二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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5日目。美雨とレオと幹比古の三人はフィールドに立った。が、美雨以外の二人の表情はよろしくない。理由は一つだ。今回の美雨の立てた作戦はこの一言だけだった。
『ケースバイケースで………バイケースで……ケースで…(←エコー)』
その様子を見ながら達也は何か第三者の介入がないか、目を光らせている。客席では、エリカ、美月、雫、ほのかに花音や啓も座っている。
「楽しみだね。っていうか深雪と美雨は?」
「さぁ……美雨ちゃんはどーせゲームだと思うけど……」
「っていうか、田中太郎なんて人、うちの学校にいたっけ?」
と、話している。ちなみに美雨は「田中太郎」という選手名で出場している。すると、モニターに三人が映った。メイクされているが、6人は一発で思った。
((((((田中太郎、明らかに美雨だ………))))))
速攻バレた。
「なにやってんのあいつ……」
「ていうか、七草さんや達也くんは許したの?」
「まぁ男子に見えなくもないけど……」
「深雪だったりしないよね」
「当たり前じゃん。あんなアホなことするの美雨以外にいる?」
と、五人が言う中、雫がつぶやいた。
「これで、結婚出来るかも……」
『えっ』
*
そのままモノリス・コード開始。ステージは密林で、相手は八高だ。
「おっしゃあ!行くぜ幹比古!」
「おう!デュフェンスは任せたよ美雨!」
「どーん」
美雨が思いっきり拳を振るうと、密林が吹き飛んだ。具体的に言うと、テマリが多由也倒した時みたいな。
「」
「」
『』
レオに幹比古だけじゃなく、敵含めて観客すらもが黙り込んだ。が、まったく気にすることなく美雨はレオと幹比古に言った。
「早く行きなよ。ほら敵あそこ」
「お、おう……」
少し早く機能したレオが走り出した。その後を幹比古が追う。すると、相手選手も魔法を発動してくる。が、それを美雨は拳圧で全てはたき落した。
「えっちょっ」
「待っ……ズルっ」
八高はなす術なく敗北した。そりゃそうだろうな。
*
「いやー!勝ったねレオ、ミッキー!」
あたしは2人に微笑みかけた。
「お、おう。そうだな。まったく勝った気しなかったけどな」
「すごいな、美雨は……。驚いたよ」
「違うよミッキー。今のあたしは田中太郎だよ」
「そ、そうだったね。太郎」
なんて話しながら三人でステージを出た。30分後には次の試合だから、そんなに時間があるわけでもない。だから、選手控え室にいる。すると、生徒会長さんが来た。
「あ、かいちょーさん。やっほー」
「あなたねぇ、もう少し抑えなさいよ」
「勝ったんだからいいじゃないですかー。それよりどうしたんです?まさか、おめでとうのチュー?」
「そんなわけないでしょ。いい?次の相手の二校のデータ渡しにきてあげたの。じゃあ頑張ってね」
「うん!それで、会長さん、お兄ちゃんは何か言ってませんでした?」
この質問の意図は、「第三者の情報は得た?」という意味だ。七草さんなら察してくれるだろうし、事実察してくれたようだ。
「ええ、おめでとう、とだけ」
収穫なし、か。
「分かりました。ありがとうございます!」
そのまま会長さんは去っていった。すると、レオがあたしにいった。
「お前ってさ」
「?」
「俺たちよりこの学校の中心人物との関わり多いよな」
…………確かに。
こんなチート野郎がいたら普通、取材が来るとか、他の学園が取材に来るとか、そもそも他校の奴の助っ人が認められるのかとか、登録選手以外の奴が出てるとか、そういう所は突っ込まないでください。