二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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オリキャラを出してみました。多分、横浜騒乱編以来出ません。
フィールドワーク
とある日の朝。達也が食卓の上に置いてあったメモを見たのはその日の朝一のことだった。
『修行に行ってきます。PS(プレイステーション)、オッパイがおおきくなりたい。美雨』
「」
達也には、何か感想を言う術がなかった。しばらくそのメモ用紙を眺めてボーッとしてると、深雪が起きてきた。
「おはようございます、お兄様……あらっ?何を見ていらっしゃるのですか?」
「あ、ああ。おはよう深雪。いやなに、メモ用紙だよ」
「それは分かるのですが……何が書かれているのですか?」
「俺には到底理解出来ない文だ。読んだら呪われるかもしれない。封印しよう」
「そう、ですか……?」
「そうだ。間違いない。だから深雪も早く支度しておきなさい。呉々もこれを見るなよ。死ぬぞ」
念のため釘を刺す達也。どうやら、理解不能のメッセージを深雪に見せて変に不安にさせたくなかったらしい。そのメモ用紙をクシャッと丸めて達也トイレに向かった。
*
放課後。達也が小百合を送ってから家に戻ると、美雨が帰ってきていた。
「お、おかえりー」
兄のシャツを着て下半身はパンツ一枚の学校で、ソファーの上でシャアの日常を読みながら声を上げた。それを見て達也は溜息を吐きながら言った。
「はぁ……。人のシャツを勝手に着るな。ズボンを履け、修行はどうした。ただいま」
「いーじゃん別にー。可愛い妹が下にブラジャーも着けずに自分のシャツ着てるなんてご褒美でしょ?あ、でもあたしが脱いでから臭いとか嗅いだりしないでよね」
「するか!それに、お前がブラジャーを着けないのは着けるほど大きくないからで……」
「それ以上言ったらアラスカまでぶっ飛ばすよ?」
「…………悪かった。それで、修行はどうした?」
「だから飽きたって。かめはめ波はあたし達人類じゃ放てないことがよく分かったよ」
「なんだ、カメハウスにでも行ってきたのか?」
「あるわけないでしょーそんなの。こんな感じかな?って感じでかめはめ波やってたんだけど出なかったってだけ。てか兄ちゃんこそどこ行ってたのさ」
「小百合さんの護衛だ」
「……………誰だっけ?」
「なんでもない。あとズボンを履け本当に」
「お?ナニナニー?妹に欲情しちゃうの?ほれほれー妹の下着だぞー?」
言いながら足をパタパタさせる美雨。その瞬間、パキイィィィンッと凍った。美雨も達也も。
「何をしてらっしゃるのですか?二人で。片方は下着姿で」
にっこりと微笑みながら深雪が居間に入ってきた。が、美雨が体に力を入れると、氷はすべて砕け散る。そして、平然とした様子で達也は深雪に尋ねた。
「そのエプロン……」
さっきまでフリーザ様のようなオーラを放つ笑顔の深雪だったが、達也が深雪の格好を指摘した瞬間、ヒマワリが咲いたような笑顔になる。
「気付いていただけましたか?」
「チョロいなうちの姉」
「何か言ったかしら美雨?」
「な、なんでもないよー」
で、美雨は誤魔化すように漫画に視線を落とした。すると、深雪も達也に視線を戻した。
「美月がエプロンを買い換えるというので、一緒に買ってみたのですが……あの、おかしくありませんか?」
聞かれて達也はその深雪を眺める。
「とてもよく似合っているよ。自分だけのガラスケースの中に、こっそり飾っておきたいくらいだ」
すると、美雨が「うわあ……」と声を漏らす。
「そのシスコンぷりは流石にキモいんだけど……」
「美雨、俺は妹に何を言われても怒らないわけじゃないからな」
*
翌日の朝。あたしは普段の学校へ向かった。そういえば、近いうちにあたしの学校では、横浜へ行く。なんだっけ、確かフィールドワークとかナントカ。メンドクサイナー。行きたくない。それなら家でゲームやってたほうがましだ。
「ダリィー」
思わず声が出た。そのまましばらく学校に向かって歩いてると、どっかで見たことある人が歩いていた。
「おーい!北原くーん!」
そうだ。フィールドワークで同じ班の北原くんだ。
「おう。司波」
「また1人なの?寂しいね!」
「ボッチゲーマーに言われたくねぇよ」
「あたしは友達いたよ?その子が部活に入ってから関わってないけど!」
「なんでだよ」
「不思議とね、部活に入ると溝ができるもんだよ……まぁあたしは他校に友達いるから問題ないけど!」
「中学だった頃の友達がいるって自慢してるのと同じくらい寂しい奴だぞそれ」
「うるさーい!そういう北原くんもボッチじゃない!」
「そうだな」
「肯定⁉︎」
「反論しても不毛なやりとりになることは分かりきったことだろ。俺は必要ないと判断したことはしない」
「ふーん。まぁなんでもいいや。早く学校に行こう?」
「おう」
今日は確かLHRでどこを回るかとかを決める日だ。