二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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バス酔い

 

 

 

九校戦当日。あたしはバスの中で待機している。なんか兄ちゃんは外で残りの1人を待っているようだ。しかし、周りはみんな一高生ばかり。気まずいなー。隣?もちろん、雫ちゃん。

 

「っはぁ〜九校戦かぁ〜。どんなことするんだろう」

 

「……知らないの?」

 

「うん。今までくその興味もなかったから」

 

「酷い言いようだね……まぁいいや。軽く説明するね」

 

「ううん、いらない。雫ちゃんが出る競技だけ知りたい」

 

「美雨………」

 

「雫ちゃん♪」

 

そのままキスでもしてやろうと顔を近づけた時だ。

 

「お待たせ〜」

 

生徒会長が入ってきて、あたしたちの動きは止まった。危なかった。ついうっかり接吻するとこだった。あたしがホッとしていると、横から雫ちゃんが小声で言った。

 

「ま、また後で……ね?」

 

鼻血が出た。あたしもう死んでもいい。

 

 

 

 

バスが出発して数分。九校戦が楽しみなのか、どの生徒も浮き足立っている。そんな中、あたしは雫ちゃんに背中をさすってもらっていた。

 

「は、吐きそう……」

 

「もう……バスの中でゲームなんてするからだよ」

 

「やばっ……ごめっ……でも、雫ちゃんをあたしのゲロまみれに出来るなら本望……」

 

「ぶっ叩くよ?それにそしたら私だって……もどしちゃうよ……」

 

「雫ちゃんのゲロはゲロじゃないよ!それはもはや国宝だよ!」

 

「それはそれで嫌なんだけど……」

 

「って、やばっ……で、出る……」

 

「や、やめて!バスの中はやめて!ていうか私の隣はやめて!」

 

と、その時だ。

 

「危ない!」

 

誰かの叫び声がして、外を見ると車が突っ込んできていた。すると、バスまでもがブレーキを踏んで回転し始める。ば、バッカ……!そんな、回転すると……!これ、ヤバイ………。

 

「吹っ飛べ!」

 

「消えろ!」

 

「止まって!」

 

誰かが魔法をかけようとしたのか、そんな声がした。それとあたしの吐き気が確かになるのが同時だった。

 

「バカ、止め……」

 

その瞬間、あたしは窓から飛び出した。そのまま外に向かって走り込んだ。

 

「あれは…深雪さん⁉︎」

 

「てかなんで私服⁉︎」

 

「私じゃありません!」

 

なんて声が上がる中、あたしは無視して目の前にあった車を蹴っ飛ばした。

 

「邪魔ッ!」

 

空中でフル回転しながら車は飛んでいき、そのまま爆発した。

 

「おお!」

 

「深雪さんスゲェ!」

 

「だから私じゃないです!」

 

と、歓声が上がる中、あたしの我慢の限界が来た。

 

「おえええええええ……………」

 

そのままぶち撒けた。まぁ、あれだ。雫ちゃんに掛からなかっただけマシとしよう。

 

 

 

 

 

 





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