二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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「で、深雪さん」
真由美が深雪に訪ねた。今、生徒会室には生徒会メンバーと風紀委員長の摩利しかいない。
「何者なの?彼女は」
「妹です。でも、なんていうか…突然変異っていうか……身体が強過ぎる感じなんです」
「意味がわからんな……」
摩利も呆れたように声を漏らした。
「敵ではないんだな?」
「はい。ただのヘンタイでゲーマーでロリコンでアホの子で……」
そこで言葉を切る深雪。そして、微笑んで言った。
「最強の妹です」
「ならいい」
*
「で、どこに行こっか」
「野球部!」
ほのかが聞くと、あたしは即答した。
「な、なんで……?あれ男の人の部だよ?」
「野球部と言ったらチアでしょ!あたしは歌って踊ってヒラヒラしてる雫ちゃんが見たい!」
「しかも自分でやるつもりないんだ⁉︎」
「ていうか、それならチア部に行くものじゃないの?」
「いいから行こうよ!野球は青春の象徴だよ!」
そのまま野球グラウンドへ。そして、到着するとすごい活気だった。うおおおっ!とダイビングキャッチやら盗塁やらやってる。
「すごいね……」
青春とかそんな甘ったるいもんが入り込む余地ないぢゃん……と、思った時だ。バットに魔法をかけている人がいた。全体的に見てる。
現状でのバット使用者条件
・ヘルメットを被った者のみ
・片手にバッティンググローブを着用
・一塁側のベンチに座っている者のみ
これらをあの人に当てはめる。まず、ヘルメット、バッティンググローブどころか帽子、ユニフォームすら着用していない。また、三塁側のベンチにある点数表の裏でコソコソとしている。明らかに何か工作しているのは見れば一発で分かるだろう。結論、取り押さえるべきだ。
「ごめん。ちょっと……」
「? 美雨……?」
あたしはそのまま点数表の裏へ。
「何してんの?」
その瞬間、ビクッと肩が震える。あー、もうこれ完全に黒だわ……。
「明らかに何か工作してたよね?何しようとしてたの?」
「くっ……ぅうああッッ‼︎‼︎」
そのバットで殴りかかってきた。さっき魔法をかけていたバットだ。不用意に受けるより躱した方がいいだろう。あたしが躱すと、点数表に当たり、そのまま爆発した。煙が舞い上がり、おそらく全員がこっちを見ているだろう。
「何事だ⁉︎」
「主将!怪しいやつを捕まえましたッ‼︎」
あの野郎……何勝手な事を……お前の方が100倍怪しかったっつの。あたしは爆風の中、歩いて出て来た。
「なっ……⁉︎」
「おいお前!何者だ!」
「美雨ちゃん!」
声が上がるが無視してあたしはあの怪しいやつに歩いて迫る。
「あんた…今の威力、殺すつもりだったわね……」
あたしはあくまでそいつにしか話さない。
「き、貴様!俺に罪をなすり付ける気か⁉︎」
「あーもうっ。面倒くさいな」
あたしがそう吐き捨てると、向こうはバットで再び殴りかかってくる。そりゃそうだ。向こうがあたしを犯人に仕立てあげた以上、まずあたしを黙らせようとするだろう。そして、殺すなり気絶なりさせた上で、事情をでっち上げようとするはずだ。だが、あなたは逃げるべきだった。他校の生徒だからって甘く見るのは間違いなんだよね。
「死ねぇッ!」
思いっきりバットを振り回す。
「そんな大振りで、当たるもんか」
しゃがんで回避、そのまま顎にアッパーカットをぶち込んだ。ゴリッとど地味な音がして、空中に20mくらい舞い上がる。そのまま地面に落下した。あたしは落ちてくるバットをキャッチする。もし、芯に当たると爆発する仕組みだとしたら、落下されるのは危険だ。
「ふぅ……あの、この人、バットになんか仕込んでたよ」
そのバットを野球部の人に渡す。
「ほ、本当だ……君がやったのではないのか?」
「あたし、魔法使えないもん」
「魔法を使えない奴が二科生とはいえ、一高生に勝てるのか?」
「いや、向こうが油断してただけだよ」
「…………」
「何事だ?」
聞きなれた声がして、振り返ると兄ちゃんとエリカが歩いてきていた。
「兄ちゃん。なに、デート?」
「美雨?なんでこんな所に……いや、今はいい。何事だ?」
「殴られそうになったから返り討ちにした。多分、あのバットに魔法仕掛けてあったよ」
「そうか」
「君は風紀委員か?」
声を掛けられる兄ちゃん。
「はい。で、こいつは俺の妹の美雨です」
「その子が魔法を使えないのは本当か?」
「本当です」
「………そうか。すまなかったな。うちの部員が」
「え?この人部員なの?ユニフォーム着てないけど……」
「ああ。この前、怪我をして休部中なんだ。………このバットもあいつ本人の物じゃないしな」
「誰の何ですか?」
「あいつを怪我させちまったほうのだ」
うわあ……逆恨みじゃん絶対……。すると、兄ちゃんが取り繕うように言った。
「とにかく、そういう事なら先輩に任せます」
「ああ」
「美雨。ちょっと来い」
「………お説教?」
「どうだかな」
説教じゃん……。
「っと、その前にこれを羽織れ」
「へ?」
兄ちゃんがブレザーを渡してきた。
「なんで?」
「服だ。その……なんだ、破れて……」
言われて自分の格好を見ると、ドラゴンボールみたいになっていた。慌ててブレザーを借りて、雫ちゃん、ほのかちゃん、エリカ、兄ちゃんと一緒に移動した。