二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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翌日。寝坊した。枕元に深雪の書き置き。
『たまには痛い目を見なさい』
「この人でなし………」
すでに遅刻は確定している。こんな所で慌てても仕方ない。むしろ遅刻するのなら、どんなに遅刻しようと余り変化はない。だから、家でゲームした後、のんびり着替える。スカートとブラウスの代わりはあるが、ブレザーは昨日の破れた一騒動でない。仕方ないのでセーターで誤魔化すことにした。
「行ってきまーす」
出発してしばらく、一高の制服を着た男を見かけた。こんな時間にこんな所で彷徨いていたら間違いなく遅刻は確定だ。なのに、何食わぬ顔で何処かへ向かう。むしろ若干、コソコソしてるようにも見えた。明らかに怪しい。兄ちゃんに報告すべきか迷ったが、もう今頃学校に着いているだろうし、邪魔するわけにはいかない。
「少し、尾行してみよっか」
あとをつける。しばらく尾行していると、急に走り出した。気付かれたか。あたしは電柱の上に跳び上がり、さっきの奴を見付ける。………あの廃工場か。それだけ分かれば十分かな。あたしは電柱から降りると、学校に向かった。
*
その日の放課後。帰宅中、あたしの雫ちゃんセンサーが反応した。レーダー(目)を駆使し、全力で雫ちゃんを探す。とりあえずまた電柱の上に乗った。
「………見つけた」
距離48.293m。目標への曲がり角2つ。弊害物、目標の周りに3つ。…………まだいるんだ。DQNっていうの。あの野郎、あたしの雫ちゃんに手を出そうなんていい度胸してやがる。全員八つ裂きにしてやる。そのまま両手で四角形を作り、目標を捉える。
「目標と弊害物の距離、67.3cm」
その程度なら問題ない。あたしは電柱の上からジャンプし、弊害物の1人の腰にドロップキックした。その瞬間、その場から消えてそいつは壁に頭からめり込んだ。
「んなっ……⁉︎」
「なんだてめぇ!」
「だーってろカス」
そのまま瞬殺した。
「これが、結束の力だ」
決まった。決め台詞まで完璧。
「美雨?」
「大丈夫かい、愛しのベイビー」
「何言ってんの?まぁ、ありがと……」
「はうう……少しだけ怖かったよぅ……」
あたしに抱き付いてくるのはほのかちゃんだ。
「よしよし、大丈夫だよ。あたしがいる限り、ほのかちゃんは傷付けさせないし、仮に傷付けられたらそいつはマントルまで減り込ませるから」
「後半いらないよぅそれ……」
なんてやってると、あたしの左腕に雫ちゃんが飛び付いてきた。
「わ、私も少し、怖かった……」
「雫ちゃんがデレたー!お持ち帰りしたい!」
「…………やっぱ全然怖くない」
「ほれほれー素直になりなよー。ほのかちゃんが羨ましかったんでそー?」
「そ、そんな事ないっ」
「じゃあ離れてよー」
「うっ……ほ、ほんの少しだけ……」
「素直な雫ちゃん可愛い!結婚しよう!」
「それは無理」
なんてやり取りをしながらあたしはさっきぶっ飛ばしたDQNの方を見た。工場の作業服……。今朝の奴と関係ありそうかな。