二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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立て篭り

 

 

 

 

 

学校。だが、あたしの学校ではない。一高の放送室だ。そこで、あたしはまるでラスボスのように椅子に踏ん反り返っていた。

 

「じゃ、始めるよ」

 

あたしがそう言うと、男子生徒がマイクに向かって叫んだ。

 

『全校生徒の皆さん!』

 

「声が大きいよ!ヤル気あるのあんた⁉︎」

 

『失礼いたしました。全校生徒の皆さん!』

 

あたしは、壬生さんのお手伝いをしている。理由は、まぁいいじゃん。

 

『僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です。僕たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します』

 

その後に、グダグダとなんか訳のわからない公約を述べている中、あたしは欠伸する。

 

「ふわあぁぁ……。壬生さん、分かってますね?」

 

「うんっ」

 

すると、あたしの予想通り電話が掛かってきた。壬生さんの携帯に兄ちゃんから。

 

「スピーカーにして出て下さい」

 

「………うん」

 

ピッと音を立てて、電話に出る壬生さん。

 

『壬生先輩ですか?司波です』

 

「もしもし、どうしたの?」

 

『今どちらに?』

 

すると、チラッとこっちを見る壬生さん。

 

「正直に答えても大丈夫です」

 

ここで放送室以外と答えれば、学校内なら探されるかもしれないし、家に帰ったと言えば、自宅に電話されるかもしれない。ここで嘘をつくと、後々の交渉でこちらの信憑性が下がる恐れもあるし、正直に答えたほうが得策だろう。

 

『はぁ、放送室にいるんですか。それは……お気の毒てわす』

 

「ば、馬鹿にしてるの⁉︎」

 

「壬生さん、冷静さを欠いてはダメです。あくまでこちらが優位に尚且つ冷静に話してください」

 

「わ、分かったわ」

 

『………そちらに誰かいるんですか?』

 

チラッとこっちを見る壬生さん。

 

「それだけは言わないでお願いなんでもします土下座でもなんでもだから言わないで」

 

「だ、誰もいないわよ?」

 

『なら、いいのですが……。特に、他校の癖にこちらの問題に首を突っ込む風紀委員のメンバーの妹で変態ロリコンゲーマーはいませんよね?』

 

「い、いないいないいない!絶ッッッ対いないったら!」

 

『わかりました。ならいいです。家で覚えてろと伝えてください』

 

「バレてんじゃん……」

 

小声で呆れる壬生さん。あー…あたし死んだわ。

 

『それで、本題に入りたいんですが』

 

またまたチロッとこっちを見る壬生さん。

 

「おー!上等だよ!バレてんだったら怖くねぇ!壬生さん応じてください!」

 

「わ、分かった……なんか、ごめんね」

 

『十文字会頭は交渉に応じると仰っています。生徒会の意向は未確認ですが……いえ、生徒会長も同様です。と、いうことで、交渉の場所やら日程やら形態やらについて打合せしたいんですが』

 

「日時を聞いてください」

 

『今すぐです。学校側の横槍が入らないうちに』

 

「罠の可能性があります。慎重に言葉を選びながら聞いてください」

 

『いえ、先輩の自由は保証します。我々は警察ではないんで、牢屋に閉じ込めるような権限はありませんよ』

 

「そ、それなら……」

 

「待ってください壬生さん。今のは壬生さんの自由しか保障されていません」

 

「えっ?………あっ」

 

流石兄ちゃん、やり口がセコい。学校側の横槍の件にしても、こちらの結論を急かさせ、疎かにするためだろう。言ってることは正しいしね。

 

「ここにいる全員の自由を保障させてください。特に他校の癖にこちらの問題に首を突っ込む風紀委員のメンバーの妹で変態ロリコンゲーマーの安全と自由をお願いさせてください」

 

『他校の癖にこちらの問題に首を突っ込む風紀委員のメンバーの妹で変態ロリコンゲーマーの安全は保障しかねますが、分かりました。それ以外の安全は保障しましょう』

 

「………どうする?美雨ちゃん」

 

「もうどうでもいい……」

 

「ええ〜…………」

 

あたしが何も言わなかったからか、しばらく沈黙。すると、声がした。

 

『美雨に代わってください』

 

「えっ?」

 

「えっ」

 

『ていうか、代わらないと抹殺すると深雪が言っています』

 

「だってよ美雨ちゃん」

 

「是非とも代わらせて頂きます……」

 

で、携帯を受け取った。

 

「……もしもし」

 

『どういうつもりだ?』

 

「や、それは……」

 

『質問を変えれば、何があった?』

 

「えっ……?」

 

『意味もなくお前がそっちに加勢するか?』

 

「…………言わなきゃ、ダメ?」

 

『晩飯抜きでいいなら言わなくても』

 

「言う言う!言うから!」

 

「ええっ⁉︎それは言っちゃダメでしょ美雨ちゃん!それ私の尊厳が……」

 

『どうしたんだ?何があった?』

 

「壬生さんがオッパイ触らせてくれるって言うから!」

 

『………はっ?』

 

世界が、静止した。と、思った瞬間、壬生さんがあたしの胸ぐらを掴む。

 

「なっなっ、なんでこんな大勢の前で言うのよーっ!」

 

「っるせー!もうお前らの自治運動とか言ってる場合じゃないんだよ!あたしの命が助かるので精一杯なんだよ!」

 

「それとあたしとの契約を暴露するのにどんな関係があるっていうのよー!」

 

「うるせー!うるせー!うるせー!もう知るかー!あたしは関係ないもんね!こうなったら一人で逃げ切ってやる!」

 

すると、他のメンバーが立ち上がった。

 

「おい待て!自分だけ助かる気か⁉︎」

 

「お前が完璧な計画だとか言うからのったんだろうが!」

 

「どこまで無責任な協力者だよあんた!」

 

「知らないもん!そもそもここはあたしの学校じゃないしー!」

 

「言ってることメチャクチャだぞてめぇ!」

 

「お前も道連れにしてやるーっ!」

 

そのままバトルロワイヤル開催。

 

 

 

 

「………なんか、放送室から凄い音がするぞ」

 

摩利が声を上げた。

 

「ほっときましょう」

 

「というか、妹さんは大丈夫なのか?」

 

十文字も言った。

 

「平気ですよ。どーせ……」

 

すると、放送室のドアが開いた。中から勝者のポーズをしながら美雨が出てきた。

 

 

その後、なんとか学校には許してもらったが、兄ちゃんと深雪には許されず、家でかなり怒られた。

 

 

 

 

 





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