二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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再生

 

 

 

あたしは見てろと言われたので見てる事にした。まず先に攻撃したのは深雪だった。敵のロボットを凍らせ、動けなくする。そして、飛び出すレオ。手にする武器は双頭ハンマーみたいなスティック。のハンマーの部分が駆動音を立てて変形?した。真っ直ぐな2mの刃に変わり、それが直立戦車を切断した。

さらにその横ではエリカがなんかスッゲーかっこいい刀で敵のロボットを叩き潰した。

 

「………すごい」

 

素直に声が漏れた。なんだかんだ言って兄ちゃんと深雪以外の戦闘を見たことなかったから少し感動した。

 

「何当たり前のこと言ってるの?」

 

横で雫ちゃんがあたしに言った。

 

「雫ちゃん……可愛い」

 

「今まで美雨が化け物だったから気付かなかったかもしれないけど、魔法科高校に入学してる時点で普通の生徒はいないよ?」

 

「あ、そなの……」

 

横では花音さんとかが暴れ回っている。これなら、ほんとに周りに任せてあたしは大人しくしててもいいかもしれない。すると、バララララッとヘリコプターの音が聞こえた。

 

「来た!」

 

ほのかちゃんが上を見た。だが、そのヘリコプターに変な黒い雲が飛来した。よく見るとアレはイナゴだった。

 

「マズイよ!エンジンの吸気口に飛び込まれたら……!」

 

ほのかちゃんが言うまでもなく、雫ちゃんが銃を向ける。そのままメーザーを撃ちまくるが、

 

「数が多い……っ!美雨、手伝って」

 

「無理……虫……吐きそう……」

 

「虫ダメなの⁉︎ああもうっ!こんな時に!」

 

いや、マジでダメなんだ。口から今まで食べたもん全部リバースしそう……。その時だ。その大群が消え失せた。そして、そこには黒づくめの……いやジンとウォッカじゃなくて。ていうか兄ちゃんでいいや。兄ちゃんが立っていた。

 

「達也さん……?」

 

そう呟いたのは誰だかわからない。でも、とにかく兄ちゃんと兄ちゃんと同じ格好した連中がヘリを守るように陣を組み、ヘリは降下した。

 

 

 

 

で、ヘリに収容中。まずは一般市民から。そういえばあたしの高校の人達は大丈夫なのかなぁ……。まぁとっくに逃げてると思いたいけど……。そんな事を思いながらあたしは収容されていく市民を眺めていた。あ、良かった。ちゃんとうちの高校の人もいる。

 

「動くな!」

 

そんな声がした。見ると、雫ちゃんが人質に取られていた。その瞬間、周りは焦った顔になる。

 

「全員、武器を捨てろ」

 

そう言う奴は雫ちゃんのコメカミにライフルを当てている。

 

「あの……」

 

「なんだ?」

 

雫ちゃんが口を開いた。

 

「自分で言うのもアレだけど……やめといたほうがいいよ」

 

「? 何がだ?」

 

「私を人質にするの」

 

「どういう意味だ?」

 

「そのまんまの意味で。あなたの為にも」

 

「? ?」

 

雫ちゃん、忠告しても無駄だよ。そいつを許すつもりないから。あたしはそいつの背後に回って肩に手を置いた。

 

「オイ」

 

「あぁ?」

 

「死ね」

 

「あ?」

 

思いっきり股間を蹴り上げ、そいつは空中に舞い上がった。あたしもジャンプし、そいつを踵落としで地面に蹴り落とした。そのままそいつは地面に減り込み、あたしは雫ちゃんの横に降りた。

 

「大丈夫⁉︎雫ちゃん大丈夫⁉︎ごめんねあたしが油断したからあたしみたいなゴミ屑生きてる価値ないよねだって雫ちゃんをあんな怖い目に合わせちゃったんだもんごめんちょっと、死んでくる……」

 

「ま、待って待って落ち着いて!私の方こそごめんね……油断しちゃって……油断しなければ……美雨がそんな気分になることも、なかったのに……」

 

「雫ちゃん……」

 

このままキスでもしてやろうかと思ったら、頭にチョップされた。深雪だった。

 

「戦場のど真ん中でゆりゆりするのはやめなさい」

 

「はいはい……」

 

なんて言いながらも、市民の脱出は完了した。

 

 

 

 

ようやく、あたし達用のヘリが来た。

 

「あれ、七草先輩のヘリだそうよ」

 

深雪があたしにいってきた。

 

「へぇ〜……いいなぁ、あたしもヘリコプター乗ってみたい」

 

「これから乗るのよ。酔わないようにね」

 

「げっ」

 

わすれてたー。乗り物酔いの酔い止めは……一応あるけど。

 

「い、一応飲んどいた方がいいかな?」

 

「それはあなたに任せるわ」

 

飲んどこう。あたしが薬を口の中に入れたときだ。

 

「危ない!」

 

摩利さんの声が響いた。あたしが狙われてるのかと思ったが違った。桐原さんが動き、壬生さんの前でブレードを振るう。上半身はカバー出来たものの、桐原さんの足が千切れてしまった。

さらに、五十里さんの背中から血が噴水のごとく噴き出す。

 

「桐原くん!」

 

「啓!」

 

花音さんと壬生さんが泣きそうな声を吐き出す。あたしはその撃たれた方向を見た。そいつはさらに三撃目を放とうとこっちに銃を向けていた。

 

「野郎……ッ!」

 

あたしがそいつを踏みつぶそうとした時だ。あたしより遥かに大きい怒りを感じた。見ると、深雪が右手を前に差し出していた。それだけで、世界が凍りついた。その瞬間、敵兵士の身体は静止した。っと、こうしてる場合じゃない。あたしは兄ちゃんを呼びに行かないと。

空を歩いて兄ちゃんの元へ。

 

「兄ちゃん!」

 

「なんで歩いてんだお前」

 

「今更過ぎるよ。それより、お願い」

 

あたしの視線の先には桐原さんと五十里さん。すると、兄ちゃんは二人の元へ降りて、CADを向けた。

 

「何するの⁉︎」

 

花音さんが言うが兄ちゃんは引き金を引く。その瞬間、2人の身体は再生した。銃弾を喰らう前に。そして、そのまま兄ちゃんは何処かに飛んでった。

 

「………さっすが」

 

あたしはそう声を漏らした。

 

 

 





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