二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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ホールでは今頃パーティをしているだろう。あたしは部屋でゲーム。競技で頑張りすぎたのと足の具合が悪いので、後夜祭パーティには参加しなかった。
「はぁ〜〜〜………」
すると、メールがきた。兄ちゃんからだ。
『無理する必要はないが、雫と踊れるぞ』
無理する必要しかなかった。
*
下のホールに到着すると、なんかダンスパーティやってた。
「しーずーくーちゃーん!」
「美雨!」
抱き着くと、抱き返してくれた。やだこの子可愛い。もうこれ恋人になってもいいんじゃない?
「足、大丈夫なの?」
「へーきへーき!それより踊れるんでそ?踊ろう!」
「う、うん!でも、美雨はおどれるの?」
「ダンスダンスレボリューションの世界チャンピオンだからね!」
「え、いやあんな激しい踊りじゃなくて……」
「レッツゴー!」
そのまま無理矢理、周りが踊ってる中、あたしは雫ちゃんとブレイクダンスを決め込んだ。無理矢理。
すると、周りは散文的な拍手をする。「お、おお……」みたいな。
「じゃーん!」
「きゅう………」
最後まで綺麗に決めるあたしと、疲れと恥ずかしさで気絶する雫ちゃん。あースッキリした。気が付けば周りはドン引きしているがあたしは気にしない。
「あっ、花音ちゃーん!」
「げっ」
見つかった!とでも言いそうに反応する花音ちゃん。だが、あたしは御構い無しに花音ちゃんの元へ。
「おどろー!」
「い、いやいやいや!私はあんな激しいの無………」
「いいからいいから!」
そのまま花音ちゃんに突撃した時だ。カッチィーンとあたしは凍った。が、毎度ながら自力で脱出する。
「はぁー……芸がないなー深雪……」
「人に迷惑をかけないでといくら言ったら分かるの?バカなの?」
「迷惑じゃないよ!ね?花音ちゃん!」
「とんでもいい迷惑よ!」
と、キッパリ言われてしまった。
「………ごめんちょっと死んでくる」
「ま、待って待って!冗談だから!」
と、あたしは本当に死のうと出て行こうとした時だ。あたしの目の前にモノリスコードの時の一条さんが立ち塞がった。
「えうっ?」
「君は………?」
「司波美雨だよ。あなたは?」
知ってるけど聞き返した。一応、初対面の設定のはずだ。
「一条将輝です」
いや、聞いといてなんだけど知ってます。
「それで、何の用?」
「そ、その……もし、良かったら、一緒に踊ってくれない、ですか?」
「……………は?」
え、今なんて?思わず何を答えていいのか戸惑ってると、段々顔を赤らめる一条くん。すると、兄ちゃんがあたしの横に来た。
「美雨。踊ってもいいんじゃないか?」
「………え、ああ。うん……さっきの?」
「いや、普通にだ。だよな?」
「お……僕は、どちらでも……」
「わ、わかった。よろしくね、一条くん!」
笑顔を向けると、さらに顔を赤らめる一条くんだった。
まぁ、そんな一幕はともかく、九校戦はこれで幕を閉じた。