二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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会長さんの試合が終わり、次はほのかちゃんの競技だ。
「女子にはつらい競技だ。ほのか、体調管理は大丈夫か?」
「大丈夫です。達也さんにアドバイスしていただいてから体力トレーニングはずっと続けてきましたし、選手に選ばれてから睡眠も長めに取るようにしてますから」
「えっ……?お兄ちゃんがトレーニングしてあげてたの?」
「そうだよ美雨?」
「ズルイよ兄ちゃん!あたしだってトレーニング付き合うフリしてあのたわわなおっぱい揉みしだきたかったのに!」
「俺は見ていただけだ。身体には触っていない」
「口ではなんとでも言えるもん!スケベ!変態!筋肉お化け!粗チ……」
と、言いかけた所でピシィッとあたしは凍らされた。が、すぐに脱出。見ると、深雪がフリーザ様並みのオーラを放ちながらあたしを笑顔で睨んでいた。
「美雨?殺されたいの……?」
「ゲッ……クソブラコン……」
「さっき言いかけた言葉は聞き捨てならないわね。覚悟しなさい」
「は、はははっ……さらばっ!」
「逃がすもんですか!」
逃げるあたしと追ってくる氷。深雪は動いていない。……っと、その前にほのかちゃんに言わないと。
「ほのかちゃーんっ!」
呼ぶと、こっちを向くほのかちゃん。
「試合頑張ってねー!勝ったらチューしてあげる!」
「えうっ⁉︎」
そのままあたしは逃げた。
*
「コラ!待ちなさい!」
深雪がいつも兄ちゃんのトレーニングの時に使ってるあの謎の魔法みたいなので凍らせながら追ってくる。
「お兄様の侮辱は許さないと言ったはずよ!例えそれがナニだったとしても!」
「悪かったってばー!ていうかあたしに追い付くなんてトランザムでもしない限り無理だよ!」
「このっ……!スピードアップ!」
「遅い!一万年と二千年遅いよ深雪ー!そんなんじゃ一億と二千年後でも捕まえらんないよー!」
「このっ……あんまり調子に乗ると……!」
深雪がさらに別の魔法を掛けようとした時だ。バシャアッ‼︎と深雪に水が掛かった。
「きゃっ!」
「えうっ⁉︎」
え、なに。と、思ったらここは今やってる競技の真横だった。水飛沫が飛んできてしまったようだ。やべっ……どうしよっと、思ってたらギロッと深雪が睨んできた。
「みぃ〜うぅ〜〜っっ‼︎」
「ちょっ…!ごめんなさ……」
再び逃げようとした時だ。
「っくしゅん!」
「へ?」
深雪がくしゃみした。あー……直撃だったからなぁ……。あたしは上着を脱ぐと深雪にそっと被せた。
「あー…風邪引かないようにさ……」
「あ、ありがと……」
「ホテルなら着替えあるっしょ?戻りなよ、送るからさ」
「うん。ねぇ、美雨?」
「なに?」
「優しくしていれば許されると思わないことね」
……………ナゼばれた。この時のあたしは知らなかった。このいつものやり取りが、まさかとんでもないことに繋がるなんて。