時の一件でクラスから嫌われたらしくてな……」

 

「なんでそれで嫌われるのよ」

 

エリカが不機嫌そうに聞いた。

 

「俺たちはこの高校だからまだわかるが、普通の高校のクラスメートが人を殺してたらどう思う?」

 

「あー……なるほどね。で、でもそれみんなを守るためにやってたことでしょ⁉︎」

 

「それでも、殺したという事実は変わらないだろう」

 

「むぅ……それは、そうだけど……」

 

それでもエリカは納得いかない表情だ。

 

「でも、美雨ちゃん可哀想ですね……」

 

美月からも暗い声が漏れた。

 

「だから、みんなに頼みがある」

 

「頼み?」

 

達也の台詞に幹比古が聞き返した。

 

「なんとかして、美雨を元気付けて欲しい。いつも喧しいあいつが大人しいと、なんか気持ち悪い」

 

「気持ち悪いって……いやなんとなく分かるけど……」

 

で、レオ、エリカ、美月、幹比古は顔を見合わせた。が、すぐにエリカが言った。

 

「ま、仕方ないわね」

 

「だな。なんだかんだ、あいつには俺たち何度も助けられてるしよ」

 

「すまないな」

 

 

 

 

その頃、深雪。

 

「ええっ!退学⁉︎」

 

ほのかが声を漏らした。

 

「そうなのよ……あの私の愛しき妹を虐めだなんて本来なら永久氷河期にしてやろうかと思ったのだけれど、お兄様に迷惑かけるわけにはいかないから、我慢したわ。それにしても……泣きそうな美雨も可愛かったわぁ〜……」

 

と、一人妄想する深雪を前にほのかは雫に耳打ちした。

 

「なんか……深雪が美雨と双子っていうのも頷けるね……」

 

「…………」

 

「雫?」

 

「深雪、その氷河計画。私も手伝う」

 

「雫⁉︎」

 

すると、深雪は目を輝かせてガバッと振り返った。

 

「やっぱり⁉︎そうよね!決めたわ!雫、一緒に滅ぼしに行きましょう」

 

「OK」

 

「ち、ちょっと落ち着いてよ二人とも〜」

 

ほのかが何言っても止まりそうにない。その時だ。

 

「そうだよ。やめときな」

 

「み、美雨⁉︎」

 

その瞬間、深雪の顔がボフンッと赤くなる。そして、恐る恐る聞いた。

 

「………どこから聞いてたのかしら?」

 

「………………」

 

しばらく目を閉じて、顎に手を当てて考える仕草をとる美雨。そして、無表情で深雪のような雰囲気を出したあと言った。

 

「『そうなのよ……あの私の愛しき妹を虐めだなんて本来なら永久氷河期にしてやろうかと思ったのだけれど、お兄様に迷惑かけるわけにはいかないから、我慢したわ。それにしても……泣きそうな美雨も可愛かっ……』」

 

「わあああっ!やめて!やめてぇ〜!」

 

顔を真っ赤にして制止する深雪などまるで無視して美雨は笑顔で雫に抱きついた。

 

「しーずーくーちゃん!久しぶり!」

 

「う、うん。ひさしぶり。その、大丈夫?美雨。ほんとに滅ぼさなくて平気?」

 

「へーきだよー。大体、滅ぼすならあたしが一人でやるよ。雫ちゃんの手を汚すわけにはいかないからね☆」

 

で、横ピース。それを見てほのかは「あははっ……」と乾いた笑いをしたが、雫は黙って美雨を見つめた。カラ元気をまるで見透かしているかのように。すると、雫が口を開いた。

 

「美雨、実は今日みんなで私の家でテスト勉強するんだ」

 

「雫ちゃんの家で⁉︎」

 

「だから、一緒に勉強しな……」

 

「するっ‼︎」

 

そんなわけで、期末テストの勉強会である。

 





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