二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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交渉

 

 

 

 

「あーちゃんさーん!」

 

可愛い気配を感じたあたしは三秒で感知して後ろから突撃、抱き締めた。

 

「ひゃっ!だ、誰ですか⁉︎」

 

「グェッヘッヘッ、お嬢さん、俺といいことしようぜ」

 

「ひ、ひやぁぁぁ〜〜〜っっ‼︎‼︎は、離してくださぁ〜〜〜い!」

 

いや明らかに女の声でしょ……。なんで本気で怯えてるのこのヒト。すごく可愛い。

 

「なーんちゃって!あたしですよあーちゃんさん!」

 

「あっ、み、美雨さんでしたか……。脅かさないで下さいよぅ……」

 

涙目で頬を膨らませ、プンスカ怒るあーちゃんさん。可愛い。

 

「そんなことよりさ!次、生徒会長やらない⁉︎」

 

「嫌です」

 

「ままま、そう言わずに。ね?」

 

「いーやーでーすー!さては美雨さん、会長の回し者ですね⁉︎」

 

「そうだけど違うよ?あたしは常に自分が面白いように動くからねー」

 

「とにかく無理です。私に、生徒会長なんて大役……」

 

「いいじゃん!お得だよ生徒会長!可愛い女の子を生徒会メンバーに敷き詰めれば、自分のハー…レム、を………」

 

「? どうかしたんですか?」

 

あれ?ってことは、あたし……。

 

「ごめんあーちゃんさん!なんでもない!」

 

そのままあたしは生徒会室に引き返した。

 

 

 

 

「ねぇ達也くん」

 

真由美が心配そうな顔で達也に尋ねた。

 

「本当に美雨さんに任せて大丈夫なの?」

 

「問題ないでしょう。あいつはバカですが、頭がいい。交渉も上手ければ学校の勉強も出来る。言わば、夜神月や工藤新一と同じ部類のようなものです」

 

「………達也くんも漫画とか読むのね」

 

「美雨がよく買ってきますからね。興味があれば読みますよ。まぁ、とにかく任せておけば問題ないでしょう。帰ってくるまでここで……」

 

と、その時だ。バタンッ!と生徒会室の扉が開いた。

 

「ふえっ⁉︎な、なにっ⁉︎…………って、美雨さん。交渉は終わったの?」

 

「会長さん、あーちゃんさんよりいい人がいますよ!」

 

「本当に?どういうこと?」

 

「ですから、生徒会長に相応しい人がいるんです!」

 

「ほんとに?誰?」

 

問われて美雨は、ニカッと笑って勿体ぶった後、自分の胸を親指で刺した。

 

「…………は?」

 

「だからぁ……(←再び指を胸に刺す)」

 

「?」

 

「鈍いですね会長さん!つまりぃッ‼︎」

 

そこで、椅子の上に立ってウサイン・ボルトのポーズをした。

 

「あたしが生徒会長になるっ‼︎」

 

「美雨、帰っていいぞ」

 

退場させられた。

 

 

 

 

数日後。兄ちゃんと深雪があーちゃんさんを説得したようで(というより脅迫)、なんとか生徒会長は決まったようだ。

 

 

 

 





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