二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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剣技

 

 

 

 

「なるほどな。つまり、お前は魔法っぽいことしてるのが見えたから首を突っ込んだと?」

 

「く、首を突っ込んだなんてやだなー兄ちゃん。ただ危ない真似される前に……」

 

「馬鹿者」

 

頭をチョップされた。

 

「痛ッ!な、なんで……⁉︎」

 

「お前は魔法が使えないんだ。余り俺を心配させるようなことはするな」

 

「やだよー兄ちゃん。あたしがそこらの魔法師に負けると思ってる?」

 

「念のためだ。俺は、お前と深雪に何かあったら、何をしでかすか分からない」

 

「………それもそうだねー。ごめんね」

 

「説教は終わりだ。七草先輩に許可をもらったんだろう?なら、好きに回るといい」

 

「うん!ありがとー!でもせっかくだから兄ちゃんも回ろうよ」

 

「ふふっ、仕方ないな」

 

そんなあたし達のやり取りを見ながらエリカが呟いた。

 

「…………やっぱシスコンね」

 

「いやあ、美雨ちゃんも大概ブラコンですよ?」

 

「……バカ美雨」

 

「やきもち焼かないで雫ちゃん!」

 

「うるさい」

 

抱き着こうとすると、お断りされた。

 

「まぁとにかく、みんなで回ろうみんなで」

 

あたしがそう言うと、エリカが手を挙げた。

 

「じゃああたし剣道部見に行きたい」

 

「獅子歌歌!」

 

「? 何?」

 

「なんでもない。じゃ、行こっか」

 

で、第二小体育館。観戦エリアから見学する。

 

「うはぁー!本当に剣道やってる!なんかビシバシいってる!ねぇ三千世界はまだ⁉︎」

 

「そんなもんいつまで待っても永遠に来ないわよ」

 

エリカの冷静なつっこみ。

 

「でも迫力はすごいですねぇ〜」

 

「そうね。これで女性なのだから尚更」

 

と、ほのかちゃんと雫ちゃんが言う。

 

「………にしても、アレだね。どうして本気で斬り合わないのかね」

 

「よく分かったね」

 

あたしが呟くと、エリカに言われる。

 

「見れば分かるでしょ?でも部活見学生対象なら妥当だと思うけど」

 

「うーん……まぁね。でも、経験者としては本気の試合を見たかったかなぁーって」

 

「ま、お気に召さなかったのなら、もういいんじゃないか?」

 

兄ちゃんが言うと、それもそうだよね、みたいな空気になり、五人は後にしようとした。だが、それが止まった。言い争いが聞こえたからだ。

 

「………何?」

 

見ると、セミロングのストレートの黒髪の女の人と、なんか素行は悪いけど実はいい奴みたいな顔した男の人が言い争いしていた。ていうかあの女の人超可愛い。

 

「兄ちゃん」

 

「いや、いい。あの程度では風紀委員が介入する必要は……」

 

「あの女の人可愛い……嫁にしたい」

 

「お前は本当に見境ないな……」

 

呆れる兄ちゃん。あ、雫ちゃんがまた怒ってる。膨れっ面可愛い結婚したい。そんなやり取りとは別に、向こうでは言い争いが続く。

 

「剣術部の順番まで、まだ一時間以上あるわよ、桐原くん!どうしてそれまで待てないのっ?」

 

「心外だな、壬生。あんな未熟者相手じゃ、新入生に剣道部随一の腕前が披露出来ないだろうから、協力してやろうって言ってんだぜ?」

 

「無理矢理勝負を吹っ掛けておいて!貴方が先輩相手に振るった暴力が風紀委員にバレたら、あなた一人の問題じゃ済まないわよ」

 

「暴力だって?おいおい壬生、人聞きの悪いこと言うなよ。防具の上から面を打っただけだぜ、俺は。仮にも剣道部のレギュラーが、その程度のことで泡を噴くなよ。しかも先に手を出してきたのはそっちじゃないか」

 

「桐原くんが挑発してきたからじゃない!」

 

と、口論になる。

 

「面白いことになってきたね。さっきの茶番よりずっと面白そうな対戦だわ、こりゃ」

 

「あの二人を知っているのか?」

 

「直接の面識はないけどね」

 

と、そこまで言った時だ。メキッと何かが壊れる音がした。ていうかあたしが壊した。手摺を。

 

「み、美雨………?」

 

引き気味に聞いてくる雫ちゃん。

 

「あの野郎……あの可愛い主将さんの顔に怪我させたら粉々に分解してやる……」

 

「落ち着けバカ」

 

後ろから兄ちゃんにチョップされた。すると、とうとう二人は試合を始める。

 

「心配するなよ壬生。剣道部のデモだ。魔法は使わないでおいてやるよ」

 

「剣技で私に敵うと思っているの?魔法に頼りきりの桐原くんが、ただ剣技にのみ磨きをかける剣道部のこのあたしに」

 

「大きか出たな、壬生。だったら見せてやるよ。身体能力の限界を超えた次元で競い合う、剣術の剣技をな!」

 

そのまましばらく打ち合う。互角に見えるが、あの男の人の方は面を打つのを避けている。実力はほとんど同じなのにそんな所で気を使ってて勝てるわけがない。

そして、両者正面からの打ち下ろし。男の竹刀はあたしの嫁の左上腕を捉え、嫁の竹刀は男の右肩に食い込んでいる。

 

「真剣なら致命傷よ。私の方は骨に届いていない。素直に負けを認めなさい」

 

「何あれカッコイイ!」

 

勝利宣言する嫁に思わず声を上げてしまった。そんなあたしの脇腹に肘がドスッと入る。横を見ると拗ねた顔の雫ちゃんがいた。

 

「ヤキモチ焼かないの雫ちゃん!」

 

「うるさいブァカ」

 

なんて百合百合してると、「は、ははは……」と虚ろな声がした。

 

「真剣なら?俺の体は斬れてないぜ?壬生、お前、真剣勝負が望みか?だったら……お望み通り、真剣で相手をしてやるよ!」

 

言いながら男は竹刀を振り上げる。その瞬間、あたしは握り潰した手摺を踏み台にジャンプし、男の顔面にロケットパンチし……ようとしたら、足を兄ちゃんに掴まれて間抜けに落下した。

 

「ああああっ!」

 

「美雨!」

 

雫ちゃんに助けてもらってる間に、兄ちゃんが乱入してしまった。

 

 

 

 

 





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