二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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九校戦当日。あたしはバスの中で待機している。なんか兄ちゃんは外で残りの1人を待っているようだ。しかし、周りはみんな一高生ばかり。気まずいなー。隣?もちろん、雫ちゃん。
「っはぁ〜九校戦かぁ〜。どんなことするんだろう」
「……知らないの?」
「うん。今までくその興味もなかったから」
「酷い言いようだね……まぁいいや。軽く説明するね」
「ううん、いらない。雫ちゃんが出る競技だけ知りたい」
「美雨………」
「雫ちゃん♪」
そのままキスでもしてやろうと顔を近づけた時だ。
「お待たせ〜」
生徒会長が入ってきて、あたしたちの動きは止まった。危なかった。ついうっかり接吻するとこだった。あたしがホッとしていると、横から雫ちゃんが小声で言った。
「ま、また後で……ね?」
鼻血が出た。あたしもう死んでもいい。
*
バスが出発して数分。九校戦が楽しみなのか、どの生徒も浮き足立っている。そんな中、あたしは雫ちゃんに背中をさすってもらっていた。
「は、吐きそう……」
「もう……バスの中でゲームなんてするからだよ」
「やばっ……ごめっ……でも、雫ちゃんをあたしのゲロまみれに出来るなら本望……」
「ぶっ叩くよ?それにそしたら私だって……もどしちゃうよ……」
「雫ちゃんのゲロはゲロじゃないよ!それはもはや国宝だよ!」
「それはそれで嫌なんだけど……」
「って、やばっ……で、出る……」
「や、やめて!バスの中はやめて!ていうか私の隣はやめて!」
と、その時だ。
「危ない!」
誰かの叫び声がして、外を見ると車が突っ込んできていた。すると、バスまでもがブレーキを踏んで回転し始める。ば、バッカ……!そんな、回転すると……!これ、ヤバイ………。
「吹っ飛べ!」
「消えろ!」
「止まって!」
誰かが魔法をかけようとしたのか、そんな声がした。それとあたしの吐き気が確かになるのが同時だった。
「バカ、止め……」
その瞬間、あたしは窓から飛び出した。そのまま外に向かって走り込んだ。
「あれは…深雪さん⁉︎」
「てかなんで私服⁉︎」
「私じゃありません!」
なんて声が上がる中、あたしは無視して目の前にあった車を蹴っ飛ばした。
「邪魔ッ!」
空中でフル回転しながら車は飛んでいき、そのまま爆発した。
「おお!」
「深雪さんスゲェ!」
「だから私じゃないです!」
と、歓声が上がる中、あたしの我慢の限界が来た。
「おえええええええ……………」
そのままぶち撒けた。まぁ、あれだ。雫ちゃんに掛からなかっただけマシとしよう。