二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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九校戦当日。あたしは雫ちゃんに誘われて生徒会長さんの応援へ。と、言ってもルールわかんないので見てても、「すげー」みたいな博物館にいる学生のような反応しかできない。
「予選では、大破壊力を以て複数の標的を一気に破壊するという戦術も可能だが、準々決勝は精密な照準が要求されるというわけだ。従って普通なら、予選と決勝トーナメントで使用魔法を変えてくるところだが……」
「七草会長は予選も決勝も同じ戦い方をすることで有名ね」
「エリカ」
「はい、達也くん」
「よっ」
「おはよう」
「おはようございます、達也さん、深雪さん、ほのかさん、雫さん、美雨さん」
と、エリカ、レオ、ミッキー、美月と兄ちゃんが挨拶する中、今の兄ちゃんの台詞で大体ルールは掴めた。つまり、空中に出る的を射撃するってことね。なんかど地味な競技だな……とは言えない。
「もっと前の方が空いてたんじゃないか?」
「達也くんたちの姿が見えたから。それにこの競技は離れたところから見ないとわからないでしょ」
「まあな」
「バカな男どもが多いせいね」
「青少年だけではないようだがな」
「お姉さま〜ってやつ?ホント嘆かわしいったら」
「そう言うな。確かにあれは、近くで見る価値があるかもしれん。毎日のように顔を合わせていた俺でも、別人だと思ってしまうくらいだからな」
「うわっ!深雪、どうする?浮気よ、ウワキ」
エリカってほんと頭悪そうな事しか言わないな……。
「エルフィン・スナイパー、ですか。ピッタリのニックネームですね。
「本人は嫌っているようだから会長の前では言わないほうがいいぞ」
「会長さんをネタに同人誌を作ってる人たちもいますしね……」
「あ、それあたし知ってる!雫×ほのかを描き始めたのもそれを聞いたからなんだ!」
「「「美雨?今なんて言った?」」」
雫ちゃん、ほのかちゃん、そして深雪までもが声をそろえてあたしを睨んだ。
「あっやべっ……」
「それ、後で提出しなさい?」
「美雨ちゃん…流石にそれは……」
「雫×美雨のも描いてくれないと許さない」
うわあー……相当お怒りだ……あと最後の雫ちゃん?ちょっとあたしのこと好き過ぎない?
「ていうか美雨。あんたそんなもん描けるほど絵、上手いの?」
エリカに聞かれた。その問には兄ちゃんが答える。
「美雨は絵、上手いぞ。コンクールに出せば毎回賞をもらってくる」
「ええ〜……もうほんと完璧超人……」
「始まるぞ」
兄ちゃんの声で全員が注目する。すると試合が始まった。…………ふーん、会長さんすごいね。3秒に1発でしかも必中と来たもんだ。気持ち悪い。
「いいなぁ……あたしもやってみたいなー」
「魔法が使えるようになってから言え」
お兄ちゃん冷たいよぅ……。