二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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半裸

 

 

 

 

あの後、あたしはラスボスを捉えて兄ちゃんに引き渡した。で、いまはヘリコプターがあたし達の前に降りてきたところ。

 

「大丈夫⁉︎深雪さん、美雨さん!」

 

真由美さんがヘリコプターから降りてきた。

 

「あ、真由美さん!へーきだよー」

 

「七草先輩、ご心配をおかけしました」

 

軽く手を振るあたしと礼儀正しく頭を下げる深雪。最初は快く手を振り返してくれたが、なぜか顔を赤くする真由美さん。

 

「み、美雨ちゃん⁉︎」

 

「雫ちゃんとかまだ乗ってる?」

 

「ええ、みんなあなた達を待っていたわ。って、そんな事より……!」

 

「しーずーくーちゃーん!今会いに行くからねぇーっ!」

 

「ダメ!そんな格好でそれに乗ったら……!」

 

真由美さんをまったく無視してあたしはヘリコプターに乗り込んだ。そして、元気良く手を振った。

 

「雫ちゃーん!いるー⁉︎」

 

「あ、美雨!心配したんだから……って、み、美雨⁉︎」

 

「? どしたの?」

 

みんながみんな顔を赤くしだした。特に、レオ、幹比古、五十里さん、桐原さんなどといった男性陣は一層顔を赤くして目を反らす。が、目ん玉だけチラッチラッとこっちを見る。

 

「あんたら見ちゃダメよ!」

 

「グハッ!」

 

「よ、吉田くんごめんなさい!」

 

「ぎゃあっ!」

 

「啓!あんたまで何見てるのよ!」

 

「み、見てないよ!」

 

「ち、ちょっと桐原くんも!」

 

「ふ、不可抗力だろ!」

 

エリカがレオにアッパー、美月が幹比古に目潰し、花音さんが五十里さん、壬生さんが桐原さんに説教など、なんかここはここで戦場と化していた。

 

「? みんな何してるの?バカなの?」

 

「バカはお前の方だ」

 

1人落ち着いた様子の摩利さんがあたしに言った。

 

「みんななんかあったんですか?」

 

「自分の服装を見てみろ」

 

「へっ……?」

 

言われてあたしは自分の服装を見た。まるでフリーザとの最終決戦の悟空みたいな服装をしていた。つまり、上半身全部服破れてる。

 

「」

 

顔から煙が出てる気がする。すると、五十里さんが顔を赤くして自分の上着を脱いで目を閉じながらあたしに差し出してくれた。

 

「ほ、ほら!着なよ!」

 

「五十里さん……」

 

「んなっ……⁉︎」とリアクションする花音さんを捨て置いて、急いであたしはその上着を羽織った。

 

「ありがとうございます五十里さん!結婚しましょう!」

 

「えうっ⁉︎」

 

「それするのは私よ!」

 

あたしと花音さんがこれをキッカケに一触即発(というか一方的な嫉妬)になるのは別の話。

 

 

 

 

自宅。

 

「はぁ……今日は疲れたね〜深雪ぃ〜……」

 

「そうね……」

 

ちなみに兄ちゃんは仕事だ。あたしも連れてけって言ったら断られた。

 

「あたしも行きたかったなぁ〜……煙乱闘編2ndステージ」

 

「馬鹿言わないの。私を一人にしないでくれるかしら」

 

「えっ?」

 

「えっ?……あっ」

 

今更自分の言った言葉を理解して深雪は顔を真っ赤にする。やだ何この姉可愛い。

 

「ち、ちがっ違うの!今のは……」

 

「つい本音が漏れちゃったんだね!深雪可愛いー!」

 

「だから違うわよ!……って、やめなさい!」

 

深雪は言うがあたしは深雪に抱き着いた。動揺して魔法を上手く使えない深雪なんて恐るに足らず!全力で抱き着いた。

 

「あー!深雪深雪深雪深雪深雪ー!可愛いマジ愛してるラブ!」

 

「やっ、やめっ……む、胸の匂いを嗅ぐのはやめなさい!」

 

「むぅ……双子のくせにあたしより大きいなんて許せん!ついでに揉みしだいてやるぅー!」

 

「ついでに揉みしだかれてたまりますか!ていうかいい加減にしないと……!」

 

「深雪サン深雪サン深雪サン深雪サン深雪サン深雪サン………」

 

「このっ……いい加減にしろぉ!」

 

「ひゃあぁぁあっ!」

 

凍った。

 

 





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