二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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「渡辺先輩、七草先輩。申し訳ありませんが美雨が今日、雫の家に行くことがないよう、駅まででよろしいので送っていってくれませんか?向こうの駅には深雪がいますので、引き渡してくれればそれでいいです」
「ええっ⁉︎」
声を漏らすあたし。
「分かったわ」
「逃げ出したら俺に言ってください。家で修正します」
「う、うん……」
「よろしくお願いします」
それだけ言うと兄ちゃんは何処かへ行ってしまった。ううっ……あんまりだ……。まぁいいや。怒られるのは慣れてるし、この人たちにあたしを見張れるかなんてはなはだ疑問だし。
「……と、言われてもどうする真由美。正直、どうやって見張っていればいいものか分からんぞ」
「そうよねぇ……あ、そうだ」
真由美さんがポンっと手を打った。ふんっ、どんな手で来られてもあたしは逃げてや……、
「美雨ちゃん、オンブしてあげる」
言いながら真由美さんはしゃがんだ。
おんぶ→女の子と密着→しかも後ろを取ってる→おっぱい揉み放題。
「よろしくお願いします!」
「何を考えていたか手に取るように分かったな……」
摩利さんに呆れられたが、無視して真由美さんの背中に飛び乗った。
「えへへぇ〜えいっ」
むにゅっ
「摩利、変なことしたら後ろから引っ叩いてあげて?」
「了解」
いーよーだ。どーせ効かないもん。と、思った時だ。あれ……なんか、眠気が……。あたしは夢の世界へ行った。
*
「おお、寝たな。魔法か?」
「ううん。私、誰かをおんぶするとなぜかその人寝ちゃうのよね」
「な、なんか特技なのかよく分からんな……」
で、真由美は後ろの美雨の顔を見た。
「こんなヘンタイでも顔はやっぱり深雪さんね……。可愛い寝顔してるわ」
「そうだな。と、いうかあの兄妹と暮らしててどうやってこんな妹になるんだろうな」
「それは言っちゃダメよ……にしても、この子あれね」
「どうした?」
「軽いのよ。この子。あのとんでも怪力が出るとは思えないほど」
「軽い?」
「ええ……。ちゃんと食べてるのかしら……」
「まぁ、食べてはいるんだろうが……」
※ゲームのやり過ぎで最近は飯をよく抜いてるだけ。
「ま、その辺は私達が心配するようなところじゃないさ」
そのまま二人は駅に到着した。
*
「申し訳ありません。うちの妹が……」
深雪に引き渡される美雨。
「いいのよ。私がおんぶするって言ったの」
「ああ。むしろ寝ててくれて助かった。……雫の家に行くために暴れられたらアレだったし……」
真由美、摩利と言った。
「じゃあ、私達は行くね」
「また学校でな」
「はい。お疲れ様でした」
そのまま深雪は美雨を背負って帰宅した。
(そういえば、久しぶりね……美雨をおんぶするの)
なんて物思いにふけてみたり。
(たまにはこういうのもい……)
その時、ムニッと胸を揉まれた。
「えへへぇ……雫ちゃあぁあん……」
「ニブルヘイム」
凍った。