二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼
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逆恨み

 

 

 

 

 

「で、深雪さん」

 

真由美が深雪に訪ねた。今、生徒会室には生徒会メンバーと風紀委員長の摩利しかいない。

 

「何者なの?彼女は」

 

「妹です。でも、なんていうか…突然変異っていうか……身体が強過ぎる感じなんです」

 

「意味がわからんな……」

 

摩利も呆れたように声を漏らした。

 

「敵ではないんだな?」

 

「はい。ただのヘンタイでゲーマーでロリコンでアホの子で……」

 

そこで言葉を切る深雪。そして、微笑んで言った。

 

「最強の妹です」

 

「ならいい」

 

 

 

 

「で、どこに行こっか」

 

「野球部!」

 

ほのかが聞くと、あたしは即答した。

 

「な、なんで……?あれ男の人の部だよ?」

 

「野球部と言ったらチアでしょ!あたしは歌って踊ってヒラヒラしてる雫ちゃんが見たい!」

 

「しかも自分でやるつもりないんだ⁉︎」

 

「ていうか、それならチア部に行くものじゃないの?」

 

「いいから行こうよ!野球は青春の象徴だよ!」

 

そのまま野球グラウンドへ。そして、到着するとすごい活気だった。うおおおっ!とダイビングキャッチやら盗塁やらやってる。

 

「すごいね……」

 

青春とかそんな甘ったるいもんが入り込む余地ないぢゃん……と、思った時だ。バットに魔法をかけている人がいた。全体的に見てる。

現状でのバット使用者条件

・ヘルメットを被った者のみ

・片手にバッティンググローブを着用

・一塁側のベンチに座っている者のみ

これらをあの人に当てはめる。まず、ヘルメット、バッティンググローブどころか帽子、ユニフォームすら着用していない。また、三塁側のベンチにある点数表の裏でコソコソとしている。明らかに何か工作しているのは見れば一発で分かるだろう。結論、取り押さえるべきだ。

 

「ごめん。ちょっと……」

 

「? 美雨……?」

 

あたしはそのまま点数表の裏へ。

 

「何してんの?」

 

その瞬間、ビクッと肩が震える。あー、もうこれ完全に黒だわ……。

 

「明らかに何か工作してたよね?何しようとしてたの?」

 

「くっ……ぅうああッッ‼︎‼︎」

 

そのバットで殴りかかってきた。さっき魔法をかけていたバットだ。不用意に受けるより躱した方がいいだろう。あたしが躱すと、点数表に当たり、そのまま爆発した。煙が舞い上がり、おそらく全員がこっちを見ているだろう。

 

「何事だ⁉︎」

 

「主将!怪しいやつを捕まえましたッ‼︎」

 

あの野郎……何勝手な事を……お前の方が100倍怪しかったっつの。あたしは爆風の中、歩いて出て来た。

 

「なっ……⁉︎」

 

「おいお前!何者だ!」

 

「美雨ちゃん!」

 

声が上がるが無視してあたしはあの怪しいやつに歩いて迫る。

 

「あんた…今の威力、殺すつもりだったわね……」

 

あたしはあくまでそいつにしか話さない。

 

「き、貴様!俺に罪をなすり付ける気か⁉︎」

 

「あーもうっ。面倒くさいな」

 

あたしがそう吐き捨てると、向こうはバットで再び殴りかかってくる。そりゃそうだ。向こうがあたしを犯人に仕立てあげた以上、まずあたしを黙らせようとするだろう。そして、殺すなり気絶なりさせた上で、事情をでっち上げようとするはずだ。だが、あなたは逃げるべきだった。他校の生徒だからって甘く見るのは間違いなんだよね。

 

「死ねぇッ!」

 

思いっきりバットを振り回す。

 

「そんな大振りで、当たるもんか」

 

しゃがんで回避、そのまま顎にアッパーカットをぶち込んだ。ゴリッとど地味な音がして、空中に20mくらい舞い上がる。そのまま地面に落下した。あたしは落ちてくるバットをキャッチする。もし、芯に当たると爆発する仕組みだとしたら、落下されるのは危険だ。

 

「ふぅ……あの、この人、バットになんか仕込んでたよ」

 

そのバットを野球部の人に渡す。

 

「ほ、本当だ……君がやったのではないのか?」

 

「あたし、魔法使えないもん」

 

「魔法を使えない奴が二科生とはいえ、一高生に勝てるのか?」

 

「いや、向こうが油断してただけだよ」

 

「…………」

 

「何事だ?」

 

聞きなれた声がして、振り返ると兄ちゃんとエリカが歩いてきていた。

 

「兄ちゃん。なに、デート?」

 

「美雨?なんでこんな所に……いや、今はいい。何事だ?」

 

「殴られそうになったから返り討ちにした。多分、あのバットに魔法仕掛けてあったよ」

 

「そうか」

 

「君は風紀委員か?」

 

声を掛けられる兄ちゃん。

 

「はい。で、こいつは俺の妹の美雨です」

 

「その子が魔法を使えないのは本当か?」

 

「本当です」

 

「………そうか。すまなかったな。うちの部員が」

 

「え?この人部員なの?ユニフォーム着てないけど……」

 

「ああ。この前、怪我をして休部中なんだ。………このバットもあいつ本人の物じゃないしな」

 

「誰の何ですか?」

 

「あいつを怪我させちまったほうのだ」

 

うわあ……逆恨みじゃん絶対……。すると、兄ちゃんが取り繕うように言った。

 

「とにかく、そういう事なら先輩に任せます」

 

「ああ」

 

「美雨。ちょっと来い」

 

「………お説教?」

 

「どうだかな」

 

説教じゃん……。

 

「っと、その前にこれを羽織れ」

 

「へ?」

 

兄ちゃんがブレザーを渡してきた。

 

「なんで?」

 

「服だ。その……なんだ、破れて……」

 

言われて自分の格好を見ると、ドラゴンボールみたいになっていた。慌ててブレザーを借りて、雫ちゃん、ほのかちゃん、エリカ、兄ちゃんと一緒に移動した。

 

 

 

 





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