二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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「あーちゃんさーん!」
可愛い気配を感じたあたしは三秒で感知して後ろから突撃、抱き締めた。
「ひゃっ!だ、誰ですか⁉︎」
「グェッヘッヘッ、お嬢さん、俺といいことしようぜ」
「ひ、ひやぁぁぁ〜〜〜っっ‼︎‼︎は、離してくださぁ〜〜〜い!」
いや明らかに女の声でしょ……。なんで本気で怯えてるのこのヒト。すごく可愛い。
「なーんちゃって!あたしですよあーちゃんさん!」
「あっ、み、美雨さんでしたか……。脅かさないで下さいよぅ……」
涙目で頬を膨らませ、プンスカ怒るあーちゃんさん。可愛い。
「そんなことよりさ!次、生徒会長やらない⁉︎」
「嫌です」
「ままま、そう言わずに。ね?」
「いーやーでーすー!さては美雨さん、会長の回し者ですね⁉︎」
「そうだけど違うよ?あたしは常に自分が面白いように動くからねー」
「とにかく無理です。私に、生徒会長なんて大役……」
「いいじゃん!お得だよ生徒会長!可愛い女の子を生徒会メンバーに敷き詰めれば、自分のハー…レム、を………」
「? どうかしたんですか?」
あれ?ってことは、あたし……。
「ごめんあーちゃんさん!なんでもない!」
そのままあたしは生徒会室に引き返した。
*
「ねぇ達也くん」
真由美が心配そうな顔で達也に尋ねた。
「本当に美雨さんに任せて大丈夫なの?」
「問題ないでしょう。あいつはバカですが、頭がいい。交渉も上手ければ学校の勉強も出来る。言わば、夜神月や工藤新一と同じ部類のようなものです」
「………達也くんも漫画とか読むのね」
「美雨がよく買ってきますからね。興味があれば読みますよ。まぁ、とにかく任せておけば問題ないでしょう。帰ってくるまでここで……」
と、その時だ。バタンッ!と生徒会室の扉が開いた。
「ふえっ⁉︎な、なにっ⁉︎…………って、美雨さん。交渉は終わったの?」
「会長さん、あーちゃんさんよりいい人がいますよ!」
「本当に?どういうこと?」
「ですから、生徒会長に相応しい人がいるんです!」
「ほんとに?誰?」
問われて美雨は、ニカッと笑って勿体ぶった後、自分の胸を親指で刺した。
「…………は?」
「だからぁ……(←再び指を胸に刺す)」
「?」
「鈍いですね会長さん!つまりぃッ‼︎」
そこで、椅子の上に立ってウサイン・ボルトのポーズをした。
「あたしが生徒会長になるっ‼︎」
「美雨、帰っていいぞ」
退場させられた。
*
数日後。兄ちゃんと深雪があーちゃんさんを説得したようで(というより脅迫)、なんとか生徒会長は決まったようだ。