二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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踊る

 

 

 

 

ホールでは今頃パーティをしているだろう。あたしは部屋でゲーム。競技で頑張りすぎたのと足の具合が悪いので、後夜祭パーティには参加しなかった。

 

「はぁ〜〜〜………」

 

すると、メールがきた。兄ちゃんからだ。

 

『無理する必要はないが、雫と踊れるぞ』

 

無理する必要しかなかった。

 

 

 

 

下のホールに到着すると、なんかダンスパーティやってた。

 

「しーずーくーちゃーん!」

 

「美雨!」

 

抱き着くと、抱き返してくれた。やだこの子可愛い。もうこれ恋人になってもいいんじゃない?

 

「足、大丈夫なの?」

 

「へーきへーき!それより踊れるんでそ?踊ろう!」

 

「う、うん!でも、美雨はおどれるの?」

 

「ダンスダンスレボリューションの世界チャンピオンだからね!」

 

「え、いやあんな激しい踊りじゃなくて……」

 

「レッツゴー!」

 

そのまま無理矢理、周りが踊ってる中、あたしは雫ちゃんとブレイクダンスを決め込んだ。無理矢理。

すると、周りは散文的な拍手をする。「お、おお……」みたいな。

 

「じゃーん!」

 

「きゅう………」

 

最後まで綺麗に決めるあたしと、疲れと恥ずかしさで気絶する雫ちゃん。あースッキリした。気が付けば周りはドン引きしているがあたしは気にしない。

 

「あっ、花音ちゃーん!」

 

「げっ」

 

見つかった!とでも言いそうに反応する花音ちゃん。だが、あたしは御構い無しに花音ちゃんの元へ。

 

「おどろー!」

 

「い、いやいやいや!私はあんな激しいの無………」

 

「いいからいいから!」

 

そのまま花音ちゃんに突撃した時だ。カッチィーンとあたしは凍った。が、毎度ながら自力で脱出する。

 

「はぁー……芸がないなー深雪……」

 

「人に迷惑をかけないでといくら言ったら分かるの?バカなの?」

 

「迷惑じゃないよ!ね?花音ちゃん!」

 

「とんでもいい迷惑よ!」

 

と、キッパリ言われてしまった。

 

「………ごめんちょっと死んでくる」

 

「ま、待って待って!冗談だから!」

 

と、あたしは本当に死のうと出て行こうとした時だ。あたしの目の前にモノリスコードの時の一条さんが立ち塞がった。

 

「えうっ?」

 

「君は………?」

 

「司波美雨だよ。あなたは?」

 

知ってるけど聞き返した。一応、初対面の設定のはずだ。

 

「一条将輝です」

 

いや、聞いといてなんだけど知ってます。

 

「それで、何の用?」

 

「そ、その……もし、良かったら、一緒に踊ってくれない、ですか?」

 

「……………は?」

 

え、今なんて?思わず何を答えていいのか戸惑ってると、段々顔を赤らめる一条くん。すると、兄ちゃんがあたしの横に来た。

 

「美雨。踊ってもいいんじゃないか?」

 

「………え、ああ。うん……さっきの?」

 

「いや、普通にだ。だよな?」

 

「お……僕は、どちらでも……」

 

「わ、わかった。よろしくね、一条くん!」

 

笑顔を向けると、さらに顔を赤らめる一条くんだった。

まぁ、そんな一幕はともかく、九校戦はこれで幕を閉じた。

 

 

 

 





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