二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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飛行

 

 

 

 

「と、いうわけで九校戦に連れてってください」

 

「それなんだがな美雨。結論から言うと構わないぞ」

 

「へっ?」

 

「実はな、俺と深雪も行くことになったんだが、お前を一人この家に置いて行くわけにはいかないだろ。家壊れるし。だから、一緒に行くことになった」

 

「……………へ?」

 

「七草先輩も渡辺先輩も賛成してくれた。後でお礼言っとけよ」

 

「あ、うん……」

 

なんかあっさりし過ぎて拍子抜けだなあ……なんて兄ちゃんの部屋で話してると、ドアの開く音がした。

 

「お兄様、美雨。お茶が入りました」

 

「ありがとう。深雪」

 

「よくやったね深雪くん。ついでにケーキを買ってきたまえ………ってか、何その衣装。可愛い、雫ちゃんが着たら」

 

深雪の格好はなんかふわふわポワポワした頭の悪そうな格好。

 

「ああ、もしかして、フェアリー・ダンスのコスチュームか?」

 

「何それ?」

 

「正解です。よく分かりましたね、お兄様。如何ですか?」

 

と、聞く深雪。

 

「とても可愛いよ。本当によく似合っている。それに、ジャストタイミングだ」

 

「ありがとうございます……?」

 

「深雪にもこのデバイスのテストをして欲しかったんだ」

 

「……飛行術式……常駐型重力制御魔法が完成したんですね!おめでとうございます、お兄様!お兄様はまたしても、不可能を可能にされました!わたしはこの歴史的快挙の証人になれたことを、その快挙を成し遂げたお兄様の妹であることを、誇りに思います!」

 

「ありがとう、深雪。空を飛ぶこと自体が目的ではなかったし?古式魔法では既に実現している飛行術式だが、これでまた一歩、目標に近づくことが出来たよ」

 

「古式魔法の飛行術式など、少数の魔法師にしか使えない、属人的な異能ではありませんか。お兄様の飛行術式は、理論的に必要な魔法力を充していれば、誰にでも使えるものなのでしょう?」

 

「一応そういう風に作ったつもりだ。それを深雪ににもテストして欲しいんだが」

 

「喜んで!」

 

…………なんの話をしてんだこいつら。

 

 

 

 

「つまり、飛べるってこと?」

 

「ああ。準備はいいか深雪?」

 

「はい。始めます」

 

すると、飛び始めた。おお、本当に飛んでる。

 

「どうだ深雪?起動式の連続処理が負担になっていないか?」

 

「大丈夫です。頭痛も倦怠感もありません」

 

「良かった。じゃあ次は、ゆっくり水平移動してみてくれ。慣れてきたら徐々にスピードを上げて思うように飛んでみてくれないか」

 

「わかりました」

 

すると、言われた通りに飛ぶ深雪。

 

「へぇーいーなー。まぁあたしも飛べるけどね」

 

「は?飛べるのか?」

 

「うんっ」

 

言うと、あたしは軽くジャンプした。そして、足をバタ足。すると、浮いている。

 

「ふんぬおおおおおおおッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

「………確かに飛んでるな。…………飛べるんだ」

 

なんか呆れられた気がする。

 

 

 

 





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