二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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デート

 

 

 

 

翌日の放課後。

 

「しぃーずぅーくぅーちゃぁーんっ‼︎」

 

あたしは突撃した。

 

「ひゃっ!………もう、美雨。どうしたの?」

 

「兄ちゃんから雫ちゃんが寂しがってたって聞いていてもたってもいられず……ごめんね!これからは極力どころか四六時中お風呂お手洗い睡眠すべての時間で一緒にいてあげるからね!」

 

「それは、いや」

 

「そのハッキリとした拒絶がまたステキ!」

 

「とにかく、ここじゃ目立つ。カフェ、行こ?」

 

「雫ちゃんからデートのお誘い!あたしもう死んでもいい!」

 

「本当にやめて。目立ってる。周りの視線が痛い」

 

そのままカフェへ向かった。二人で学内カフェに入り、席に着いた。

 

「チョコレートパフェで!」

 

「コーヒーで」

 

そのまま店員さんは言われるがまま厨房へ。厨房なのかなカフェの場合って。まぁなんでもいいや。と、思ったらすぐ持ってきた早いな。

 

「ごゆっくり」

 

「しっかし、いいなぁー学内にカフェがあって」

 

「美雨の学校にはないの?」

 

「ないのが普通だよ高校なんて。いいとこ購買と食堂だもん。そもそも、この広さがまず普通じゃないよ。大学並みだもん」

 

「それはそうだと思うよ。うちは元々エリートの通う高校だから」

 

「………その自慢ムカつく」

 

「自慢じゃないよ。事実だもん」

 

「あたしだって普通科の成績は普通にいいんだからね!うちの高校の入試トップだもん!」

 

すると、カラーん……と、雫ちゃんがスプーンを落とした。コーヒーにガムシロとミルクを混ぜていたスプーンが落ちたのだ。何事かと思い、パフェから顔を上げて雫ちゃんの顔を見ると、驚愕の表情をしていた。目は見開かれ、口は半開きになり、若干小刻みに震えていた。

 

「……嘘………………」

 

「どういう意味っ⁉︎」

 

「美雨ってそんなに頭良いの……?」

 

「クイズゲーのために色々勉強したからねー」

 

「問題。ガリレオ衛星を4つ答えよ」

 

「そんなのかんたーん。イオ、エウロパ、カリスト、ガニメデ」

 

「あり得ない………」

 

「だからどういう意味よー!」

 

言いながらあたしは雫ちゃんの頭をグリグリする。そのままキャッキャッとじゃれ合ってると、カランカランとどっかで見たことある嫁二号が入って来た。

 

「剣道部の、主将さん?だっけ……」

 

その人は、パタパタした足取りで、「ごめん!待ったでしょう?」と、店の奥の席へ。そこには、兄ちゃんが待っていた。

 

「大丈夫です。連絡をもらってましたから」

 

「ぶふっ!」

 

え?何?デート?思わず吹き出しちゃったんだけど。

 

「どしたの美雨?」

 

「雫ちゃん、あれ見て」

 

「達也さんと……剣道部の、主将さん?」

 

「嘘……兄ちゃんが…あのクソシスコンの兄ちゃんが妹以外とデートなんて……」

 

「美雨もお兄ちゃん以外とデートしてるじゃん」

 

「えっ?」

 

言われて振り向くと、雫ちゃんが顔を赤くしている。

 

「デートだと思ってくれてるの⁉︎結婚しよう!」

 

「声が大きい」

 

「照れなくてもいいのにー!」

 

「……帰るよ?」

 

「ごめんなさい」

 

そのまま二人で観察。

 

「そう、よかった……。怒って帰ってたらどうしようかと思っちゃった」

 

それはないよ兄ちゃんに限って。と、思ったら兄ちゃんは首を傾げる。

 

「どうしたの?」

 

「大したことじゃありません。先輩が時々「可愛らしい女の子』になるので、剣を握っている時とのギャップを感じたんですよ」

 

「ぶっは!」

 

「やだ……もう、からかわないでよ」

 

だめ……笑いが止まらない……。誰あれ、お兄ちゃんに似てるけど誰?双子って兄貴もだったっけ?と、思ったら雫ちゃんに肩をトントンと叩かれた。

 

「どしたの?」

 

無言で携帯を見せてくる。そこには、

 

『件名:美雨に伝えてくれ

本文:家に帰ったら覚えてろ。』

 

やだ気付かれてた……。

 

「すみません」

 

兄ちゃんが笑いながら謝罪。

 

「もう、司波くんって、本性はナンパ師なの?」

 

「魔法師ではありませんね、今のところは、まだ」

 

何言ってんのあの人。ダメ…笑が止まらない。と、思ったらこっちを見た。あっやべっ、とうとう呼ばれるのか?と、思ったら違う人物の名前が上がった。

 

「渡辺先輩……」

 

「やあ、達也くん」

 

「サボりじゃありませんよ」

 

「別に、委員長として注意しに来たわけじゃないさ。通りがかったのは単なる偶然だ。邪魔する形になってしまって悪かったな。壬生もすまなかった」

 

「いえ、そんなことは……」

 

ほんとだよあのショートヘア。邪魔だよ観察の。しかし、あの主将さんは壬生さんというのか、覚えた。すると、あたしの脇腹にドスッと突きが入った。見ると、拗ねた様子の雫ちゃんがこっちを睨んでる。

 

「今、鼻の下、伸びてた」

 

「そ、そんな事ないよ〜」

 

「ヨダレ垂れてる」

 

「汗だよ」

 

「目元がニヤついてる」

 

「ゴミが入った」

 

「写真構えてる」

 

「あれ?気がついたら勝手に……」

 

「怒るよ?」

 

「ごめんなさい」

 

なんてやってる間に、話は本題に入ったようだ。

 

「一昨日の話なんだけど……最初は、学校側にあたしたちの考えを伝えるだけで、良いと思ってた。でも、やっぱりそれだけじゃダメだってわかった。あたしたちは、学校側に待遇改善を要求したいと思う」

 

「改善というと、具体的に何を改めて欲しいんですか?」

 

「それは……あたしたちの待遇全般よ」

 

「全般と言うと、例えば授業ですか?」

 

「……それもあるわ」

 

「一科とニ科の共な違いは指導教員の有無ですが、そうすると先輩は、学校に対して教師の増員を求めているのですか?」

 

「そこまで言うつもりは無いけど……」

 

……あの人なんも考えてないだけじゃね。

 

「では、クラブ活動ですか?剣道部には、剣術部と同じペースで体育館が割当てられているはずですが。それとも予算の問題ですか?確かに魔法競技系クラブにはそうでないクラブに比べて予算が多く割当てられていますが、活動実績に応じた予算配分は普通科高校でも珍しくないと思いますが」

 

「それは、そうかもしれないけど……。じゃあ司波くんは不満じゃないの?魔法実技以外は、魔法理論も、一般科目も、体力測定も、実践の腕も、全ての面で一科生を上回ってるのに、ただ実技の成績が悪いというだけで、ウィードなんて見下されて、少しも悔しくないの?」

 

「不満ですよ、もちろん」

 

「じゃあ!」

 

「はい、落ち着いてー」

 

気が付けばあたしは二人の間に入っていた。

 

「美雨?」

 

「この前のヘンタイちゃん?」

 

このままじゃヒートアップしかねない。慌ててあたしの横に雫ちゃんが来る。

 

「とりあえず、壬生さん。おっぱい触らせてくだぱい」

 

殴られた。雫ちゃんに。鼻血を垂らしながら取り繕った。

 

「と、いう冗談は置いといて、とりあえず落ち着いて。壬生さんおっぱいさわさわしたいの言い分も間違ってないけど、それが承知でこの学園に入学したんでしょ?」

 

「………っ」

 

「それに、壬生さんの×××なめなめして絶頂させたいだってそれに、あたしみたいに試験に落ちてる奴だっているんだし、むしろ入学出来た時点で良かった方だと思うよ?」

 

「次変な呼び方したらぶった斬るからね」

 

「兄ちゃんも、学生で何か運動を起こそうとするのなんて、どーせ『革命起こそうとしてる俺カッコイイ』の連中ばかりなんだから、そんな真面目に返さなくてもいいんじゃないの?」

 

「……………」

 

「はい、というわけで解散。お疲れ様でした!」

 

無理矢理帰らせようとした。が、

 

「バカ美雨」

 

「雫ちゃん?なんで拗ねてるの?」

 

「私でそんなストレートに妄想漏らすことなんてなかった」

 

「………そういう妄想、されたいの?寝る前に毎日オカズにしてるけど」

 

すると、カァァッと、赤くなる雫ちゃん。

 

「っもう!バカ!知らない!」

 

「あ!待ってよー!」

 

なんか締まらないな。なんだこれ。

 

 

 

 





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