二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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ラップ

 

 

 

 

翌日の夜中。

 

『やるなら今しかねぇ〜(ZURA)♪やるなら今しかねぇ〜(ZURA)攘夷がJOY〜♪JOYが攘夷〜♪』

 

「……………」

 

マイブームきた。

 

 

 

 

翌朝。

 

「おはようございます。お兄様」

 

「ああ、おはよう。美雨は?」

 

「まだ起きていません」

 

「そうか……」

 

「起こしに行ってきますね」

 

「いや、今日は俺が行こう」

 

「え?」

 

「話があるんだ」

 

と、達也はリビングを出て行った。そのまま階段を上がり、美雨の部屋をノック。

 

「入るぞ、美雨」

 

「どうぞ♪ナウマンゾウ♪」

 

「」

 

わけのわからん返事が帰ってきて、声も出ない達也だったが、なんとか気を確かにし、部屋に入った。すると、中にはダボダボのスウェットにトレーナー、帽子を斜めにかぶり、チュッパチャプスを加えてサングラスをかけ、ラジカセを担いだ美雨が立っていた。

 

「………なにやってんの」

 

「なにやっテンノー?イェスノー?」

 

当然、イラっとする達也だった。

 

「ていうか、なんだその似非ラップは。ていうかそれラップのつもりか?」

 

「イャ〜」

 

「いや、イャ〜じゃなくて」

 

で、ため息をつく達也。

 

「まぁいい。すまないが頼みがあるんだ」

 

「ヒィア、ウィ、ゴォウッ‼︎」

 

「OKでいいんだな?」

 

「ヘィッカモッ!」

 

「来てるよ」

 

で、いい加減話を進める達也。

 

「今日、八王子の刑務所に行くから付いて来い。以上だ」

 

「ケイムショ!ゴカンノムショウ!」

 

「お前が戦ったっていう人喰い虎も来るかもしれない。用心しろよ」

 

「人喰いタイガーテノリタイガー」

 

「よろしく頼む。じゃ、朝飯食うから下来い」

 

「了解、ラジャ、アラホラサッサー、アイアイサー」

 

(もうラップでもなんでもねーな)

 

達也は呆れてモノも言えなかった。

 

 

 

 

学校。あたしは思いっきり素に戻って授業を受けている。ただでさえ友達少ないのにわけのわからんラッパーモードで嫌われたくないし。で、今はLHR。横浜フィールドワークまであと5日。横浜に何を学びに行くのか知らないが、クラスはほとんど遠足気分でウキウキしている。が、あたしにとってこんなイベントはまったくどうでも良いものであり、まったく興味がない。それよりゲームの秋イベのが気になる気になる見たことのない気ですから。見たことのない気ってなんだよ。サイヤ人?

なんて考えながらボーッとしてると、後ろから背中を突かれた。

 

「ねぇ、司波さん」

 

「んー?」

 

「実はさ、私達が横浜に行く日に魔法科高校の論文……なんとかがあるんだって」

 

「へぇー」

 

「行かない?」

 

「いいよ。任せる」

 

「やった!」

 

ふぅーん……魔法科高校の論文なんとか、ねぇ……。ん?魔法科高校?ってことは……。

 

「あぁ……しくじった……」

 

兄ちゃん達に見つからないようにしないとなぁ……。

 

 

 





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