二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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一組目、二組目が帰ってきた。が、
「ヤバイ、ヤバいよ……」
「み、見ちゃった……呪われないよね……」
「やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい………」
「」←気絶。
と、こんな具合だ。
「ねぇ、これ行かなきゃダメなの……?」
深雪が四人に聞いた。心なしか涙目だ。だが、
「「「「当然」」」」
と、声を揃える四人。
「そ、そんな……。み、美雨は⁉︎行きたくないよね⁉︎」
「ほえ?なんで?超行きたいけど」
「あ、ああそうだったわね……あなたこういうの大好きだったわね……」
「さて、じゃあ行こう!」
「ち、ちょっと美雨〜」
そのまま出発した。
*
「ふんふふ〜ん♪………って、深雪。歩きにくいんだけどー」
「そ、そんなこと言ったって……」
「大丈夫だよー。なんも出ないって」
あたしだって本当はテンション低い。雫ちゃんとゆるゆりゆらゆら大事件起こせなかったんだから。でも深雪のためにわざわざテンション上げてあげてるのに………てかこれどっちが姉だか分かんないな。どーせなら全力で煽ってやろう。
「あっ」
「えっ⁉︎な、なにっ⁉︎」
「ケムシ」
「あ・な・た・ねぇっ‼︎」
「いや本当に毛虫」
「ほ、本当だ……」
やだこの姉可愛い。もっと苛めたくなってきた。
「ひゃっ……!」
「な、なにっ⁉︎」
あたしは恐る恐る森の奥を指差した。そこには白く光る何かがあった。
「えっ………?」
「なにっあれ……」
「か、看板………」
「へっ…………?」
そう、森の中の看板って、木によって形が変わって見えてお化けに見えるんだよなぁ……。実際は「スズメバチに注意」とか超現実味な事書いてある」
「あ、あなたねぇ!本当に………!」
「なんか…寒気がしない?」
「えうっ⁉︎」
「森の中って隙間風がすごいんだよなぁ……」
「このっ……!いい加減に……」
「あーっ!」
「な、何よ!」
「ネトゲのイベント、クリアしてねー!明日で終わりなのに!」
最後のはガチ。かと思ったら深雪からの反応がない。代わりに聞こえてきたのは「グスッ」としゃくり上げた声。
「ふえ?」
「うええ……」
「み、みゆき……?」
「酷いわ美雨……」
や、やり過ぎた!
「ご、ごごごめん深雪!お化けなんているわけないじゃん!今何世紀だと思ってるの⁉︎いたとしてもあたしがいるから大丈夫だよ!」
「グスッ……お化けのこと殴れるの?」
「余裕だね余裕!こう、いい感じに覇気使えれば殺せるんじゃないかな⁉︎」
「曖昧過ぎて役に立ちそうにないわよ……」
あ、あわわわっ……ど、どうしよう。このまんまじゃ兄ちゃんにぶっ殺される。なんとか、なんとかしないと……。
*
10分後、
「大丈夫?落ち着いた」
「ええ。後で覚えてなさい……」
「ま、まぁまぁいいじゃん。それより、姉妹2人で散歩なんて久々だね」
「………肝試しじゃないの?」
「肝試しなんて言い換えれば夜の散歩だよ。コンビニに行く感覚と変わらない」
「……それもそうね。そう考えるとやけに楽になったわ」
なんて話しながら今は引き返してる最中だ。
「ありがとうね」
「? 何が?」
唐突にお礼を言われ、思わず素っ気なく聞き返してしまった。が、深雪は特に気を悪くした様子もなく言った。
「九校戦よ。あなたのせいとはいえ、私の代わりにたくさん活躍してくれて」
「ううん。あたしはあたしで楽しかったし。ていうか、むしろごめん……。せっかく練習してただろうに……深雪の出番、無くしちゃって……」
シュンっと肩を落としてしまった。本当に申し訳ない限りである。
「ううん。最後のミラージバッドは出れたし、あなたも楽しかったようだし、いいのよ」
「うん………」
「ほら、気にしないの。来年があるんだから、ね?」
頭を撫でてくれる深雪。
「さて、じゃあそろそろ戻りましょうか。みんな待ってるだろうし」
「そだね。じゃあ、掴まって」
「へ?」
「飛んで帰るから」
「それは肝試しと言えるのかしら……まぁいいわ、行きましょう」
そのまま、あたし達は飛んで帰った。
あとから知った話だが、前の二組がかなりビビりながら帰ってきたのは、あたし達が行きに見た看板だったらしい。
なんか何がしたいのかよく分からない話になってしまった…。達也がナントカドラゴンズ潰しに行ってる時に何をしてたか描こうとして失敗しました。オリジナルなんてやるもんじゃねぇな。