二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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あたしが休憩してる中、女子勢はボートに乗っていた。
「大丈夫か?美雨」
声をかけてきたのは兄ちゃんだ。
「大丈夫じゃないよ。六対一は卑怯だよ」
「悪かったよ」
「帰ったらパフェね」
「はいはい……」
よし、言質は取った。
「さて、じゃああたしはそろそろ参加しようかな」
「そうか。あまりはしゃぎ過ぎるなよ。事故に繋がるから」
「分かってるよ。ちょっとタイタニック起こしてくるだけだから」
「…………は?」
そう兄ちゃんが反応した時は遅かった。あたしはコンマ数秒の早業でボートの真下へ到着。そのまま地面に着地すると、あたしは思いっきり海の底を蹴り付け、上に向かってジャンプした。そのまま、ボートの底を思いっきり殴った。
「「「「「ッッ⁉︎」」」」」
悲鳴を挙げる間も無く、女子5人は空中に舞い上がった。そのままドッボーンッ!と降ってくる五人。
「ケホッケホッ……ちょっと、何………?」
最初に上がってきたエリカが声を上げる。が、すぐにほのかちゃんが泳げないことを思い出したのか、ボートに引き上げに行った。っと、見てる場合じゃないな。あたしはあたしの仕事をしないと。
海に潜り、雫ちゃんを探す。まだボートには辿り着いてないな。あたしら雫ちゃんの足を海の中から引っ張った。
「ケホッケホッ……。美雨!何するの……きゃあっ!」
海の中。あたしは雫ちゃんを引きずり込んだ後、触手のごとく手を雫ちゃんの水着の中に突っ込んだ。
「ガボッゴボッ!(ま、待って美雨!やめっ……!)」
だが、あたしはやめない。そのまま海の中でほぼ全裸の雫ちゃんをあんな事やこんな事やそんな事をした。
「ガバボッ……(この、いい加減に……)」
「そんなこと言ってぇ〜ここ、ぬるんぬるんだよ?」
「ゴババッ⁉︎(なんで海の中でそんなハッキリしゃべれるの⁉︎)」
と、百合百合してると、上からドボンと潜り込んでくる音がした。
「ん?何?」
上を向くあたし。つられて雫ちゃんも上を向いた。いたのは兄ちゃんだった。その瞬間、顔を真っ赤にする雫ちゃん。
「キャアァァァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎」
おかしいな。水の中なのにキーンとしたよ。
*
浜辺。あたしは雫ちゃんに全力で土下座している。
「ごめんなさい」
「嫌」
「うううっ………」
悪ノリが過ぎた結果がこれだ。
「違うんです。別に行きの船で置いてかれたからとか、さっき六対一でボコられた腹いせとかじゃないんです。雫ちゃんが可愛いからついやっちゃっただけなんです」
「知らないっ」
言いながら顔を背ける雫ちゃん。怒り方かわいいなぁ……なんて言ってる場合じゃない。本当にこれ嫌われかねない。だ、誰かフォローを……なんて思って周りを見るが、誰一人周りにいない。遊んでる。
「うううっ………」
ど、どうしよう……。まぁ確かに今回は本当に純度100%で私が悪い。久々に反省してると、雫ちゃんが言った。
「…………反省してる?」
「うん………」
「じ、じゃあ……このお泊りの間は、私の言うことなんでも聞くこと。それで許したげる」
なにそれなんてご褒美⁉︎
「うん!分かった!」
「じゃ、最初の命令」
言われてあたしは思わず背筋が伸びた。すると、雫ちゃんはあたしを指差して言った。
「とりあえず、一緒に遊ぼ?」
「……………うん!」
良かった……なんとかなった。